見出し画像

【句集紹介】愛は一如 富安風生句集を読んで

・紹介

愛は一如。小生が俳句を始めた時、初めて買った句集が本書である。小生は基本的に飽き性である。そんな小生が、ここまで俳句に熱中できたのには、いくつかの偶然が重なったためであった。一つ、大病をして、俳句を詠む時間が腐るほどできた。一つ、当時いた街で、比較的大きな句会が開かれていた。一つ、参加費無料の俳句賞に入選した。そして、富安風生の句集を読んだ。当時このどれか一つでもかけていたら、俳句が生涯をかけるに値する表現を方法なんて思いを持つことはなかっただろう。

この人の句はとにかく優しい。痴呆的なまでの優しさ。この世に苦しみなんてないかのような、俳句観。当たり前のことを当たり前のように記す。生来の優しい人の目をを通して世界を見るとこのように見えるのかと感動さえした。

以下に小生が特に感銘した句を10句ほど載せておきます。他の句に興味のある方は是非本書を読んでみてください。

・厳選10句

よろこべばしきりに落つる木の実かな

まさをなる空よりしだれざくらかな

一生の楽しきころのソーダ水

菜の花といふ平凡を愛しけり

秋晴の運動会をしてゐるよ

瘤松としての一生秋の風

勝負せず七十九年老の春

こときれてなほ邯鄲のうすみどり

愛は一如草木虫魚人相和し

遠い遠い愛しい記憶貝割菜

・作者略歴

富安風生。東京帝大卒。逓信省に勤める傍ら俳句を詠む。次官歴任。退官後は読売俳壇選者等を務め、勲一等瑞宝章受章。昭和54年死去。享年95。


最後まで読んでいただき、ありがとうございます!楽しんでいただけたら幸いです。また、小生の記事は全て投げ銭形式になっています。お気に入り記事がありましたら、是非よろしくお願いします。サポートやスキも、とても励みになります。応援よろしくお願いいたします!