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Room of Forest

光と闇の交錯。
重なり合う声。

声1)ここはどこ?

唱和)どこ、どこ、どこだろう。

声2)わたしはだれ?

唱和)だれ、だれ、だれだろう。

声3)あなたはだれ?

唱和)だれ、だれ、だれだろう。

声4)いまはいつ?

唱和)いつ、いつ、いつだろう。

声1)朝!

声2)昼!

声3)夜!

声4)夕方!

声1)明日!

声2)明後日!

声3)昨日!

声4)一昨日!

唱和)今!

声1)どこから来たのか?

声2)分からない。

声3)どこへ行くのか?

声4)どこへ行こうか?

声1)東へ!

声2)南へ!

声3)北へ!

声4)西へ!

唱和)行こう!

(輪になって回る。それは時計の針のように。巻かれたゼンマイはやがて1つのメロディーを奏で出す。)

横たわる2つの身体。

ミズキ)……ねえ、お兄ちゃん。お腹空いた。

ハヤト)もうちょっと我慢しろよ。

ミズキ)もう駄目。死ぬぅー。

ハヤト)死ぬなんて、そんな簡単に言うな。

ミズキ)だってー。でも、死ぬ死ぬ言ってる人ってなんだかんだで死ななかったりするよね。

ハヤト)まぁ、そうだけど。

ミズキ)ねえ、もし私が死んだら、お兄ちゃん食べていいよ。

ハヤト)止めろよ、そういうこと言うの。

ミズキ)大丈夫。お兄ちゃんが先に死んだら私が食べてあげるから。

ハヤト)お前さぁ、ちょっと黙ってろ。

ミズキ)ふ~ぃ。

暫しの沈黙。

ハヤト)あのさぁ。

ミズキ)……。

ハヤト)ミズキ。

ミズキ)……。

ハヤト)ミズキ。

ミズキ)……。

ハヤト)死んだか。

ミズキ)……。

ハヤト)……おい!

ミズキ)何?

ハヤト)返事くらいしろよ、びっくりするじゃないか。

ミズキ)だって黙ってろってお兄ちゃんが。

ハヤト)返事はいいんだって。

ミズキ)返事だけ?

ハヤト)……好きにすれば?

ミズキ)ふっふ~ぃ。

ハヤト)……ごめんな。

ミズキ)ん?

ハヤト)こんなことになっちゃって。

ミズキ)いいよ。

ハヤト)ごめん。

ミズキ)いいって。

ガチャリとドアが開く。

ハルカ)ただいまー。

部屋の中を見て、買い物袋を取り落とすハルカ。やがて携帯を取り出し、

ハルカ)……あ、もしもし警察ですか? あの、ウチに不審な死体が2つほど転がっているんですけど……。

ハヤト)まあまあまあまあ。(止めに行く)

ミズキ)まあまあまあまあ。(携帯を奪う)

ハヤト)座って座って。

ミズキ)どうぞどうぞ。

ハルカ)……ここ、私の家なんだけど。

ハヤト)そうだな。

ハルカ)二人で何してたの。

ミズキ)死体ごっこ。

ハルカ)死体は喋らないでしょう。

ハヤト)ちょっ、誤解だよ、コイツは俺の妹で……。

ハルカ)知ってます。会ったことがあります。

ハヤト)そうだっけ。

ハルカ)覚えてらっしゃらないんですか?

ハヤト)覚えておりません。

ハルカ)B・A・K・A。だから、どうしてウチにいる訳? 鍵も掛けてた筈なんだけど。

ハヤト)鍵は俺が持ってるヤツで。

ハルカ)そうじゃなくて。

ハヤト)……ごめん。

ハルカ)もう一回やったら鍵取り上げるから。

ハヤト)えー。

ハルカ)自業自得。……で、何で2人がここにいるの。キミ達にはキミ達の家がある筈でしょう。

ハヤトとミズキ、顔を見合わせる。

ミズキ)家出しました。

ハルカ)……は? 何で。

ハヤト)んー、まぁ色々あったんだよ。ってことでよろしく!

ハルカ)よろしくって……。

ミズキ)お世話になります。

ハヤト)(買い物袋の中を覗き込み)おー!うまそー!

ハルカ)そこ! 勝手に漁らない!

ハヤト)食べていい?

ハルカ)お金は?

ハヤト)後で返す!

ハルカ)後っていつ?

ハヤト)10年後くらい?

ハルカ、食料を取り上げにかかる。

ハヤト)分かった、分かったから! 身体で返す!

ハルカ)逆でしょ、フツー!(子犬のようにキラキラした目に見つめられて)……あーもーいいわ、好きにしなさい。

ミズキ)私も食べていいですか?

ハルカ)お腹空いてるんでしょう?

ミズキ)ありがとうございます!

ハルカ)……それにしても、よく食べるねー。

ハヤト)もう1週間だからな。

ハルカ)1週間!?

