見出し画像

逡巡、箱の前で。

連鎖する。
そんなことは知っているのです、
病はうつるものなのです。
こんなにあなたが好きなこと、
どうしたら分かってくれますか?
死んだらいいですか?
殺したらいいですか?
ああ、何も残らないのが口惜しいです。
掌からこぼれ落ちる砂、
時が経つというのはそういうことです。
だからあなたに伝えます、
だからあなたに刻みます、
私の名前を。
口にして息絶えると良いのです、
このまま何も言わないで。
指折り数えても、
指切り数えても、
どちらも変わりはしないのです。
赤い線を切るのか、
青い線を切るのか、
それだけの違いなのです。
いっそのこと、
両方を切ってしまえたなら。

――制限時間はありません。
ゆっくり、ゆっくり、考えるのです。

目の前に箱があります。
それは果たして、
開くのか、壊れるのか、消えるのか。
いつになるかも分かりません。
あるいはずっとそのままかもしれません。
気づいたらそこにあって、
どうすればいいのか分からないのです。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?