制汗シートくん・続

先ほど書いた匂いを気にする彼
早速休み時間に続編を書くことになるとは思わなかった

割と大きめな声で何かを話している
ふと顔を見るとさっきの彼ではないか

「ささみは生で食べたらさ〜」

ん?ささみを生?獣医学生なのにそんなリテラシーの低い発言をしていいのか?
リテラシーの用法が若干違う気もするが気にしないでほしい


いや、よくよく聞いてみると茹でたささみをそのまま食べることを生と表現しているようだ

盗み聞きしているわけではない
まさかのわたしの後方に座り、腹式呼吸でお話ししてらっしゃるのだ


なぜ続編を書こうと思ったのかというと、この後の会話が重要である

「ささみを生で食べたらあまり美味しくないじゃん?でも、鰹節と醤油入れて茹でたら結構美味しかったよ〜。無駄な脂質ないし筋肉のつき方がいいんだよね〜」

制汗シートの彼

朝の制汗シートに引き続き、料理の一手間を語っているではないか

これはすごい
下心のない丁寧な人なのではないだろうか


さらに付け加えると、話し方が丁寧である
「食った」とは言わず「食べた」と言っている
話すスピード感も、普段から「食べた」と言ってそうな人物だ

外見だけでは分かり得ない部分にいいところ満載で
これだけで、いつか話す日が来たら、傷付かずに済みそうだと感じた


わたしは、人と話す時、変に考えすぎたりすぎなかったりして傷付くことを恐れている
女の子らしいわけではないから、つまらなさそうにされることが多い

そもそもなぜ相手の容姿でそんなに表情を変える?

とにかく、中高女子校だったのもあってか男性には免疫がない

意識しているわけではない、同性愛者だから
ただ、少なくとも人と人として楽しそうにしてくれたら嬉しいとは思う


そんな中で出会った(一方的)彼は、わたしにとって怖くない人間に近づいた



名前も知らない彼にとって、名前も知らないわたしがこんなnoteを書いていることは恐怖でしかないだろう

ごめん

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