ハヤト)そう。(食べながら喋ろうとする、あるいは喋ろうとしてむせる)

ミズキ)最初は試食の食べ歩きしていたんですけど、何かブラックリストに載っちゃったみたいで……。

ハルカ)そりゃあねー。お風呂は?

ハヤト・ミズキ)……。

ハルカ)食べ終わったらすぐにシャワー浴びなさい! 女の子が先!

ハヤト)でも、着替え…。

ハルカ)貸すよ。ハヤトはジャージ、ミズキちゃんは私の服。着られるでしょ?

ミズキ)ありがとうございます!

ハルカ)どういたしまして。……何でこうなるかなー。

ハヤト)どした?

ハルカ)ハヤトってお兄ちゃんらしくないよねって話。

ハヤト)酷っ。

ハルカ)私、いつもはこんなキャラじゃないんだけど。キミ達兄妹がいるとなんかさー……。

ハヤト)大丈夫。ハルカは良いお姉ちゃんになれるよ。

ハルカ)……。(食べ始める)

ミズキ)あの、どうしてこんなにパンが一杯なんですか?

ハルカ)安かったから、買いだめしとこうかと思って。

ミズキ)でも安いのって賞味期限近いの多いんじゃないですか?

ハルカ)(賞味期限を確かめる)……大丈夫、2・3日過ぎても食べられる。

ハヤト)ハルカって結構豪快だよな。

ハルカ)だって賞味期限でしょ? 消費期限じゃないじゃん。

ミズキ)はい、ハルカ先生。(挙手)

ハルカ)ミズキちゃん。

ミズキ)賞味期限と消費期限の違いって何ですか?

ハルカ)賞味期限は美味しく食べられる期限、消費期限は安全に食べられる期限。ドューユーアンダースタンド?

ミズキ)イエス! ……だって、お兄ちゃん。

ハヤト)は?

ミズキ)お兄ちゃんが分かっていなさそうだったので質問してみました。

ハヤト)頼んでねーよ!

ハルカ)分からなかったことは否定しないんだ。

ハヤト)……まぁ。お前は知ってたのかよ。

ミズキ)学校で習ったよ。家庭科の授業。

ハヤト)あー、何だか記憶の彼方に……。

ミズキ)転がってるお兄ちゃんの記憶は、テスト用紙ごと焼却炉で燃やされましたとさ。

ハヤト)お前も酷いな、ミズキ。

ミズキ)ふふ~ぃ。

ハヤト)褒めてねーよ。

ハルカ)……そうなんだよねー。テストで100点取っても、結局ゴミ箱経由で燃やされちゃうんだよね。残っているのは記憶だけ。

ハヤト)テストは紙だから資源ゴミだろ。

ハルカ)でも個人情報だよ? シュレッダーにかけたら資源回収に出せないって。

ハヤト)シュレッダーにかけたら、焼却炉行きになる前にボロボロだろ。

ハルカ)それもそうか。あれっ、何の話だっけ。

ハヤト)テスト用紙。

ミズキ)賞味期限と消費期限。

ハルカ)そう。だから賞味期限過ぎても問題ナシ。……でもそれ以前になくなっちゃいそうだけど。

ハヤト)ハルカありがとう!

ミズキ)ありがとう!

ハヤト)このご恩は一生忘れません。

ハルカ)そう面と向かって言われると疑わしいよね。

ハヤト)ハルカ~。

ハルカ)冗談。大丈夫、10年後返しに来てくれるのを待ってる。

ハヤト)返しには行かないよ。一緒にいるから。

ハルカ)……む。

ハヤト)駄目?

ハルカ)何でそういうことさらっと言えるかなー。

ミズキ)兄がお世話になっております。これからもよろしくお願いします。

ハルカ)いえいえこちらこそ……ってミズキちゃんまで!

ハヤト)ほらミズキ、新しいお姉ちゃんだ。

ミズキ)わーい、ハルカお姉ちゃんだー。

ハルカ)あーもう、そろそろお腹膨れてきたでしょ、シャワー浴びてきなさい。ミズキちゃんから!

ミズキ)ふっふ~ぃ。(ハケる)

ハヤト)バスタオルは洗濯機の上の棚だからー。

ハルカ)ちょっと! だからここ、私のウチなんだけど。

ハヤト)お邪魔してます。

ハルカ)大体、交換した合鍵使って妹連れ込むって何。フツー連絡ぐらい入れるよね?

ハヤト)携帯ないし、お金もない。

ハルカ)なのに鍵だけは持ってた、と。……何で家出したの。

ハヤト)……。

ハルカ)まぁ、無理にとは言わないけど。

ハヤト)駆け落ち。は冗談として、夜逃げ?

ハルカ)何で疑問形?

