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ランチが美味しいと自然と笑顔になる/「いい子のあくび」読了しました

今週に入ってから、なぜだか仕事量が増えた。担当でもないのに収拾のつかない会議の取りまとめをしたり、膨大なデータを地道にチェックしたり、部署全員がざわつく事件が発生したり。

週の真ん中水曜日、午後に控えるタスクを頭の中で列挙しながら、「仕事前のご褒美がほしい」と思った。よし、今日は「4桁のランチ」を食べよう。普段は絶対ランチで千円超えないし、パパッと食べれるおにぎりやパンを買いがち。「4桁ランチ」は私にとってビッグイベント(大事なので2回言ってみた)。

選んだランチの先はドイツ料理店。ずっと近くを通ってたのに、タイミングが合わず行けてなかったので、店に入っただけでワクワクした。

「ビール飲んでヴルスト食べて、ビールでマッシュドポテトを流し込みたい!」

流石に仕事中の昼休みに飲酒はできない。でもドイツを感じたい。そんな私は惹かれるように「パリパリビアチキンランチ」を注文。響きだけでもう幸せ。ぱりぱりびあちきん。

パリパリビアチキンが目の前にやってきた。確かにパリパリした見た目!揚げ色も綺麗!そして、ドイツ料理の大好きな脇役、マッシュドポテトとキャベツのピクルス(的なもの)が添えてある!

慣れないナイフとフォークでチキンを切り、口に運ぶ。
パリっ。…にこぉっ。
美味しすぎて思わずほほえんでしまった。チキンにつけるディップソースもポテトもキャベツも美味しくて、終始にっこにこだった。

お会計が終わって店を出るまで顔が緩んでいたと思う。この顔を誰かに見られていたかもと考えると少し恥ずかしい。ひとりだったから尚更。でも、おかげさまで午後の仕事も捗り、今週も1週間生き抜いた。おつかれ自分。

リピート確定。今度はディナータイムでビールを飲むぞ。
そして、月1.2回くらいは4桁ランチしてといいかな、と思った。美味しいものを食べると機嫌が良くなる。そのおかげで仕事も捗る。
とりあえず、前々から地図にピンを立てていたお店は制覇しよう。


最近読んだ本の感想を残します。ネタバレ回避。

「いい子のあくび」高瀬隼子

芥川賞受賞第一作。
公私共にわたしは「いい子」。人よりもすこし先に気づくタイプ。わざとやってるんじゃなくて、いいことも、にこにこしちゃうのも、しちゃうから、しちゃうだけ。でも、歩きスマホをしてぶつかってくる人をよけてあげ続けるのは、なぜいつもわたしだけ?「割りに合わなさ」を訴える女性を描いた表題作(「いい子のあくび」)。

集英社HPより

タイトルにまず惹かれた。「いい子」という言葉が、アダルトチルドレンや毒親といったトレンドと付随して聞かれる場面が増えた。

幼い自分も「いい子」だった。人の機嫌を伺う、人に優しくする。行動の主軸が他人だった。いや、他人だと思っていた。

しかし、最近「いい子でいることは自己満足ではないか」「いい子だと自覚するのは、ある意味傲慢なのではないか」と思うことがある。

「やってあげたんだから、その分返してよ」「普段いい子だから、少しくらい我儘いいじゃない」という思想が少なからずずっとあった。そのことを再認識した一冊。

帯の裏に書かれていたフレーズ。
「だっておかしい。割にあわない。」

そうなんだよ、善意でやってあげても、同じ量の善意は返ってこない。それに苛立ち、自分の言動を正義化・正当化する。都合が悪くなると、悲劇のヒロインに早変わり。これがいい子の成れの果て。

不合理でコスパが悪い世の中。それは当たり前のことだけど、架空の世界の正義のヒーローやヒロインを見て育った私たちは、どうしても完璧で理想的な世の中を望んでしまうと思う。

主人公の腹の底にあるドス黒くてドロドロした感情。それは誰しも持っていると思う。自覚するかどうかも人それぞれ。少なくても私は共感できる部分も多かった。

高瀬先生の作品は初めて読んだけど、別の作品にも関心がある。きっと最近、女性作家の純文学を読みたがる傾向にあるからだろう。
自分の中に渦巻いている言語化出来ない感情の代弁者を探しているのかもしれない。

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