Lost

どこへもいけない思いが文字を連ねて、それが詩と呼ばれたときに、なにかを失った気がした。

あやとりの編み方だって、わたしが発明したはずだった。
発見したことが既に名前の付けられたものだと知ったときに、初めて他者の存在を認めた気がする。

新しいと感じた考えが使い古されたものだと気付いたときに、歴史を知ったのだろう。
発見は好きだけれど、正しいことが分からなくなったから学問の道から外れ、詩に憑りつかれた。

迷子になることが好きだった。
帰り道が分かり切ってるだなんてそんなのはつまらなくて、知らない道が知っている道と繋がっていることに驚きたかった。

そんな単純なことも忘れてしまった今、義務感に囚われている。
初めて逃げ出したのはいつだったろう。

感情を手懐けることを覚えようとしている。
けれど感情に振り回されることは大好きで、だから本やアニメが大好物だった。

純粋に楽しむことを忘れてしまった。
ただ沈黙し、何もしようとしない時間をつくりたい。

取り戻すために。

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