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創造的な仕事をする人は片づけるな!アンチ整理術(森博嗣著)を読んで

「すべてがFになる」の著者による、アンチ整理術の本である。整理術の本は山ほど出ているが、アンチ整理を謳った本なんて、お目にかかったことがなかった。以下に本書の中の要点を記す(私見です)。

具体性より抽象性(P152)

「多数の人が、具体的なものでないと役に立たない、と考えているだろう。そういう人には、この本に書かれていることは、きっと役に立たない。僕は逆に考えている。具体的な手法など役に立たない。そういう手法が、もしあるのなら、その手法が実践できる人に、仕事を頼めばいいだけである。自分がしたいことに(手法を)活用するためには、手法がもっと抽象化されていなければならない。もっとぼんやりしていて、方向性を示すくらいまで概念的になっていなければ、個々の対象に活かせない。抽象化とは、本質は何か、を示すことである。本質とは、手法ではなく、目指すもの、目的、達成すること、行うこと自体の感覚のようなものだ。本質は、言葉では言い表せない場合がほとんどであるが、言葉を尽くすことで、読み手に連想させることはできる。その連想は、各自の条件に合わせて展開され、それがその人の役に立つ結果となる。」

創作的な仕事は分散型(P204)

「僕(著者)は、創作的な作業をしている人間なので、どのくらい多く思いつけるか、突飛な発想、新しい発想が、どれだけ頻繁にできるか、が効率なのです。そうなると雑多なデータの中にいて、次々と目移りして、どんどん別の作業へシフトしていく。そういう分散型のやり方が適している訳です。だから、自ずと散らかるわけです。散らかっているほうが明らかに効率的です。」

メモはしない(P215)

「思いついたことを、メモしない。メモしないと忘れてしまうようでは、インパクトがないわけで、そもそもアイデアとして失格だからだ。思いついたときは、それを過剰に評価する。時間が経つと、それほどでもないな、と冷静に見ることができる。だから、メモをわざとしないで、忘れるか忘れないかという篩にかけて、アイデアを吟味しているのである。」

読了の感想・メモ

・これからの時代。AIは確実に人の従来の仕事を奪っていく。整理整頓が是とされている仕事とは、マックジョブに代表される、機械的に、同じことを繰り返す仕事についてのみだ。不純物はできるだけ排除し、一つのことに集中できる環境こそが、作業効率を上げ、生産性を増す。

・しかし、好む好まざるによらず、これらの仕事はそう遠くない将来、確実に息絶える。そんな世界で人間に残された最後の領分は、創造的であることだけだ。創造的であり、何かを表現しようとする姿勢のみが(仕事にしろ、芸術にしろ、スポーツにしろ)、心を持った人間に響き、価値を与える。

・汚いままであれといことでは決してない。例えれば、枯山水のように人工的に不純物を取り除いた世界も美しいし、英国式庭園のように、雑草が生えていようとも美しいと思える世界があるということだ。ただ整理整頓されている(片付けができている)という世界だけが是であるということではないということに気づき、あとは自分が美しいと思える世界を目指せばいいのだ。

・旅行に行っても、小生は恐ろしいほど写真を撮らない。周りの人からは、忘れてしまうではないか。といわれるが、そもそも忘れてしまうほどの思い出など価値はないとずっと思っていた。森博嗣氏も同じようなことを本書で述べていたので、うれしくなった。

・これからも、オカルトの類から、企業経営に至るまで、雑多の本を読んでいこうと心に誓った。

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