ハヤト)とにかくウチにいられなくなったんだよ。ミズキなんか、ちょっとキテてさぁ……。

ハルカ)あんまりそうは見えないんだけど。

ハヤト)あいつ、表面明るいけどネクラなんだよね。

ハルカ)さっすがハヤトの妹。

ハヤト)どういう意味だよ。……あんまり、詳しいことは話さない方がいいと思うんだよね。じゃないとあいつが……話したくなるまで待って欲しいんだ。こんなこと、言える立場じゃないってのは分かってるけど……。居候させて?

ハルカ)媚びるな!

ハヤト)居候させて下さい、お願いします。

ハルカ)仕方ないでしょ。このまま放っておいて野垂れ死なれても困るからね。まぁ、色々手伝ってもらうけど。

ハヤト)何なりとお申し付け下さい、お嬢様。

ハルカ)ありがとう。

ハヤト)女王様の方が良かった?

ハルカ)……そのまま踏み付けて差し上げましょうか。

ハヤト)そしてバラバラにして食べるといいよ。

ハルカ)……。

ハヤト)冗談。

ハルカ)……ねえ、ハヤトってマゾ?

ハヤト)そー見える?

ハルカ)見えなきゃ訊かないって。でもマゾにしては凶暴なんだよねー……。

ハヤト)ハルカもサドにしちゃ可愛いよ。

ハルカ)別にサドじゃないんだけど。

ハヤト)じゃあマゾ。

ハルカ)何で2択なの。私は至ってフツーです。ノーマルです。

ハヤト)開発されてないだけじゃない?

ハルカ)開発って……。

ハヤト)したげようか?

ハルカ)お断りします。

ハヤト)人間には可能性があるのに、なんでもっと伸ばそうとしないかなー。

ハルカ)そんなところ伸ばさなくていいって。ハヤトこそもっと別のトコ伸ばしたら? 成績とか単位とか単位とか。

ハヤト)ハルカって結構痛いトコ突くよね。

ハルカ)留年しちゃうよ。

ハヤト)それは嫌だ。

ハルカ)だったら勉強しなきゃ。

ハヤト)でも勉強ってさ、もっとやりたくてするものじゃないかな。やらされるっていうのは、本末転倒じゃん? わざわざお金まで払ってさ、義務教育じゃあるまいし。

ハルカ)だったら辞めれば?

ハヤト)ごもっとも。

ハルカ)……あんまり一人で抱え込まない方が良いよ。ハヤトには、私がいるんだから。

ハヤト)ありがとな。

突然、ぱっと明かりが消える。

ハヤト)え、何。

ハルカ)停電? ハヤト、何かない?

ハヤト)何か何か……。

ライターの火が闇に浮かぶ。

ハルカ)何でそんなものは持ってるの。

ハヤト)(空気タバコを吸う)無人島にキャメルは必須でしょ。

ハルカ)無人島じゃないし。ってか吸わないんじゃなかったの?

ハヤト)いやぁ。火とか刃物とか身に付けてると落ち着くってこと、ない?

ハルカ)ない。

ハヤト)何かあった時、すぐ役に立つだろ? 街はジャングル、生きるはサバイバル。例えばお腹が空いた時、野良犬を殺してバラして焼いて食べるとか。

ハルカ)衛生上問題があると思うけど。あったの?

ハヤト)なかったけど。実際サバイバルってなると盗みの方かな……通りすがりにぶつかってバッグを引ったくる。店の前に並んでる林檎をかっさらう。

ハルカ)ミズキちゃんに変なこと教えちゃダメだよ!

ハヤト)変なことじゃない、生きる知恵だって!

ミズキ)ミズキお姉ちゃーん。暗くてよく見えないんだけど……。

ハルカ)あ、ごめん。今行くからー。……ねえ、ちょっと行ってきてよ。

ハヤト)俺かよ。

ハルカ)ブレーカー上げてきて。私はミズキちゃんのとこ行くから。

ハヤト)……了解。

小さな灯火は遠ざかり、完全な闇が訪れる。

明かり、つく。

ハルカ)オッケー、ありがとう。

ミズキ)あの、着替えって……。

ハルカ)ああ! そうだそうだ忘れてた。……んーとね、じゃあこれ。着てみて!

ミズキ)え、いいんですか!?

ハルカ)オフコース!

ハヤト)ハルカ、俺のジャージはー?

ハルカ)まだ着替え中だからダメ! ってか私のだって!

ハヤト)(押し戻される)お前のモノは俺のモノ、俺のモノはお前のモノ。

ハルカ)でも今は何も持ってないよね。

ハヤト)ライター。

ハルカ)だけでしょ。

ミズキ)折角の良い台詞が台無しだね。

ハヤト)お前も便乗するなよな。

ミズキ)ふっふっふ~ぃ。(出てくる)

ハルカ)じゃあ、ハヤトはこれね。

ハヤト)オッケー。

ハルカ)(出てくる)……ミズキちゃん何してるの?

