見出し画像

キャン的な日記 2023年12月1日〜12月6日

 小沼理さんの『みんなもっと日記を書いて売ったらいいのに』が先日届いた。タイトルを見た瞬間ピンと来て、2刷目入荷の案内が来たタイミングでポチった。「ひとはなぜ日記を書き、販売するのかを当事者の視点で考察していただければ」という編集者からの依頼を元に、雑誌に連載された文章が収められたZINE。(こちらから初回の全文が読めます。)
 日記的な文章はたまにnoteで書いていたことや、最近、日記をまとめた本やZINEが書店や文フリなどで販売されているのを見聞きしていたのもあり、「人に届ける作品としての日記」に興味が高まっていた。いつか自分の書いた文章を手に取れるような形にして販売してみたいなという気持ちも湧いて来ている。そんなこんなで、ここ1週間は文章に残しておきたくなるようなこともいくつかあったので、日記として書き残しておく。


12月1日(金)

 妖怪になりたい絵本作家の加藤さんと、文化人類学者の奥野克巳先生が中心になって進めている「聞き流す、人類学。」というプロジェクトに3週間ほど前から関わらせてもらっている。毎週木曜22時からの定例MTGは、毎回2時間超えでボリューミーだけど、メンバーも企画も面白くて、日常に逃走線を引いてくれる、いいアクセントになっている。来年3月には奥野先生、加藤さんと一緒にマレーシア、ボルネオ島の狩猟採集民プナンを訪ねる旅に同行させてもらえることになった。

ボルネオ島の森で、狩猟採集中心の暮らしを営む人々、プナン。彼らは借りたものを壊しても謝らず、礼も言わない。感謝や反省の概念がないのだ。所有感覚も希薄で、食料は皆で分け合い、子どもも実子養子の区別なく育てられる。長年フィールドワークを続ける著者は、資本主義にとらわれないプナンとの生活の中で、人間の生の可能性を思考していく――。常識をひっくり返す、刺激に満ちた一冊。

奥野克巳『ありがとうもごめんなさいもいらない森の民と暮らして人類学者が考えたこと

 自分が社会の中で感じている違和感やモヤモヤ、生きづらさのようなものを相対化し、解きほぐすヒントがそこにはあるような気がしている。このプロジェクトに関わる中で、どのような変化や変容が生まれていくか、今後の展開が楽しみ。声をかけてくれた加藤さんに感謝。

 沖縄居酒屋ぱいかじ銀座8丁目店の店長だった比嘉直人さんが新しく月島にココワオキナワというお店をオープンするとのことで、ひさしぶりに連絡をもらったので、お祝いがてら初日の開店時間から顔を出して来た。オリオンビールとA&W(エンダー)名物のカーリーポテトフライ、2杯目は高校の同級生がつくっている石垣島の泡盛「白百合」をロックで頼んだ。ぱいかじ同様、三線の生演奏が聴けるお店にするそう。年明け以降、たまにお店で三線を弾かせてもらうことになるかも。

 夜は有楽町の産直横丁で三線流し。更地になっていたPORTO有楽町店跡地が、いつの間にかだいぶ工事が進んでいた。大きな商業ビルになりそうな気配。どんなお店やテナントが入るのだろうか。閉店したのが2021年の2月。時の流れを感じる。閉店前に石垣島から父ちゃんに来てもらって、親子コラボナイトをしたのは、懐かしくて、よき思い出。いろんな友人、知人と父ちゃんを囲めてうれしかったな。

PORTO有楽町店跡地

 三線流しから帰って来て、豚こま肉&玉ねぎのカレーと、レンチン鶏むねチャーシューをつくって食べた。美味しくできて満たされた気分に。最近は台所で自炊してるときが一番心が安らぐ。8月まではほぼ一切家で料理していなかったから、自炊がすっかり日常の一部になってきたのは不思議な感覚。今年一番の生活上の変化かもしれない。


12月2日(土)

