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ある朝、スターバックスで |赤丸天の「My Canada」

我社のオフィスに近いスターバックスでコーヒーを注文するために並んでいたとき、あきらかにホームレスと思われる中年の男性が列の前に並んでいた。

自分の番がくると小声で注文していたが、料金を払う段になって手持ちのお金が足りなかったようで、もじもじしている。

キャッシャーもどう対応したら良いかわからない様子で周りが一瞬ぎこちない雰囲気になったその時、横にいた若い学生風の男性がキャッシャーに向かってごく自然に「大丈夫。彼は僕の連れなんだよ」(Its’ okay. He is with me.)って声をかけ、代金をカウンターに置いたのだ。

ホームレスの男は意外な表情を浮かべながらも、コーヒーを手に何も言わずに立ち去っていった。

店内にいた人たちの時間がいっとき止まったような出来事だったが、我に返ったときしみじみと思った。

それにしても、何という優しい言葉なんだろう。

Its’ okay. He is with me….

Ten Akamaru(赤丸天)

1970年代にカナダはトロントの現OCAD Universityに留学し、1980年代にカナダで起業。その後カナダ市民権を取得しバンクーバーに生活拠点を置く赤丸が、枠にとらわれずに現在と過去の出来事や日常を綴るコラム。カナダと日本の比較、カナダの特色および文化、社会や考え方など、長年暮らす❝My Canada❞を描写します。