ミズキ)鼠のかじった跡みたい。

ハルカ)そうだね。捨てる?

ミズキ)(首を横に振る)

ハルカ)食べる?

ミズキ)(首を縦に振る)

ハルカ)どうぞ。よっぽどお腹空いてたんだねー。

ミズキ)頂きます。

ハルカ)ミズキちゃんって、お兄ちゃんのことどう思う?

ミズキ)どう……?

ハルカ)優しい?

ミズキ)多分。

ハルカ)まあ、厳しくはなさそうだよね。カッコ良い?

ミズキ)……たまに?

ハルカ)じゃあ普段はカッコ良くないのかな。……ねえ、ミズキちゃんって好きな人いるの?

ミズキ)んー……分からない、です。

ハルカ)分からない? いるいないじゃなくて分からない、か。

ミズキ)?

ハルカ)学校は楽しい?

ミズキ)楽しいです。

ハルカ)どの教科が好き?

ミズキ)国語と数学。

ハルカ)おおっ、凄い。文系と理系制覇狙えるじゃん!

ミズキ)いえ、その隣には英語という恐ろしい魔物が潜んでいるので……!

ハルカ)頑張れミズキちゃん! 応援してるよ! あれ、そういえば何年生?

ミズキ)2年です。

ハルカ)高校?

ミズキ)そうです。

ハルカ)……タメ!?

ミズキ)え!?

ハルカ)知らなかった~。

ミズキ)私もです。じゃ、敬語やめにした方が……。

ハルカ)いいね。よろしく。

ミズキ)よろしく。……全然分かんなかった。ハルカお姉ちゃんって大人っぽい。

ハルカ)ありがと。お姉ちゃんは継続なんだ。

ミズキ)です。ダメ?

ハルカ)好きにして良いよ。

ミズキ)イエッサ。

ハルカ)それにしても何でアイツ、黙ってたのかな。ミズキちゃんも知らなかったんでしょ?

ミズキ)うん。でも、お兄ちゃんたまに私の年忘れてたりするから。

ハルカ)それでか。妹の年くらい覚えておこうよ。てか、いくつ違いなのか覚えておけばすぐ分かるじゃん。

ミズキ)早生まれなのが面倒なんだって。

ハルカ)あー、ナルホド。

ミズキ)ハルカ先生。(挙手)

ハルカ)はい、ミズキちゃん。

ミズキ)お兄ちゃんとはどこで知り合ったんですか。

ハルカ)拾った。

ミズキ)拾っ……!?

ハルカ)何か、迷子になってたんだよね。ふらふら~って家の近く歩いてて。でも夜遅かったから歩いて道案内するのもどうかと思ったし自転車二人乗りってのも、ねぇ。

ミズキ)道案内するには、お姉ちゃんが前に乗らなくちゃいけないしね。

ハルカ)そうそうそう。今さらりとお姉ちゃんって言ったね。

ミズキ)お兄ちゃん、お姉ちゃん、呼びやすい。

ハルカ)まあね。ってことでウチに泊めることになった訳です。

ミズキ)でも知らない人を家に泊めるのは……。

ハルカ)学生証見せてもらって、メモ取っといた。それなら何かあった時すぐ届けられるでしょ。

ミズキ)それでも危ないと思う……。しかも1人暮らしなんだよね?

ハルカ)まーね。それが切っ掛けだから結果的にはそーなるのかな。でも、話してて悪いヤツだとは思えなかったんだよね。

ミズキ)ありがとうございます。

ハルカ)いえいえこちらこそどういたしまして。

ハヤト)はー、良いお湯でした。……って何で二人とも土下座し合ってんの?

ミズキ)あ、お兄ちゃんお帰りー。

ハルカ)ハヤトお帰りー。

ハヤト)え? ただ今。

ハルカ)早かったね。

ハヤト)いや、ミズキと大して変わらないと思うけど……。

ハルカ)え。そう?

ミズキ)分かんない。

ハヤト)あー。こうなるとアレだね。アレが欲しくなってくるね。

ハルカ)アレって? 若年性ボケじゃないなら固有名詞で言いなさい。

ハヤト)お酒。

ハルカ)却下。

ミズキ)駄目。

ハヤト)え~。ミズキまで。

ミズキ)居候の分際でそんなこと言うのはよくないよー。あ、そうだお姉ちゃん何か手伝うことある?

ハルカ)え、今日は良いよ。1週間ロクに休んでないんでしょ、今日くらいゆっくり休みなって。

ミズキ)大丈夫! こんな時だからこそ手伝わないと。ね、お兄ちゃん?

ハヤト)そうだな、食った分くらいは手伝うよ。ってゆーかいつの間にお前ら仲良くなったんだ?

ミズキ)ついさっき。

ハルカ)同い年だってことが発覚してね。

ハヤト)同い年!?

