キスについて再考
以前この記事で書いた日本人はなぜ人前でキスをしないのか?という問題を蒸し返して考えていました。
キスの習慣って西欧から伝来したものなの?日本人はいつからキスしてるの?
検索すると、詳しくまとめられているサイトがありました。
大人の近代史「キスの歴史」接吻とは?なぜ人はキスをするのか? ↓
日本でキスの記述が見られるのは平安時代から。当時は「口を吸う」「口吸い」と言っていました。
江戸時代には「呂」という漢字で表現されていて、口と口の間の「ノ」は舌だそうです。濃厚ですね。
キスの起源としては諸説ありますが、やはり母乳を吸う記憶の安心感、満たされ感が根っこにあるのかなと思います。
赤ちゃんはまず唇で世界と触れ合います。まだ自分の意思でうまく動かせない手足よりも、唇を使って生命維持の母乳を探り当て、周りにあるすべてのものを舐めて確かめます。そのため唇は多くの情報を得られるように神経が集まっています。
キスをする時首を右に傾けがちなのは授乳のとき母親が左胸に抱き寄せる名残だとか。
一応左右満遍なく吸わせると思うけど、抱きやすいのは左胸かな、確かに。
私が一番なるほどと目から鱗だったのが、西洋のキスと日本のキスの意味の違いについてです。
キリスト教では聖書の中に多くのキスが出てくる、と。
ここが決定的な違いなんですね。だから日本人のキスは人前でするものじゃないわけです。
日本でキスを表す言葉について。
江戸時代には男女の性愛文化が花開き、それまで「口吸い」と表現されていたものが様々に表現されるようになった、と。
多くの言葉が表れるということはそれだけ文化が深く豊かになっていったということでしょう。洒落本、艶本、春画なども盛んに出版された時期でもあります。
一方オランダとの交易のため蘭和辞典を作るとき、キスを翻訳することになります。日本の「口吸い」には「西洋の儀礼的意味が含まれていない」ので、新しい訳語が求められたと。
そこで初めて「接吻」という言葉が登場します。
当時の読み方は「くちつけ」。
これは大正に入り、性的表現が禁止や抑圧されてきたこともあるのでしょう。
「くちつけ」は直接的で生々しい感じですが、「くちづけ」となると急になんだか抒情的になります。濁点ひとつで、日本語の繊細さを感じます。
「せっぷん」に至っては書生さんの恋?みたいな、だいぶ肉欲から遠ざかった観念的な感じがします。
それでも、いくら言葉を変えても、元々なかった「尊敬、服従、挨拶的な意味」を付け加えることはできなかったんですね。
ひとくちにキスと言っても日本と西洋では意味が違い、また日本において様々な言葉で表現されてきたというところが、奥深いと思いました。
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