まだまだ知らない母のこと

ひらがなの「そ」の書き方が2画の方だなんて知らなかったかった。
20歳になるまで納豆が食べられなかったなんて知らなかった。
強調を表す言葉としてガキガキを使うなんて知らなかった。

母が仕事に行く前に豆乳野菜スープを作ってくれた日、テーブルに置いてあった書き置き。

2画の方の「そ」

この日初めて、母がこっちの「そ」を書く人だと知った。
1画の「そ」だったらわたしは写真を撮らなかっただろう。
母が2画で「そ」を書くことを忘れない気がする。

夕飯時、妹が急に「大人になって食べられるようになったものってある？」と聞いてきた。
しいたけ、牡蠣、レバー、舞茸の天ぷらかな、と答えようとしたら母が食い気味で「納豆。みんな、なんであんな臭いものを食べてるんだろうってずっと思ってたけど、20歳の時に食べられるようになった。」と答えた。

20歳の母を、わたしも妹も知らない。
物心ついた時、すでに母は納豆を食べていたから苦手だったと聞いて驚いた。

今日は年内最後の犬洗いの日。
犬を洗う日は3人が家に揃っている時じゃないとできない。
犬を洗って、乾かすことはかなりの重労働だ。

話の前後を忘れたが、犬を洗う代わりにしっかり拭けばなんとかなるかな、というような内容のことを母が言った。
その時、しっかりに代わる言葉としてガキガキを選んだ。

ガキガキ拭いたらいいかな。

ごしごし、ガシガシ、ならわかる。
ガチで、もわかる。
めっちゃ、や超も母世代が使うと違和感が多少あるが、わかる。

ガキガキ

ガシガシの言い間違いだろうか。
指摘するのも話の腰を折る気がして、「拭くのも悪くないけど、拭いても落ちない匂いあるよね。」と答えた。

母はn歳（プライバシー保護のためnとさせていただきます）になったら100問の母クイズをやるから、色々覚えておいてよ。とここ2-3年繰り返し言っている。
ガキの使いの名企画「クイズ〇〇500のこと」の母verらしい。
全問正解したら10万円とのこと。

100問の母クイズをする頃、わたしはどうなっているだろう。
心身ともに健康であってほしい。