ハルカ)……2対1か。じゃあお願いしちゃおうかな。ハヤトはトイレ掃除、ミズキちゃんはさっきまで着てた服のお洗濯!

ハヤト)かしこまりました。

ミズキ)ラジャ!

ハルカ)お兄ちゃん、分からないことがあったら教えてあげてね。

ハヤト)了解です。

ハヤトとミズキ、ハケる。ハルカは片付けを始める。

ハルカ)……。

ハルカ、電話を掛ける。

ハルカ)すっかり暗くなっちゃった。ごめんね、今日行けなくて。ごめんね……。……そう? ホントに? ……うん。お休み。

暗くなる。(子守唄が聞こえてくる)

梟。虫。葉擦れの音。
遠吠えが混じる。

声1)何をしているの?

声2)何をしているの?

声3)何をしているの?

声4)何もしていない。

声1~3)嘘。

声4)嘘じゃない。

声1~3、口々に嘘だと囁き合う。

声4)本当だよ。

声1~3)嘘だ。

声4)本当。

声1~3)嘘。

声4)本当!

声1~3)嘘!

声4)ああ嘘だよ。それがどうした、悪いのか!

声1)悪いよ。

声2)悪いよ。

声1・2)ねえ?

忍び笑い。

声1)何をしているの。

声2)何をしているの。

声3)何をしているの。

声4)……探しているんだ。

声1)何を?

声4)石。

声1)どんな石?

声2)どうして探すの?

声3)どこにあるの?

声4)…。

声3)分からないのに探しているの?

声4)どこかにある筈なんだ。

声1)どこに?

声2)分からないの?

声3)分からないのに探しているの?

声4)分からないから探すんだよ。

声1)どこにあるのかも分からないのに?

声2)どうして探すのかも分からないのに?

声3)どんなものかも分からないのに?

声1~3)どうやって?

声4)……。

声1~3、笑う。笑い声は次第に大きくなっていく。

声4)やめろー!

朝。

二つの身体が横たわっている。

ミズキ)……どうしたの? お兄ちゃん。

ハルカ)うるさいよー……。

ハヤト)(出てくる)……あー、ごめん。嫌な夢見ちゃってさ。

ミズキ)どんな夢?

ハヤト)魔女に食べられそうになる夢。

ハルカ)は?

ハヤト)嘘だけど。

ミズキ)(ハヤトの腕をつねる)……大丈夫? 目、覚めた?

ハヤト)イテテテテ。何でつねるんだよ!

ミズキ)何となく。

ハヤト)何となくでつねるなよなー。

ミズキ)お兄ちゃんのモノは私のモノ、私のモノはお兄ちゃんのモノ!

ハヤト)はぁ?

ハルカ)自分をつねる代わりにお兄ちゃんをつねったってことじゃない?

ミズキ)ピンポン、お姉ちゃん大正解ー。(寝る)

ハヤト)よく分かるなぁ。……えい。(ミズキの鼻をつまむ)

ミズキ)ん……むぐー!! あ、お兄ちゃんおはよう。

ハヤト)おはよう。

ミズキ)お姉ちゃんおはよう。

ハルカ)おはよう。……いつもこうなの?

ハヤト)いや、そういう訳でもないと思うんだけど……テンション上がってんのかなぁ。

ミズキ)朝のラジオ体操ー。(前奏を歌う)イチ、ニサン、シ、ゴゥ、ロク、シチ、ハチ、ニ、ニィ、サン、シ、ゴゥ、ロク、シチ、ハチ…ところで今何時?

ハルカ)6時。……うわ、早っ。

ミズキ)ねえお姉ちゃん、今日は何を手伝えばいい?

ハルカ)え、もう? んー……じゃあね、ハヤトがゴミ出し。ミズキちゃんと私で朝ごはんを買いに行く。パンは全部食べ尽くしちゃったしね。オッケー?

ハヤト)異議あり。

ハルカ)何でしょう。

ハヤト)ミズキを外出させるのは、あんまり……。

ハルカ)分かった。じゃあミズキちゃんはここで留守番。なら良い?

ハヤト)まぁ、妥当かな。

ミズキ)お手伝いは?

