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直腸がん 排便障害予防と子供の送り迎えができる体力を目指して~がんになってはじめた運動~

ルネサンス運動支援センター、大阪国際がんセンター認定 がん専門運動指導士の「むう」です。
※名前をクリック頂ければスタッフの紹介に飛びます。

直腸がんの30代女性
幼児と小学生の子供の母であり、職場復帰をめざしたご利用者様。
ご利用者様の運動内容やどのように改善していったかをお話ししたいと思います。


【運動をしようと思ったキッカケ】


運動支援センターに来館されたのは,
直腸がん摘出とストーマ(人工肛門)の造設手術後半年を経過したころ。

体力が落ちたなと感じ、運動をした方がいいのだろうと思うけれど、
「何をすればいいのか、何が私に必要なのかがわからない。」
そのように悩んでいるタイミングに、当施設をたまたま見つけられ、ご見学にいらっしゃいました。

ご見学を対応する中で、運動は得意ではないとおっしゃっておられましたが、今のお身体の状態、今後どのようなことを不安に思っているのかなどをお伺いしていくと、「運動することが解決方法の一つだ」と強く感じられ、とりあえずやってみようと、当施設に通い始められました。

具体的な目標としては
今後ストーマを閉鎖予定で、閉鎖後の排便障害に対する不安の解消と
保育所に通う子供の送り迎えができる体力の回復
としました。


【骨盤底筋の強化】

「骨盤底筋群の強化」は、ストーマ閉鎖後の肛門を正常に機能させるため、必須項目として実施しました。

エクササイズ内容は、
キュッキュッと肛門をしめる動き10回
ギューッと5秒間しめて5秒で緩める動き10回
仰向けでお尻の穴をしめながらお尻を持ち上げる運動10回など
お尻の穴をしっかりしめることを常にお伝えしながら行いました。

日常生活でも便意を感じた時に、トイレに座ってから数秒止めてみるなど、肛門を使う方法をお伝えしました。

自然肛門への移行後、術前から不安に思われていた便失禁については、事前のトレーニング効果もあり、ほぼ問題ありませんでした。

【全身筋力の向上】

直腸がんの摘出手術は腹腔鏡手術ということで、身体への影響は開腹手術より少ないとはいえ、退院後も外出を避けるなど活動量の減少(コロナ禍も理由)から、体力の低下がみられ、特に体幹、脚筋力の低下が顕著でした。

もともとの姿勢が少し反り腰気味ということもあり、腹部への意識もしづらい傾向でしたので、内ももやお尻、体幹のトレーニングの際、下腹部への意識をしながら行っていただきました。

スクワットやランジといった脚の筋力も行いながら、階段を昇るような動きの全身運動エクササイズも増やしていき、自転車でお子さんを送迎する体力の向上を目指しました。

【自然肛門へ移行手術後】

自然肛門への移行手術後、当時のお身体の状態は万全というわけではなく、手術で直腸が短縮し畜便量が減ることによる、頻便に悩まれており、外出や仕事の復職について不安に感じられていました。
また、夜間頻便による睡眠不足や全身倦怠感もあり、日中も疲労感を感じられているような様子でした。

そこで頻便については、排便の時間や回数を記録できるアプリを使用され、どのようなタイミングで排便があるのかを確認されていました。

アプリを使用した結果、睡眠時や家でゆっくりしている時に便意を感じることが多く、外出時など若干の緊張状態の時は少ないということがわかりました。
外出に関してはタイミングがわかれば対処がわかるということで、少し不安が和らぎ積極的に外出もできるようなっていきました。

運動については、担当医から体幹をねじる動作は控えるようにと指導があり、強く腹圧を高めたりねじる運動を避け、お尻回り、背中、脚の筋力トレーニングを中心に行いました。

移行手術後、約1カ月で、腹部への配慮をしながらも、全身を動かすメニューを実施していき、体力回復を目指す積極的な運動を徐々に増やしていくことにしました。

自宅でも、ストレッチポールを利用したコンディショニングや骨盤底筋運動など、自主トレーニングも実施していただくことで、頻便による睡眠不足や疲労感を感じつつも、少しずつ体力が向上していきました。

当初の目標であったお子さんの送迎も移行手術後4カ月でできるようになり、同時に職場復帰をされました。

【体力の変化:アセスメント】


★体力測定の30秒立ち上がりテスト(脚の筋持久力)★
 術後1カ月  18回
   ↓
 術後5カ月  25回  (↑7回)

術後1カ月では、評価年齢が65歳程度でしたが、術後5カ月で30歳程度と実年齢に近い数値に戻りました。

★便失禁FIQLSの質問★(当施設用にアレンジして使用)
 (※4段階で評価。「4」が便失禁が生活に影響大)

 移行手術直後  平均2.85
   ↓
 術後5カ月     平均1.25 (↓1.6)

手術直後は、便意を感じるタイミングのリズムがつかめず不安を強く感じておられましたが、術後5カ月で、便失禁に対するQOLも大幅に改善されました。

【あとがき】


現在このご利用者様は、ルネサンス運動支援センターを卒業され、職場の建物の2階から7階まで、階段で行き来するほど体力が回復されており、バリバリお仕事されています。
もちろん運動も仕事と育児、家事の合間に続けておられます。

この利用者様とのセッションで感じたこと。
それは、

治療による体力の低下は、高齢者の方だけではなく
若い方も生活に影響を受けるほど感じておられるということ。


がんになる前はあたり前にできていた生活に戻りたいと老若男女関わらず願っていらっしゃる。

そして、その回復の一端を「運動」が確実に担っているということ。

お一人でも多くのがん患者さん、経験者さんに元の生活に戻れるお手伝いをしたいです。

体力に不安を感じ、職場復帰や元の生活に戻ることを目指されている方、ルネサンス運動支援センターの扉をぜひ叩いてみてください。
あなたにとって良い方法を一緒に考えさせていただきます。

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