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日めくり俳句

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季節に感謝する気持ちを忘れないように、できれば毎日、自分の句と先輩方の句をアップしようと思っています。仮に途切れることがあっても、季節は絶え間なく進みますので、私も気を取り直して… もっと読む
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記事一覧

握る手も放す手もあり春嵐

近畿では春一番が吹いたとか。我が家の窓もガタピシ言ってます。なんだか急に地球が走り出した…

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街は今カルピスの中朝霧に

マチハイマ・カルピスノナカ・アサギリニ 目覚めた時、今年初の霧模様でした。「霧」は秋の季…

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萩揺るる初老の恋のごとそっと

若いころは気にもとめなかった萩の花が、なぜか目に付く今日この頃。色も、形も、大きさも、可…

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柔らかく光を孕む芒の穂

ヤハラカク・ヒカリヲハラム・ススキノホ 夕陽を背に芒を見ると、こんな風に見えます。 穂芒…

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明日は雨ふくれっ面の柘榴かな

アスハアメ・フクレッツラノ・ザクロカナ 柘榴(ざくろ)。赤ら顔で唇を尖らせているうちは怒…

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目が合ひぬ莢から覗く枝豆と

メガアヒヌ・サヤカラノゾク・エダマメト まだかな、まだかな、と枝豆が茹るのを楽しみに待つ…

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古代よりこの指先へ赤蜻蛉

コダイヨリ・コノユビサキヘ・アカトンボ 2億5000万年以上前から生き残っているトンボ目。カンブリア紀の温暖化も、白亜紀の氷河期も、難なく飛び越して今に至る。空中で静止していたかと思えば急発進して直角に曲がったりする敏捷な動き、さすがサバイバルしてきただけのことはある。そのくせ、人差し指を向けてやれば人懐っこく止まってくるではないか。めんこい。ようこそ、私の指へ! とどまればあたりにふゆる蜻蛉かな 中村汀女 汀女さんも、蜻蛉がお好きだったのではないかしら。それとも、ヒッ

吹かれても光こぼさぬ秋桜

フカレテモ・ヒカリコボサヌ・アキザクラ 光を満載した花と、それを支える嫋やかな茎。フラフ…

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秋の蚊に吸わせてやるも徳のうち

台風で湿気が高いせいか、蚊が出まして、えらい目にあいました。しかし、こんな状況もポジティ…

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秋の雲絵の具溶く間に様変はり

アキノクモ・エノグトクマニ・サマガハリ 颱風が近づいていることもあるのでしょうが、とにか…

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聴き分けてなどか嬉しき草雲雀

キキワケテ・ナドカウレシキ・クサヒバリ 秋の虫のオーケストラをパートごとに聴き分けられた…

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逃げたかろ颱風前の林檎の木

台風10号が接近中。ニュースは避難を呼びかけています。逃げられる人は逃げた方がいいです。…

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渋谷から月に追われて新都心

埼京線の車窓から見た月が綺麗だったので、てっきり中秋の名月かと思いきや、今宵の月齢は15.4…

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稲妻や闇に潜みし雲あらわ

イナズマヤ・ヤミニヒソミシ・クモアラワ 稲妻が走った時、光に写し出された雲を見て、「闇夜にも雲があったのだなぁ」と詠んだ句です。その雲は、悪巧みを見つかってしまった子供のようでした。 雲間より稲妻の尾の現れぬ 高濱虚子 虚子さんには、稲妻より先に雲が見えていたのですね。夕方だったのかしら。 「稲妻」「稲光」は三秋の季語です。