ハルカ)んー、あとで何か割り振るから大丈夫。ゆっくりしてて。

ミズキ)ラジャ。

ハルカ)じゃあ、行ってきまーす。

ハヤト)いってらっしゃい。……俺出てる間、ちゃんと鍵かけとけよ。知らない人がチャイム鳴らしても、絶対開けるんじゃねーぞ。

ミズキ)ふ~ぃ。

ハヤト)じゃあ行ってくるから。

ミズキ)いってらっしゃい。

ミズキは膝を抱えて丸くなる。ごろごろ転がる。電話が鳴って、ピタリと止まる。やがてコール音が止み、留守番メッセージが流れる。

?) もしもし? 僕だよ、僕。ねえ、大丈夫? ……大丈夫っていうのも変かもしれないけど。これからキミの家行って良い? 休んでた分のノート、取ってあるんだ。家でも勉強してるんでしょ? 何なら、分からないところがあるなら、僕が教えてあげるから。困ったらいつでも言ってよ。……じゃあ、今から行くから。待ってて。

?)……ごめん。都合悪い時に邪魔しちゃったかな。それとも寝てた? チャイム押しても誰も出てこなかったから、ポストの中にノート入れといたよ。あと、ちょっとした差し入れ。ナマモノだから早いうちに食べてね。じゃあ。

ミズキ、ポストの中身を取りに行く。ノートをめくる。差し入れを食べる。

?)今日七夕行ってきたんだけどさ、相変わらず人が凄かったよ。不思議だよね、7月7日にはよく雨が降るのに、仙台七夕には雨が降らない。花火は毎年必ずといっていいほど見ることが出来る……あ、そっか、旧暦だからか。昨日、見た? 見られなかった? 僕、写真撮ったんだよ? だからプリントアウトして持ってくよ。楽しみにしててね。

ミズキ、写真を取りに行き、眺める。

?)……最近、ホント君の顔見てないんだけれど。大丈夫? やつれたりしてない? 心配で夜も眠れないよ、僕までやつれちゃいそうだよ……。そうだ、栄養のあるもの持っていってあげるよ待ってて! どうせなら一緒に食べようよ、久しぶりに話もしたいしさ。じゃあ今から行くから!

取りに行った差し入れを食べるミズキ。

?)……ねえ、どうして話もしてくれないの? 君の声が聞きたいよ、君の顔が見たいよ、切実にさぁ。じゃないと君のこと忘れてしまいそうなんだよ、夢の中の君の顔が滲んでいくんだよ、今日そんな夢を見たんだよ! 怖かった……ホントに怖かったよ、君の顔がドロドロに溶けてさ、もう形も分からないくらいになっちゃってさ……苦しいんだよ辛いんだよ助けてよ。どうか一目でいいから僕と会って。話をして下さいお願いだから……。

?)さっきはごめんね。みっともなく取り乱しちゃってさ。……あ、そうだ。ねえ、ポストの中は見てくれた? 僕からのプレゼント、入れておいたんだけど。まだかな? まだだよね。ねえ、何だと思う? ヒント、君の大好きなモノだよ。分かるかな?

ミズキは立ち上がって取りに行ってくる。紙袋。中にはバラバラになったぬいぐるみが入っている。

?)もしもし。僕だよ。ねえ、プレゼントは開けてくれた? 開けてくれたよね、キミの大好きなぬいぐるみ。ちょっとケガしてるけど……僕だと思って可愛がってよ。 僕もキミだと思って可愛がってあげたからさ。泣いてくれないのはちょっとつまらなかったけど。やっぱり本物が一番だよね。ミズキ……愛しているよ。

チャイムが鳴る。

?)Trick or treat!季節外れでごめんね、でもたくさんお菓子買ってきたんだよ僕。君の為にたくさん。たくさん。だから食べてよ、っていうか一緒に食べようよそうしよう、ねえ!今、玄関の前にいるからさ。開けてよ。開けてったら!

静かになってから、ミズキはお菓子を取りに行く。食べる。嘔吐。

?)ミズキ。今君お腹空いてるでしょお腹空いてるよね、だって朝から何も食べてないんだから。知ってるよ、昨日僕があげたお菓子を食べきれなかったことも前にあげたぬいぐるみを普通ゴミで捨ててしまったことも。でも大丈夫だよ、ちゃんと拾ってまたポストの中に入れといたから。君の好きなショートケーキも一緒にね。

?)……どうして捨てるの? どうして食べないの? 貰わないの? 僕のことがそんなに嫌いなワケ? どうして。どうして駄目なんだよ、言ってくれなきゃ分からないよ返事をしてよお願いだから。黙ってちゃ何も分からないよ、どうして何も応えてくれないの? こんなに愛してるのに。愛してるのに愛し てるのに愛してるのに愛してるのに愛してるのに愛してるのに愛してるのに愛してるのに愛してるのに愛してるのに愛してるのに愛してるのに愛してるのに愛してるのに愛してるのに愛してるのに愛してるのに……。

ミズキ)(悲鳴)

ガチャリ、とドアが開く。

ハヤト)大丈夫か!?

ハルカ)どうしたの!大丈夫!?

ミズキ)――!

恐慌状態のミズキ。二人はミズキに懸命に呼び掛け、止めさせようとする。

ハルカ)ミズキちゃん……!ミズキちゃん、何があったの?

