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アーラレイトルは自分が元に戻った事に気が付いて、瞼を開き、家を出た。彼女が元に戻った時に、決まって向かう場所がある。古くからの友人達が同じように集う場所。暗くも明るくもない場所が、彼女の第二の家だった。 第十世界オーダには、それなりの住人が住んでいる。全員を把握する手間が面倒なので、誰も気にしないけど。第三世界で言われるような共通意識で繋がる世界だ。次は誰がどこへ降りていくのか、争わず相互扶助で選考される。 直前まで第三世界に降りていた(らしい)アーラであるので、そちら
紅い陽が斜めに差した聖堂の一室で、僕は同級生の吉瀬(きせ)の逞しい腕に抱かれながら、敢えて低く、くぐもる声で、愛おしそうに名を呼んだ。 「吉瀬……」 「もう黙れ、真朱(まそほ)」 乱れた制服と、解かれた臙脂(えんじ)のタイ、ベルトも申し訳程度にボトムの穴に通っただけで、いかにも直前の様相だ。 誰よりも信頼している相手だけれど、僕の心臓は不安で早鐘を打っていた。もうそこまで聞こえる複数の足音に、気付かないふりをして吉瀬の首に抱きついた。 ガチャリ、と回った後に、重々