「水車小屋のネネ」 津村紀久子さん
母(夫の)へのお誕生日プレゼントで購入。
本人が「プレゼントはこれが欲しい!」と、新聞の切り抜きを持ってきてくれました。
プレゼント、実はこういうのが一番いいですよね。
他に読んでるのがあるから(それは、わたしが貸した手塚治虫先生の"火の鳥"のコミック、割とハマってるみたい 笑)お先にどうぞ、ということで、一気に読了しました。
津村紀久子さんの本を読むのは初めて。
わたしもこの本は書評や帯を目にして、面白そうだな、と思っていました。
喋る鳥が出てくるというので、ファンタジー的なものを少し想像していました。
あらすじとしては、
18歳の姉と8歳の妹二人が、離婚して一人で育ててくれていた母親の新しい婚約者との折り合いが会わずに(自分の居心地の良さばかりを求めるような人に苦しめられた、というような表現を、成長した妹が語ってました)、お蕎麦屋さんで働くためにやって来た新しい街での暮らし、そこで水車小屋の見張りをする、"ネネ"との出逢いや、周りの人たちとの関係、そして二人の成長を、10年ごとに章を区切り描いてありました。
少し文章が読みづらいなぁ、これは誰が話している内容なんだろう?と混乱したり、風景描写も分かりづらくて、頭の中に情景が湧いてこない…といった感想を持ちつつ読み進んで。
説明がくどいな、と思う部分も多いのは、新聞連載の影響かな?
(毎回読んでない方にも分かるように…とか)
勝手に、推敲をあまりしない作家さんなのかしら?とも思ったり。
そんな、すこし引っかかりつつも、面白く読むことが出来ました。
近すぎず、でも困ってる人にはサッと手助けをする人たち。
自分が出来ることを淡々とやって、押し付けることもなく、そんな小さな良心が順送りに伝わっていく様子。
ああ、良いな、と。
大きな夢や目標がある、のではなく、身近な人たちを、そして自分のことを大切にする。
そんな当たり前のことをしながら、いつのまにか誰かの助けになっていること。
「大げさ」ではない心地よさを感じた読書でした。
そう多分、大きな声で、なにかを成し遂げる!ようなことを顕すことは、これからの時代は必要ないんじゃないかなぁ、と思います。
それぞれがその人らしく、日々を大切に生きていれば、自ずから周りの人にも何かしらが伝わり、それがいつしか大きな流れや喜びに繋がるのでは?なんてことを想像しています。
そしておしゃべりする"ネネ"は、とっても可愛かった!
楽しい読書時間でした。
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