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太陽とにらめっこ。影とかくれんぼしていたね。いつだって鬼だった。知らんぷりが得意だね。空気になりたかった、あなたを支配したかった、そんな欲を押し殺して、恋人になった。隣にいるとムズムズするんだ、なんでわたしはあなたじゃないんだろう、なんでひとりじゃなくってふたりなんだろうって。気持ち悪いんだ。孤独になれないことが、窮屈なんだ。殺しちゃえばいいのかな。ムクッと、影が起きあがる。そそそっとあなたに近づいて、その口に飛び込んだ。呑み込んだ、あなたは溶けだした、どろどろ、溶けていなくなった。どこへ行った? わたしの影、どこへ行った? くるりとうしろを振り向くと、太陽がケラケラ笑っていた。食べちゃったよ、美味しかった。もっと食べたい、とわたしも食べられた。透明になっていく、空気になっていく。あれれ、わたし、あなたになっちゃった? な~んだ、あなた、からっぽなのね。わたしでいっぱいなのね。好きは呪い、縛りつける鎖だね。引きちぎっちゃえ。自由を飼い慣らそう、ワンワン。あなたとわたしでひとり。夢の中って書いて夢中だね。酔い醒ましちゃえ。あ、カフェでひとりだった。あなたはノートの中で生きている、生まれたばかりの羊だった。メリーさんがいつも背後にいるなら、絶対出会えないよ。羊、数えたって眠れないよ。だってあなた、腹の中だもん。心中しちゃおうか。

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