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映画の記録

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見た映画に関する記録です
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#映画評

『関心領域』と、想像の難しいものごとについて、それでも想像すること

絶滅収容所のとなりで幸福に暮らす家族アウシュビッツにあった絶滅収容所の所長一家が、施設の…

伊藤聡
3週間前
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『虎に翼』 花岡と轟、そして「ロッカールーム・トーク」について

ふたりの男性像の対比今回、『虎に翼』に登場するふたりの男性、花岡(岩田剛典)と轟(戸塚純…

伊藤聡
1か月前
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『ゴジラxコング 新たなる帝国』と、「カワイイ」の記録更新

コングがかわいいの2014年の『GODZILLA ゴジラ』から始まる、映画制作会社レジェンダリー・エ…

伊藤聡
1か月前
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『落下の解剖学』『ネクスト・ゴール・ウィンズ』

『落下の解剖学』物語の中心となるのは、人里離れた山奥で暮らす夫婦とその小さな息子。ある日…

伊藤聡
3か月前
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『ダム・マネー ウォール街を狙え!』と、アメリカの民主主義

This is Americaこれぞアメリカ映画だ、とねじ伏せられたフィルムです。コロナ禍の株価乱高下…

伊藤聡
4か月前
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『マーベルズ』と、公式に接近しすぎた同人

がんばれマーベルズ『マーベルズ』、私はすごくいいと思ったんですけど、興行成績はあまりよく…

伊藤聡
7か月前
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『ミュータント・タートルズ:ミュータント・パニック!』と、世界中のティーンエイジャーが抱える鬱屈の総量について

ニューヨークの下水道に住むカメのミュータントこの文章を書いている私は、カメのミュータントではなく人間として育ったのだが、それでも、本作に登場する4人のミュータントの抱える鬱屈が痛いほどに伝わってくる。劇中、ニューヨークの下水道に住む彼らが、闇にまぎれて街へ飛びだし、生活物資を調達したついでに寄った野外上映会。そこでは『フェリスはある朝突然に』(1986)がかかっており、4人のミュータントは、スクリーンに映し出される高校生活、無邪気なティーンエイジャーの輝かしい姿を見る。そして

『ジョン・ウィック:コンセクエンス』と、地獄めぐりの終わり

シリーズの完結2014年に始まったシリーズの4作目にして、シリーズの完結にあたる作品が『ジョ…

伊藤聡
8か月前
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『グランツーリスモ』と、ゲーマーの逆襲

ゲーマーは本当の運転も上手いのか?本作を、プレイステーションの人気ゲームシリーズ「グラン…

伊藤聡
9か月前
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『ブギーマン』と、家族の再契約

普遍的なテーマスティーブン・キング原作のホラー映画。キング原作のホラー作品を見るのが楽し…

伊藤聡
9か月前
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それでも映画館へ行く理由

試写会に行かないのはなぜ映画ライター的な依頼を受けて原稿を書くようになってから、15年くら…

伊藤聡
1年前
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『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー:VOLUME 3』『ワイルド・スピード/ファイヤー…

『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー:VOLUME 3』期せずして、家系映画(と呼ばれる作品)2…

伊藤聡
1年前
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『パワー』と、手から電撃を出しちゃう女性の出現

人気小説の映像化Amazon Prime の配信ドラマ『パワー』シーズン1(全8話)を見ました。これが…

伊藤聡
1年前
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『ザ・スーパーマリオブラザーズ・ムービー』と、任天堂が積み上げてきたレガシー

ゲームの映画化任天堂のテレビゲーム「スーパーマリオブラザーズ」シリーズの世界を映画化した本作。話題性も多いが、見る前は不安も少しあった。1993年に一度、実写化で痛い目にあっているし、本作にしても、予告編が公開された時点では声優に対する批判が多かった(特にマリオ役だったクリス・プラット。なぜ批判されていたのか、そこまで情報を追えていないが、妙に不評だった)。しかし実際に作品を見てみると、これが元となるゲームに対する細やかな愛情にあふれた実に楽しい映画で、すっかり感動してしまっ