ミズキ、倒れる。ハヤトはそれを支える。ハルカはなおも声をかけようとするが、ハヤトに制される。静かに横たえられるミズキ。

ハヤト)……時々、思い出しちまうみたいなんだよ。だから……。(ミズキの前髪を掻き上げる)一人にしない方がいいのかもしれないな。ごめんな……。

ハルカ)何があったの?

ハヤト)……。

ハルカ)……。

ハヤト)……前、ミズキと付き合ってたヤツなんだけどさ。一回、ちゃんと別れたみたいなんだけど……でも、向こうはまだミズキのことが好きで、時々電話寄越してきたりお菓子持ってきたりしてたんだよ。でもミズキは、あまり顔合わせたくないらしくて家に引きこもっちゃってさ。そしたら段々エスカレートして、ますます家から出なくなって……親ともそれでケンカするし学校にも家にも居場所がなくて。だから……。

ハルカ)警察に届けたら?

ハヤト)そんなことしたら大事になるだろ。

ハルカ)家出してる時点で十分大事だと思うけど。……心配してるんじゃないの。

ハヤト)俺、しょっちゅう家出してるからさ。親からも見放されてるんだよ。今頃、いなくなって清々してるんじゃないかな。

ハルカ)ミズキちゃんは?

ハヤト)……。

ハルカ)警察に届けた方が良いよ、家に帰って。別に後ろ暗いことがある訳じゃないんでしょう?

ハヤト)(笑い出す)お前って結構常識人なんだよなぁ。多分、そういうところも含めて……俺はハルカのこと好きなんだと思う。

ハルカ)だから?

ハヤト)……ハルカってさ、誰かを殺したいって思ったことある?

ハルカ)殺したいっていうか、いなくなって欲しいって思うことはあるけど。どうして?

ハヤト)俺、そいつのこと刺したんだよ。……死んだかどうかは分からないけどさ、刺したんだよ。刺したんだよ。ははっ、俺、人を刺しちゃったんだよ……。

ハルカ)……それで?

ハヤト)それで、だって? どうしようもないじゃないか俺人を刺しちゃったんだから一巻の終わり、以上終了お疲れ様でしたー。

ハルカ)じゃあずっとここにいるつもり?

ハヤト)……。

ハルカ)ハヤトってさ。ずっと逃げ続けてるんだよね。逃げて、逃げて、逃げて、逃げて、逃げ続けて。ハヤトはどこへ行きたいの?

ハヤト)…分かんねぇよ。分かんねぇからここにいるんじゃないか…!

ハルカ)本当ハヤトって変わらないよね。あの時も迷ってた。今でも迷ってる。じゃあ私って何。ただの仮住まい? ここはハヤトの家じゃないでしょう!

ハヤト)……ごめん。邪魔した。(立ち去ろうとするが、ミズキのことが気にかかって立ち止まる)

ハルカ)具合が良くなるまで、私が預かっておくから。

ハヤト)……。

ハヤトは鍵を置いて出て行った。

ハルカ)……。(電話をかける)……ナツキ? ねえ、今から会える? ……そう、今すぐ。家に来て欲しいんだけど。駄目? ……うん、分かった。ありがとう。じゃあ待ってるから。バイバイ。

ミズキ)……お姉ちゃん?

ハルカ)あ、起きた? 大丈夫? 水持ってこようか。

ミズキ)自分で……。(起き上がろうとする)

ハルカ)駄目。ちゃんと回復するまで寝てなさい。

ミズキ)ありがとう。……お兄ちゃんは?

ハルカ)ついさっき出掛けたよ。何か用事があるみたいだったけど。…はい、お水。

ミズキ)ありがとう。(飲む)

ハルカ)……落ち着いた?

ミズキ)何とか。

ハルカ)もうちょっとゆっくりしてるといいよ。

ミズキ、横になる。

ミズキ)お姉ちゃんって、暖かいね。

ハルカ)暖かい?

ミズキ)そう。なんか、お日様みたい。……お兄ちゃんがお姉ちゃんを好きな理由、少しだけ分かるような気がする。

ハルカ)……お日様、かぁ。じゃあ私は、誰に暖めてもらえばいいんだろうね。

ミズキ)?

ハルカ)何でもないよ。

ミズキ、眠る。

ハルカ)太陽は地球を照らす。月を照らす。太陽系を照らす。でも、太陽そのものが照らされることはない……。

チャイムが鳴る。

ハルカ)ナツキ!

ハルカは、ぱっと玄関に駆け出していく。ドアを開ける。

ナツキ)ハルカ。

ハルカ)いるよ。

ナツキ)ありがとう。

ハルカ)家出してきたんだって。

ナツキ)知ってる。……お兄さんの方はどこへ行ったのかな?

ハルカ)追い出したよ。暫くは帰ってこないと思う。……じゃあ私、部屋出てるから。

ナツキ)ハルカ。

ハルカ)?

