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苦しかったときの話をしようか

歴史の勉強をすると言うていでキングダムを読み漁っているどもです。
コナンより人死ぬんですけど大丈夫ですか?

今日は久々にブックレビューを書きます。

サマリー

書名:苦しかったときの話をしようか(2019)
著者:森岡 毅
要約:本書は大学生の将来に悩む娘さんに向けた手紙を書籍化したもので、社会の知られざる仕組みや自分自身の理解の仕方やその価値の高め方など、序盤は人生の指南書のような内容になっています。
終盤はガラッと雰囲気が変わり、タイトルにあるように著者の苦しかったときの話が暴露され、弱さとの向き合い方について書かれています。

個人的評価:★★★★☆

著者紹介

著者の森岡毅さんは1996年神戸大学卒業後、P&Gに入社、マーケティング部門に配属され、その後ヘアケアブランド等のブランドマネージャーを歴任されていました。2010年、その活躍に目を付けたUSJの当時のCEOにヘッドハントされ、当時右肩下がりだった入場者数を回復すべく数々の改革を断行されます。

2017年には使命を果たしたとしてUSJを退社し、株式会社「刀」を設立、代表取締役CEOに就任。その後同社はマーケティングノウハウを活かして様々な会社と協業されています。

著者の本は過去にもブックレビュー書いてますので興味ある方はご覧ください。

所感(感想)

本書は著者が娘さんに書かれた手紙を書籍化されただけあり、著者の人生における学びが惜しげもなく記されています。

例えば本書にはこんな表現が出てきます。

"資本主義においては、大きく分けると2種類の人間しかいないことを知っておかねばならない。自分の24時間を使って稼ぐ人と、他人の24時間を使って稼ぐ人。前者を「サラリーマン」と呼び、後者を「資本家」と呼ぶ。"
”資本主義とは、無知であることと、愚かであることに、罰金を科す社会のことである”

これは資本主義社会の仕組みを端的に説明しているものですが、サラリーマンの読者にとっては、まるで自分が「無知で愚かである」と言われているようにも感じるかも知れません。

しかし本書を読み進めると、著者が単純にあまり人間付き合いが上手いタイプではなく、オブラートに包んだり相手に配慮することが苦手なのだと分かります。

この歯に衣着せぬストレートな言葉が本書内の随所に表れ、それがたとえ自分に都合の悪いものであっても、気持ちよく心に刺さりました。


本書の中で一番印象的だったのはタイトルと同名の章です。
この章では「超」が付くほど優秀な著者が経験した失敗や苦難について書かれています。

その中で、当時P&G日本支社から初めてアメリカ本社のブランドマネージャーに任命されたときの経験が記されています。

傍から見ると、とても輝かしいキャリアに見えます。
ですがその実、現地の人からすると著者は突然やってきた何物かも分からない、英語でのコミュニケーションも円滑に行かない日本人でした。そんな著者に現地の人々は、非協力的な態度を取ったり、大事な会議資料を差し替えたりと、あまりのストレスに血尿に悩まされる日々だったそうです。

仕事で成果を出し続けることでそれは次第に改善されていったそうですが、異国の地で見知らぬ人達に囲まれ、かつ自分の存在意義を否定され続けるのは辛い時期だったと想像できます。

私も欧州に海外赴任をしていたことがあるため、レベルは違えど著者の気持ちが痛いほど分かりました。

一番のストレスは、日本で仕事をしていた時には赤子の手をひねるように出来ていた事が、周囲の人が動いてくれないなどの理由で進まなかったことです。

これが新入社員であれば、こんなもんかと感じるかもしれませんが、高い馬力のエンジンを積んでいて、道が良ければ300km/hr出ることが分かっているのに、30km/hrで走らざるを得ないような状況は、不甲斐なさを感じる辛い経験でした。

優秀で輝かしいキャリアをもつ著者でも、幾度とない失敗を繰り返し、苦しんだ経験があることは私含めて多くの読者が励まされるのではないかと思います。


本書は進路に迷っている就職活動中の学生はもちろん、仕事で思ったように評価されなかったり、目標を見失っている社会人に方にもおすすめ出来る内容です。

読んでいただきありがとうございました。また書きますので興味ある方は「フォロー」よろしくお願いします。ではまた。

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