 王子の北とぴあで全日本流し協会のルーキー向けセミナーに参加。終了後は近くの居酒屋で忘年会。「流しはライブやストリートパフォーマンスと違ってオフェンス。お呼びじゃないところに声をかけて、どうやって演奏させてもらうかが勝負」。お客さんの興味を引くための、見た目、キャラ、コミュニケーションの工夫など、流しの先輩たちの経験に基づくレクチャーはとても面白くて参考になった。忘年会では、ミュージシャン、芸人、占い師、似顔絵師、催眠術師など、普段会う機会の少ないパフォーマーの人たちが数十人近く集まり、それぞれの芸を披露する時間もあって、楽しい時間だった。運営のみなさん、ありがとうございました。


12月3日(日)

 朝方、物音がして目が覚めた。時刻は7時半頃。人の声らしきものが聞こえるので、明かりをつけて屋根裏から下を覗いてみたら、知らないおじさんがいてびっくりした。寝起きの要領を得ない頭で話を聞いてみると、後輩の高田の紹介で来たと言う。高田は曳舟から京成線で二駅先にある四ツ木のghostという居住スペース付きギャラリーに住んでいる。
 そういえば、前日の夜に電話があり、「うちのギャラリーで今展示をやってる大木裕之さんってアーティストの人が長屋に興味あって行ってみたいって言ってる」と話していた。その日は予定があったので、「うち鍵かかってないから、好きなタイミングで遊びに来てもらってオーケー」と伝えた。その大木さんが、朝の散歩がてら、早速やって来たというわけだ。
 「いつでもどうぞ」とは言ったものの、予想外のタイミング過ぎて完全に意表をつかれた。長屋の1階は冷えるので、上に上がってもらって10分ほどおしゃべりした。何を話したのかはもはや覚えていないが、床に置いてあった新井英樹さんの『ひとのこ』というマンガに興味を示していたので、「よかったら貸しますよ」と言ったら、よくわからないけど、ショバ代とのことで1000円置いていってくれた。
 こういう謎の出会いはたまにあって、大学時代にも路上で知り合った生活保護のおじさんに歌舞伎町のバーに連れて行ってもらったことがあったけど、「朝起きたら知らないおじさんが家にいた」は、ドッキリかと思うぐらい、なかなかないシチュエーションなので、おもろいネタが増えて楽しいなと思っている。

 突然の来訪者が帰った後に寝直して昼前に起きたら、友達がYouTubeのおすすめエクササイズ動画をLINEで送って来ていたから、試しにやってみた。30分はキツそうだなあ、と思いながらなんとかやりきったら、思った以上にキツくて、めっちゃ汗かいたけど、達成感はだいぶあった。しばらく全身筋肉痛になるやつ。

 夜は早稲田の先輩、世一さんの家がある千川へ。10月に世一さん、早稲田同期の金子と一緒に開催した燻製BBQの慰労会。心地よい音楽をバックに、鍋や銀杏など、美味しいごはんを振る舞ってもらい、お酒を飲みながら、ゆるりと語り合った。来年もまた燻製の会を定期的にやろうと話したり、場づくりのプロジェクトも先々一緒にやれそうな話が出て楽しみ。好きな仲間と一緒に何かをつくったり、いい時間や場を共にしていくことが、人生の喜びの一つだな、とあらためて感じるついこの頃。

 帰り道、ひさしぶりにエレカシ宮本さんの「Do you remember?」を聴いたら無性にカラオケに行きたくなってきた。年末は仲間とパーっと飲んでワーっと歌ってスッキリしたい。


12月4日(月)

 来週から仕事でしばらくタイに旅立つ友達と神保町のさぼうるでお茶しながら、いろいろと語り合ってきた。今年の前半、人生の先行きに不安を覚えて落ち込んでいた時期に、浅草で飲みながら話を聞いてくれて、励みになるうれしい言葉をかけてくれた。大学時代からだから、もう10数年の付き合いになる。しばらく会えなくなるのは寂しいけど、これまでを振り返りつつ、これからの話もできて、心がほっこりとあたたまる、いい時間を過ごせてよかった。生きていくのは楽ではないけど、自分の人生や、在り様を面白がって、応援してくれる友達に度々救われている。


12月5日(火)

