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マイナカードの最近のトラブルとカードの返納について

 富士通Japanのコンビニ誤交付問題から始まって、色々と問題がマスコミに取り上げられているマイナンバーカード。
 富士通Japanのコンビニ誤交付問題は、以前私の以下の記事でも取り上げたとおり、住基ネット時代からのシステムを継続利用してでのトラブルなのでマイナンバーの問題とは関係なく、地方自治体側のシステムの問題であり、もし責任をとるならば、地方自治体の首長であろうかというのが私の見解です。

 それ以降、発生している健康保険組合での誤入力による、マイナ保険証受付時の他人の情報表示、障害者手帳情報の紐付け誤りの問題などについて、情報を確認する限り、マイナンバーの申告がなされていないために、他の情報を元にマイナンバーを検索した結果、本人と思って紐付けたら他人だったと言うのがほぼ問題の原因と思われます(以下のページの資料1にまとめた情報が記載されています)。

 どういう理由かは分かりませんが、会社にマイナンバーを提出しなかったため、その結果、健康保険組合、その他機関に提出された申請書類にはマイナンバーが未記入のまま提出され、結果的に間違ったマイナンバーと紐付けることとなった。
 おそらく、会社にマイナンバーを申請しなかったのは、ちょっとした理由からでしょう。マイナンバーカードのコピーが面倒だったとか、副業しているからマイナンバーを提出すると副業の収入が会社に知られてしまうからとか。何気ないその個人の怠慢が、結果的に健康保険組合、その他機関の末端の作業者へと余計な仕事を増やし、結果不適切な作業を行わせて間違いが発生してしまった、と言うのが現実のようです。
 マイナンバーが未記入だったために、そのたびマイナンバーを検索し、本人かどうかを確認後、転記する、という作業を繰り返ししていると、確かに手を抜きたくなるのは仕方ありません。とは言え、個人の重要なマイナンバーを取り扱う上で、4属性で確認しないとならないのに関わらず、住所が間違っているケースが多いので、氏名と生年月日の2属性のみで確認を済ませて入力するのは、明らかに手を抜きすぎではないかと。
 下の記事にあるとおり、それは個人番号利用事務実施者の問題と言われても仕方ないかと思います。

 そういう問題がマスコミで連日報道されていることもあり、ここ最近ではどういうわけかマイナンバーカードを自主返納するという動きが出ているようです。
 色々と確認していくと、どうもあるジャーナリストの方が最近出された書籍で、そのようなアドバイスをしているという記載を見つけました。

 マイナンバーカードの返納が無料で簡単にできますよ、という記載の他に、このような内容が書かれていました。

マイナ保険証を作らなければ、マイナンバーと医療情報を紐づけられることもありません。

 いやいや、そんなバカな、と言うのが私の率直な感想です。このジャーナリストの人はちゃんと理解して書いているのでしょうか?
 マイナ保険証は、あくまでもマイナンバーカードのICチップに含まれている個人の電子証明書のシリアル番号(8桁の16進数の番号)をオンライン資格確認等システムに登録して被保険者情報を検索可能にする事です。
 マイナ保険証としてマイナンバーカードを登録しなくても、保険組合側でマイナンバーが登録されていれば、その時点で医療情報と紐付きます。
 上記内容をどういう意図で書かれたのかが分かりませんが、明らかに間違った情報です。

 また、マイナンバーカードの返納が手軽に出来ると書かれていますが、本当に返納しても良いと思って書いているのかが疑問です。まさかと思いますが、マイナンバーとマイナンバーカードを未だにごっちゃにして考えているとかではないですよね。マイナンバーカードを返納したから何か事態が変わるとか考えてるんでしょうか?

 マイナポータルで表示される各種情報は、各地方自治体の情報を引っ張ってきているに過ぎません。いわば、自分という個人を地方自治体がどのように捉えているのかを知るためのツールがマイナポータルです。上の記事にもあるとおり、そのマイナポータルへのログインのためのキーが、マイナンバーカードです。これを返納すると言うことは、この情報へ自分が唯一アクセスする方法を手放すと言うことであり、正直デメリットしかありません。
 いわば、Amazonや楽天市場、嫌になったからアカウント削除せずパスワード捨てました!、と言うのがマイナンバーカードの返納です。では、マイナンバーカード返納したからといって、地方自治体に保存されている自分個人の情報がなくなるわけではありませんし、破棄されるわけでもありません。
 もっと言えば、マイナンバーカードを作成しようが作成しまいが、マイナポータルで扱う個人の情報は元から存在しているのです。どうも、マイナンバーカードを作らないと、マイナポータルで表示されるデータが出来ないと思っている人がいるようですが、そんなことはありません。

 正直、これからは自分の身は自分で守る、と言うことを理解しながら行動しないとならない時代に来ています。今までのように、何となく行政がうまくやってくれると言う時代ではなくなったのです。
 人の手が介在している以上、地方自治体に保存されている自分自身の情報が間違っている可能性もあります。マイナンバーが関係しなくても、毎年6月頃に送付されてくる住民税ですら間違った計算されてくるケースも多々ある時代です。そんなときに、マイナンバーカードで、マイナポータルを確認し、自分自身の情報に間違いがないか、間違いがあれば指摘し修正して貰う、と言うことを自らやらないとならない時代です。そのためのログインキーを自ら返納するって、戦うための武器を捨てるのと同じぐらい危険な行為です。

 多くの人には、いい加減なテレビのコメンテーターやジャーナリストに煽られて、間違った選択をしないようにしてもらいたいものですね。

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