ナツキ)ありがとう。

ハルカはふっと笑って、部屋を出ていった。

ナツキ)……ミズキ。久しぶりだね、元気だった? 君と会うのは一週間ぶりかな、元気そうで嬉しいよ。寝顔もなかなか可愛いね、だけど動いてくれないとつまらないよ。ねえ、起きて。起きてくれないなら起こすよ。……これ、何だか分かる? 君のお兄さんが僕のお腹に刺していったハサミだよ、痛かったんだからね凄く凄く凄く! グィッと捩じ込まれてそのまま……あぁ! 抜いたら出血多量で死ぬところだったんだから。ああ痛い痛い痛い痛い痛いよ痛い、今でも痛いんだよ君のせいで。君がもう少し大人しくしてくれれば……なのに君が痛くないなんて理不尽だよねぇ?

ハサミをミズキの口の中に入れる。

ミズキ)……!

ナツキ)お早う、ミズキ。動かない方が良いよ、声が出ないようになりたくなかったら。

ミズキ)……助……け!

ナツキ)無駄だよ、ここには誰もいない。君と僕の二人だけ。じゃあ、この前の続きを始めようか。大丈夫だよ、すぐに馴れるから。……だからさぁ、そんなにバタバタしてると舌切り雀になるよ。

ハサミを開く。

ミズキ)……!

ナツキ)ああ、いいねそのカオ。携帯に撮っていい? ……撮っちゃった。でもって君と君のお兄さんに送信っと。

携帯、鳴る。

ナツキ)見ーつけた。こんなところにあったんだ。これさ、君の知り合いに一斉送信したらどうなるかなぁ?

ナツキが携帯に熱中している間に、隙をみてミズキは逃れる。

ナツキ)あ、ミズキ! 駄目だって言ったじゃないか。

ミズキ)お兄ちゃん……お姉ちゃん……!

ナツキ)いないよ。ここには君と僕の二人だけ、二人だけの家なんだよ!

ミズキ)違う!ここはお姉ちゃんの家だよ。知ってるんだから!

ナツキ)お姉ちゃん? へえ、ハルカってそう呼ばれてるんだ。……ハルカお姉ちゃん、出ておいで。妹さんがお呼びだよ。

ミズキ)お姉ちゃん……!

ハルカ)ミズキちゃん。

駆け寄るミズキ。ハルカ、ミズキを捕らえる。

ハルカ)……お姉ちゃんって呼ばないで。

ミズキ)え……?

ハルカ)私はあなたのお姉ちゃんじゃない。お姉ちゃんにはなれないの。

ナツキ)だってさ、ミズキ。残念だったね。

ミズキ)……放して! ……お兄ちゃん。お兄ちゃん!

ナツキ)ハヤトお兄ちゃんもいないよ。君を置いてどこかに行ってしまったんだ。ミズキ、君は捨てられたんだよ。可愛いそうなミズキ! 君にはやっぱり僕しかいないんだよ。ミズキ。ミズキ……!

ハルカ)動かないで! ……この子がどうなってもいいの?

ナツキ)……ハルカ。君は自分が何をやってるのか分かってるのかな? そんなことしても何の意味もないよ。ハヤトも、ミズキも、僕すら失って、一人になるだけだよ。

ハルカ)私……ナツキのことが好き。だから手伝った。だからここにいる。私はナツキのことが大好き。

ナツキ)だったらどうして。

ハルカ)でもね……ミズキと一緒にいるナツキは嫌いなの。だから死んで、

ハルカはミズキに刃先を向ける。

ナツキ)やめ……!

静止。やがてゆっくりとくずおれるナツキ。

ナツキ)……ミズ、キ……。

ハルカ)……やー!! やぁー! いやぁあああー!!

ミズキ、逃げようとする。

ハルカ)あんたのせいでナツキが……ナツキが……!

ハルカはミズキに掴みかかる。ミズキはライターを見付けて牽制する。ハルカと奪い合い、落としてしまう。

ミズキ)あ……!

ハルカに火がついた。見る間に全身に広がっていく炎。ミズキは後退り、逃げていった。炎に包まれる2つの身体。家は、焼けた。

2つの体が横たわっている。やがて2羽の鳥がやってきて、停まった。

ミズキ)死んだね。

ハヤト)死んだな。

ミズキ)どうしよう。

ハヤト)どうもしない。

ミズキ)どこへ行く?

ハヤト)どこか、遠くへ。

ミズキ)遠くって?

ハヤト)案外近くかもしれないけど。……見付けた。

ミズキ)何を?

ハヤト)道しるべ。

何かを掲げ持つハヤト。

ハヤト)行こうか。

2人は歩き出す。

ミズキ)……お兄ちゃん、お腹空いた。

ハヤト)もうちょっと我慢しろよ。今、良いとこ連れてってやるから。

ミズキ)良いとこって、どこ?

ハヤト)暖かい場所だよ。……帰ろう。

2羽の鳥は飛び立っていく。幕。

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