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ポータルサイトとしてのマイナポータルの活用

 私のnoteでは最近特にマイナンバーカードの話題を取り上げています。
 私自身、マイナンバー制度が始まった当時から、マイナンバー、マイナンバーカードが歪な形で国民に情報が伝わっており、それが正直興味深く、最終どのような形に発展するかも見ておきたいという事から、積極的に情報を取りに行っています。そのため、菅政権の時からの動きが特に興味深く、noteでもマイナンバー制度、どちらかと言えばマイナンバーカード関連の情報を多く取り上げることになっています。

 私の過去の記事でも何度となく取り上げていますが、マイナンバーカードは裏面にマイナンバーが印刷されてしまっているため、便宜上マイナンバーカードと愛称がついてしまっていますが、マイナンバーカードのメインの使われ方は「公的個人認証サービスによる電子証明書」(以下、JPKI)としてICチップを使用することがほとんどです。確かに、銀行や証券会社では裏面のマイナンバーそのものを確認すると言うこともするかもしれませんが、マイナ保険証、確定申告のe-Tax、その他行政関係の電子申請などは、全てICチップに保存されているJPKIを確認し、本人確認をすると言うことがメインの役割となっています。

 また、徐々にではありますが、そのJPKIを本人確認に使うということが民間企業にも広がっているように感じます。メルカリの本人確認、PayPay、およびPayPay銀行の本人確認、日本生命の保険金請求時の本人確認等々。
 しかし、依然として多くの銀行や証券会社、その他身分証明書の提示やコピーの送付などを必要とするところでは、従来の通り、運転免許証、マイナンバーカードの表面、裏面のコピーを取って、郵送での送付を要求するところも多いのも事実です。
 これは、(1)スマホアプリやWebなどのマイナンバーカード読み取り機能の実装が必要になる、(2)読み取った情報を地方公共団体情報システム機構(以下、J-LIS)に証明書の有効性を確認するのに都度料金の支払いが必要になる、という事もあり、なかなか本人確認にマイナンバーカードのJPKIを使用することが出来ないでいます。
 その代わりと言って民間に広がっているのは、身分証明書と顔をスマホのカメラで撮影して本人確認をするという、いわゆるeKYCと言うものです。しかし、私はこれを「なんちゃってeKYC」と呼んでいます。というのは、正直、印刷された身分証明書なんてものは偽造がやりやすいものだからです。
 偽造される可能性がある免許証などがeKYCに使われていて大丈夫かと思われるかもしれませんが、基本は口座開設時のみであり、口座にお金がない状態で使用されるだけなので被害がほぼないという事からです(マネーロンダリング用に口座開設されてしまうと言うことはあるかもしれませんが)。

 そんなとき、noteで以下の記事を読みました。

 最初この記事を読んだとき、マイナポータルを本人確認の入り口とする?と何を言ってんだ、と思っていましたが、後から思い返すと、民間企業に広がっている「なんちゃってeKYC」よりもマシに思えるようになりました。

 民間企業がマイナンバーカードを本人確認のために使用しようとすると、マイナンバーカードを読み取る機能をアプリやWebに実装する必要がある、本人認証を行うのに都度料金支払いをしなければならない、と言うことをマイナポータルで肩代わりして貰えると思ったからです。

 もう少し具体的に説明します。
 マイナポータルに民間企業のサービスへの入り口が存在し、その入り口をクリック(タップ)することで、本人認証の情報を民間企業へのサービスに引き渡す、と言うことをAPIレベルで出来るようにマイナポータル側を機能強化します。
 そうすれば、民間企業が今まで実装しなければならなかった本人認証はマイナポータル側で肩代わりしてくれますし、本人認証の都度料金が発生していたものは何も支払わなくてもよい、と言うことになろうかと思われます。もしかすると料金については、無料と言うよりは数円レベルでも支払う事で、マイナポータルが安定的に運用できるのであれば、それでもいいかもしれません。
 民間企業側はマイナポータルからAPIで渡ってくる本人認証の情報を受け取ると言う部分だけ実装すればいいので、追加開発の費用もかなり抑えることが出来ます。

 ただし、問題はすでに民間企業とJ-LIS側の橋渡しをしているプラットフォーム事業者の仕事を奪ってしまうと言うことです。民間企業がマイナンバーカードを使用して本人認証する場合、直接J-LISに問合せをするわけではなく、総務大臣認定のプラットフォーム事業者に本人認証の業務を委託しています。上記、マイナンバーカードを本人認証に利用しているというPayPay、PayPay銀行、日本生命などもどこかのプラットフォーム事業者を使用しています。
 もちろん、現在16社ほどあるプラットフォーム事業者はそれぞれ独自の特徴を併せ持っているため、完全に仕事を奪うというところまでは行かないかもしれませんが、今後、マイナンバーカードを本人認証に使用したいと思う民間企業はまずマイナポータルを使用することになるでしょう。そうなると、プラットフォーム事業者の仕事が先細りしてしまう可能性もありますので、正直、マイナポータルを本人認証の入り口として使ってほしいものの難しいかなと思っています。

 このあたり、デジタル庁、および河野デジタル大臣はどのように考えているんでしょうね。一度聞きたいところです。

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