仏教で利他を考える

ちょっと前に量子力学での回であまりにも適当に色即是空と因縁果を扱ってしまったので、お釈迦様に申し訳が立たないなと思い、ちょっと真面目に一本記事にしようと思った。

さて、みなさんの今一番欲しいものはなんですか？
お金？新しいスマホ？恋人？なるほど。

みなさんはあなたの隣に座っている人と違う世界を見ている、というのはわかりますか。
２０年来一緒にいて、共に同じ食事をとり、同じ時間に起床し、着床してきたパートナーといえども、コップと言われればおそらく頭に描いたコップの形は違うでしょうし、赤と言われて同じ赤は思い浮かべないでしょう。
視力も違うでしょうし、音の聞こえ方も違うでしょう。暑さも寒さも違って感じられるでしょう。
それぞれの感覚機能が得る情報も違えば、それを受け取り情報として処理する脳の機能もそれぞれ違う。
それなのに何故私たちは同じ世界に生きていると確信しているのでしょう。

みなさんは、MMORPGをプレイされたことはありますか？
ゲームを起動して、自分の分身を作り、ゲームの中で仮想空間を楽しむ遊びですね。
では、そのMMORPGと現実世界、何が違うのか考えたことはおありですか？

映画マトリックスやソードアートオンラインで、ヘッドギアをつけて現実世界となんら変わりのない仮想現実にダイブし、そのままそこが現実だと勘違いしそうになる話はどこにでもありますが、あれが本当に現実だったらどうしますか？実は私たちがいるのは仮想現実なのに、あまりにも現実に思えるせいで誰もそれに気づかずに過ごしているのだとしたら？

いやいや、現実世界が本物である証明をするために私たちは物理学を確立してきたし、そんな馬鹿な話があるわけないじゃないか、と言われるでしょう。
しかし、物理学の研究が進むにつれて、逆に私たちが仮想現実で生きているという事実のほうが本当なのではないかと言われ始めているのです。
例えばホーキング博士は５０％の確率でそれは正しいと言い、イーロン・マスクはそれを否定できる確率は１０億分の１だと言いました。

約２６００年前、それを仰ったのがお釈迦様です。全ての物は仮初めのものであり、ゲームからログアウトしたら全て消え去るように何も残ることはないのです。
お金が欲しくて使える時間は全てお金稼ぎに使っています、という人がいても誰も変な人だとは言いません。
でも、ネトゲで引きこもってゲーム通貨をためまくってる人には引きますよね。
ネトゲやってるときはあんなに欲しかったレアマウント、引退した今では思い出すこともないですね。
ネットで顔も知らない人と本気の恋に落ちてどろどろの感情が巻き起こってるカップル、ネトゲしない人からしたら、え、なんで？という案件でしょう。
でも、現実世界の恋愛とどこらへんが違うのですか？

お釈迦様は、そのようにスイッチを切れば消えるようなものに執着して感情を暴走させるのはお止めなさいと説かれました。
これが色即是空、空即是色です。

次に因縁果についてご説明します。

因、というのはあなたがする行為のことです。
縁、というのはあなたの周りの環境のことです。
果、というのは結果、起こったことです。

モミダネが丁度よく水気のある田んぼにあることで米になる。
米があるのはモミダネがあったから。
モミダネだけでは米になりません。環境も整って初めて米になります。

人間は、とにかく起こったこと、結果ばかりに目を向けがちです。
特に、悪い結果ばかりに見舞われていると、結果そのものを運が悪いと責めたり、まわりの人や環境のせいにしがちです。
しかし、悪い結果はそれのみで悪い結果にはなりえないのです。
環境が整い、その悪い結果につながったあなたの行為があったからこそ、その結果があなたの前にあるのです。

お釈迦様は、まず自分を見直しなさいと説かれます。
自分が幸せになりたいのに、幸せになれないのであれば、自分に原因があります。
残念ながら、環境や結果は自分では変えることは出来ません。
ですから、それに不平不満を言うだけでは何も変わりません。

結果を変えていけるのは、まず自分自身の行いを改めることです。
そのタネが、運や環境といった縁と結びついたとき、必ずよい結果となってあなたのもとに訪れます。
また、自分自身のタネだけでは実は結ばないのだ、ということも忘れてはなりません。周りの助けがあってこそ結果につながるのです。
まわりを大切にし、感謝を捧げることは決して他のもののためではありません。
それはあなたに返ってくることなのです。

これがお釈迦様の説かれる幸せへの道です。