 コクヨさんが運営するTHE CAMPUS FLATS TOGOSHIという施設で10月から月に数回スナックスペースのカウンターに立たせてもらっている。毎週月火水の3日間をPORTOメンバーでシフトを組んで担当している。
 今夜は営業中に治療中の前歯の仮歯が一部取れてしまい、いつも歯を診てくれている渡邊歯科医院のナベさんに連絡。急遽、明日診てもらうことに。離れてわかる故郷のよさ、じゃないけど、歯も欠けてみて初めて、不自由なくごはんが食べられる日常のありがたさに気づくなあと。

 帰り道は雨が降っていたけど、傘も無いし、小雨だったから、急ぎ足で駅へ向かう。駅のホームでYouTube開いたら、自炊はじめてからしょっちゅう観ている料理研究家リュウジの新しいレシピが上がっていた。鯖の味噌煮好きだからうれしい。今度作ってみる。


12月6日(水)

 最近ゲームやりたい欲に無性に駆られていたけど、Switch買う余裕もないなあと思っていたところ、シェアハウス時代に友達が寄付していったPS4があったのを思い出した。動作確認も兼ねて、1週間ちょっと前に近所のブックオフで300円で売っていたモンスターハンターワールドを試しに買ってみたところ、まんまとハマり、度々徹夜で昼夜逆転という大学生みたいな生活を送っている。11月に沖縄から帰って来てから勤労意欲がだだ下がっていたところに拍車がかかり、もうちょい働かないとヤバいなあと思いつつも、時間を忘れて夢中になれる楽しさが、冬の寒さで助長されたさみしさを紛らわせてくれて助かってもいる。

 朝方、寝落ちして起きたら11時前。予定の時間を過ぎていたので、慌ててなべさんに一報入れて根津へ向かう。この日は、なべさんの家の庭掃除を手伝うことになっていたので、少し作業してから秋葉原にラーメンを食べに行くことに。なべさんの愛車のハーレーは加速がすごくて、後ろに乗っているとジェットコースターに乗っている気分でスリル満点。天気もよくて、とても気持ちよかった。いつかバイクの免許取ったら、一緒にツーリングに行きたい。
 仕事のお昼休みのはじめちゃんも合流して、歯医者コンビと一緒に二郎系まぜそばのMAZERUへ。醤油の肉増しを注文。ひさしぶりに来たけど、大ぶりで肉厚のチャーシューが柔らかくてジューシーでめっちゃ美味しかった。最近、自炊メインで外食が減ったのもあってか、以前よりも美味しく感じた。家ではなかなか作れないものを食べたり、美味しいものを仲間と一緒に食べて時間を共にすることが外食の魅力だなと最近あらためて感じている。

 はじめちゃんと別れてバイクで根津に戻り、作業再開。立派な柿の木をはじめ、剪定された庭の木の枝を切り分けてまとめたり、葉っぱを集めてゴミ袋に入れていく。めんどくさがりで腰が重い性分だけど、掃除や片付けは、いざやり出すととことんやりたくなるタイプ。一人だと億劫なことでも、人と話しながらなら楽しくやれる。次回は長らく手をつけられていなかった家の掃除をなべさんに手伝ってもらうことになった。ありがたや。

 庭掃除がすっきり片付いてから、渡邊歯科で仮歯を直してもらった。あまり前歯を使わずにごはん食べるのは大変だったので、休みの日に対応してもらってとても助かった。説明も治療もとても丁寧にしてくれて、友達もたくさんお世話になっているので、いい歯医者さんを探している人はぜひ一度行ってみてほしい。東京藝大が近いので、ゆかりのあるアーティストの作品もたくさん飾ってあって楽しい。これだけアート作品を間近に見れる歯科医院はなかなかないと思う。

▪︎渡邊歯科医院

診療後は、なべさんと一緒に鶯谷の萩の湯へ。体を動かした後のお風呂はすごく気持ちよくて、風呂上りのビールと冷奴も最高だった。最後は日暮里駅前のおにやんまでうどんを食べて〆。シンプルだけど、こういう一日がしあわせに感じる。最近は以前より人と会う機会も減って、一人で過ごす時間が増えていたけど、月に一度ぐらいは、こんな時間を持ちたいなと思う。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?