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とろけるようなマロンケーキ

時々、何かの折に行く喫茶店がある。

そこは地下に降りていくお店で、入口が小さく看板も地味なため、意識して歩いていないとうっかり通り過ぎてしまいそうな場所にある。

値が張るので、1人で入ったことはない。

先日、偶然その喫茶店の近くを通ったので「あのお店、まだあるのかな?」と好奇心に駆られ、看板を見つけて何だかホッとした。

その日は休日だったので、今まで行った中で一番混んでいた。

入ったことのない奥の席に案内され、『こんなに奥行きのある造りだったのかあ!』と初めて知り、まるで蟻の巣のような構造に驚くばかり。

そこのショートケーキは有名だが、その日はマロンケーキを注文した。

メニューを眺めているうちに、ふと目に留まったのだ。

紅茶と共に出てきたそのケーキはとても大きく、スポンジもフカフカで、口に入れるとフワッと溶けるような柔らかさ。

甘さ控えめで、ほどよくラム酒が効いている。

食べ終えた後も少しももたれず、それだけで一食分になるような満足感。

紅茶も滑らかで、『美味しい』という言葉だけではもったいないような気がする。

『前からこんな味だったかな?』とゆっくり堪能。

めったに行かないお店だが、行くと必ず注文するのがケーキと紅茶(あるいはコーヒー)。

味を表現するのが難しいが、またチャンスがあったら是非行きたいと思う数少ない私の好きな喫茶店。


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