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ポケット詩

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#夢楽ゆらり

楽園の花

目蓋の裏に太陽が張り付いている。罪人の印。遥かな記憶、遠い昔からやって来た、懐かしい風景…

2

存在確認

なだらかな坂道を歩いている。作り物の町並み、カラクリ人形の人々。ショー・ウィンドウに僕の…

2

逡巡、箱の前で。

連鎖する。 そんなことは知っているのです、 病はうつるものなのです。 こんなにあなたが好き…

Lost

どこへもいけない思いが文字を連ねて、それが詩と呼ばれたときに、なにかを失った気がした。 …

5

白昼夢

白んでいく空は頭まで白くして どこまでも飛んでいけるから怖くて夢と思い込んだ オトナにな…

3

傾げた首落ちるまで【改】

どこへ行くの涙 逆さまの傘くるりと回せば 金平糖の雨が降る ぶちまけたネオン 雑踏に消える影…

2

太陽とにらめっこ。影とかくれんぼしていたね。いつだって鬼だった。知らんぷりが得意だね。空気になりたかった、あなたを支配したかった、そんな欲を押し殺して、恋人になった。隣にいるとムズムズするんだ、なんでわたしはあなたじゃないんだろう、なんでひとりじゃなくってふたりなんだろうって。気持ち悪いんだ。孤独になれないことが、窮屈なんだ。殺しちゃえばいいのかな。ムクッと、影が起きあがる。そそそっとあなたに近づいて、その口に飛び込んだ。呑み込んだ、あなたは溶けだした、どろどろ、溶けていなく

眠り姫

棘だらけの薔薇だった人生 薔薇色じゃなかった血の色だった 秘蜜を啜る吸血鬼 眠り姫にキスを…

1

愛は心臓を交換すること。わたしは祈るみたいに呪った。あなたの髪を一本包んで心を畳み、鶴を…

2

ことばを砕いて砂にする。噛み締めれば味がするかな。うず高く積めばお城になるかな。閉じ込め…

1

心臓

心臓を握られているから、逃げられないの。ちょっと困った顔をして笑った、きみが本当は困って…

2

ひとり二役

鏡の中のわたしとにらめっこ。かくれんぼ。鬼ごっこ。わたしがいつも鬼。ニヤニヤ、笑っている…

1

籠の鳥

かたちを失っていく。幸せに犯されていく。感覚が麻痺して、もう、生きているかも分からない。…

1

往き止まり

乞ひ上手なんて云わないで、だって毀れ落ちていくの、 幸せとか全部、お芝居みたいなものね。 聞き飽きたの、愛してるとか馬鹿だとか、 嘘だとか本当だとか、屑籠行きね。 奪って欲しい、なんて心は仕舞ってしまって、 厭になるほど好きなあなた、癖になるほど強いお酒〈せじ〉を頂戴な。 そろそろしゃんとしないと、往き止まっちゃいそうね、 生き苦しい世の中、猫になって歩きましょ。 鈴なら鳴らしてあげる、可愛いでしょあなたのものよ、 なのに釣れない、だから意地悪、あたしの紅〈いろ〉付け