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多分野に手を出す人|何者でもない雑草キャリアが何者かになるまで

こんにちは、さやです。

昨日の記事で登場した、私が尊敬する大学教授。

先生とは特別多くの時間を過ごしたわけではありませんが、私の人生に大きな影響を与えた人であることは間違いありません。

そんな先生とのエピソードから、専門性に関するお話をまとめたいと思います。


多分野に手を出す人

先生は、ちょっと(いや、かなり)変わった人でした。

専攻は宇宙惑星科学のはずですが、情報ネットワークの授業を担当していて、私が所属していた放送メディアの団体で顧問的なこともしていました。

そうかとおもえば、自閉症の子ども向けの生活支援プログラムみたいなものを作っていて、この人は何者なんだろう、というかんじ。

自分のパソコンに変なニックネームをつけたり、ガリガリ君はソーダ味しか許さない謎のこだわりがあったり。

とにかく、一言でいうと「変な人」でした。

当時大学生だった私は、ここまで風変わりな人を見たことがありません。

あっちこっちの分野に手を出して、「この人は何屋さんだ?」と思う一方で、どれもちゃんと真剣に向き合っているようでもありました。

他の教授は、自分の専門分野があって、そこに関しては変態的に詳しいわけですが、この先生はとにかく同時に複数の分野に手を出している。

多分ちょっとだけ、大学の中でも浮いているような存在でした。(悪い意味ではありません。)

自分に失望せずに生きられる

そんな先生と私。

私は人文学科で、先生は工学部の方でしたが、たぶんなんとなく気が合うところがありました。

時おり先生の研究室に呼ばれては、あれこれお話をしたような記憶があります。

一番印象に残っているのは、先生が大阪王将の冷凍肉まん(だったかな)をふるまってくれたこと。

「大阪王将って何ですか」

と聞いた私に、

「そんなことも知らんのか」

と先生は笑っていました。

私は自分で言うのもなんですが、小さいころから礼儀正しい優等生タイプでした。

でもこの先生に対してだけはなぜか気安く、親戚のおじさんくらいの感覚で接していたように思います。

だから、特に気を遣うこともなく、先生に聞いてみたことがあります。

「先生って、なんであっちもこっちも手をつけてるんですか。めっちゃ忙しそうじゃないですか」

先生は、確かこんな感じで答えました。

「だってさ、もし1個のことしかやってなかたら、それがダメになった
ときに絶望するじゃん。生きていくのがしんどくなるくらい失望するでしょ。でもさ、2つも3つも手を出してたらさ、どれか1個くらいダメになったって問題ないのよ。他のことやればいいんだから。」

なんだか、納得いくようないかないような。

先生くらい(変態的に)優秀で、行動力のある人なら、失敗して失望するときのことなんて考えなくて良いのでは?

それに、最初から失敗を想定して動くなんて、なんかちょっとカッコ悪くない?

そんなふうにも思いました。

そんな思考が態度に表れていたのか、先生はまた苦笑いをしていたように思います。

少し大人を経験して

そんな先生との他愛ない会話をして、はや15年以上。

私は大学を卒業し、社会人になり、人並みに苦労もしてきました。

気づけばフリーランスになって、カナダで生活しています。

そして、私のキャリアといえば、介護福祉士だったり、人事マネージャーだったり、webライターだったり。

先生ほどの深い専門性はないものの、なんだか先生と似たような、多分野に手を出す大人になっていました。

1つの専門性を突き詰めるスペシャリストに憧れていたはずなのに。

今になって、先生の言葉が少しだけ理解できます。

つまり、私は介護も人事もライターも自分なりに向き合ってきたので、どれか1つだめになっても、他でどうにかできるという心の安心感があります。

ライターで生計を立てられなくなったら、また介護の仕事をしても良いな、と思う。

介護会社の人事の仕事なら、さらにうまくやれるかな、とも思う。

介護会社の採用広報的な人事ポジションなら、かなりうまくやれるかな、なんて思ったりもする。

もしどれか1つしか経験していなくて、何らかの理由でその道が閉ざされていたら。

急にゼロに戻って社会人をやり直さなければならなくなったとしたら、それはすごく大変です。

先生にはもっと深い意味があったのかもしれないし、先生はすべてを同時進行されていたのだから、私とはまったくレベルが違います。

でも、なんとなく、先生と同じような大人になっているのかも、と思ったりします。

先生の今

私が大学在学中に、別の大学に移った先生。

それ以降、何かで一度連絡したような気がしなくもないのですが、まったく接点がありません。

一度、テレビで先生が専門家としてコメントを寄せているのを、朝の情報番組で見かけたくらいです。

先生のことを思い出して、ふと名前で検索してみたら、なんだかすごそうな組織の、すごそうなポジションの先生になっていました。

でも、研究分野を見てみると、相変わらず宇宙と特別支援教育とIT系のことをやっているみたいで、先生は結局どれも失敗せずに突き進んでいるんだな、驚かされます。

私は何かの専門家になりたいと思っているのだけど。

先生は、やっぱりすごい。

先生みたいなキャリアもあるのかな。

そう思ったりもするのでした。




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