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俳句マガジン 「ランタン」

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小生の処女句「ランタンはゆつくり灯る秋の雨」より。これから俳句を始める人や、句作に悩んでしまった人たちの、道を少しでも照らせたらと思う。
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2020年10月の記事一覧

多分日本一簡単な俳句の作り方講座(初心者向け季語一覧表プレゼント中)

*21年7月27日…ご要望の多かったプレゼント中の季語一覧表のJPG・PDFファイル版を最後に添付しました。これでスマホからも見れると思います。 俳句に興味があるけれど、どう始めていいのか。また、どうやって俳句を作ったらいいかわからないという人へ。この記事では、誰にでもすぐできる、裏技的な俳句の作り方を紹介します。  小生、この方法で句歴2か月で俳句の賞に入賞して、1年半後には、新人賞(奨励賞)をいただける程になりました。(賞金ももらえました)  やり方はすごく簡単。是

【句集紹介】海 三橋敏雄句集を読んで

・紹介三橋敏雄は新興俳句のホープであった。 渡邊白泉や西東三鬼に師事し、戦前の俳句界の期待の若手の一人であった三橋敏雄。しかし、戦争は彼の句作にも大きな影響を与えた。京大俳句事件である。彼も準会員として、京大俳句に参加していた。年少だった故、検挙まではされなかったが、彼の師等はことごとく捕まってしまった。新興俳句は冬の時代を迎えた。 しかし、彼の俳句への情熱は消えなかった。その頃より古典俳句の研究を開始し、俳句の腕を磨いていった。 戦後の社会性俳句には懐疑的であった。故

【句集紹介】堕天使の羽 羽村美和子句集を読んで

・紹介小生が誌友として参加している俳句同人「ペガサス」の主宰、羽村美和子先生の第二句集である。 小生。先生からよく、「俳句にも詩情がなければならない」とのお言葉を賜る。その通りで、まさに先生の俳句は詩である。萩原朔太郎を愛しておられる先生だからこその句が、沢山ある。 とにかく、先生の句を見てもらいたい。勝手ながら、本句集の中で特に小生が気に入っている句を10句、紹介させていただいた。きっと楽しんでいただけるだろう。 そして、俳句や同人に興味が出た方は、URLを貼っておく

【句集紹介】寺山修司全詩歌句を読んで

・紹介俳句から始まった。 戦後、焼け野原になり、何もかもが不安定になった日本の中で、青森にいた在りし日の寺山修司は、表現方法として形ある何かに身を委ねることを希求した。それが俳句であった。 修司の人生の中で俳句に積極的に携わった時期は、高校時代と大学初期の短い間である。その後短歌や詩、舞台演劇へと活動の場を移していった修司ではあったが、他のジャンルにも俳句時代に培った言葉使いが生きている。 修司自身の言葉を借りて、彼の韻文への一貫した態度を表現すると「感動の公約数化」と

俳句 時雨四句

この愛を因数分解して時雨小夜時雨一人前の夕食を透明という絵の具あり虹時雨隠れたる路地裏の夕時雨かな 亀山こうき 口語詩句投稿サイト72hというところで、不定期で作品を発表しています。 私は俳句のみですが、他の人は俳句に限らず、短歌や詩、アフォリズム等の作品も発表しています。 URLを張っておくので、よかったら、見てみてください。 また、俳句添削や、俳句についてのご相談、ご質問も随時無料で行っております。 仕事の傍らで行っておりますので、ご返事遅くなるかもしれませんが

【句集紹介】こでまり抄 久保田万太郎句集を読んで

・紹介「俳句は余技」と言って憚らなかった、久保田万太郎。しかし、彼が俳句界の残した影響は絶大である。彼がいなかったら、俳句界はもっと、伝統や格式やらを重んじる、一般人には敷居の高いものになっていたかもしれない。 正岡子規が亡くなった後、弟子の高浜虚子と河東碧梧桐が、まさに競合していた俳句界において、久保田万太郎は句作を開始した。作風については、虚子一派にも碧梧桐一派にも属さない、第三派ともいえる、境地を切り開くことになる。その理由は、先にも述べたように、万太郎にとって俳句は

【句集紹介】西東三鬼全句集を読んで

・紹介「俳句の歴史上の一番の天才は誰か」と、問われたのであれば小生は間髪入れず「西東三鬼(さいとうさんき)」と答えるであろう。韻文も散文も、俳人の中で群を抜いていると言わざるを得ない程の文豪である。 この人に散文については近年、「神戸・続神戸」という三鬼が戦中の神戸で経験したことをベースにまとめ上げた、自伝的随筆が再販され始めているので、是非読んでもらいたい。日本のフィリップ・マロー。男が惚れる男である。 韻文の俳句。作風はコスモポリタンである。シンガポールで歯科医師をや

【句集紹介】君に目があり見開かれ 佐藤文香句集を読んで

・紹介小生は二つの句会に参加しているが、どちらの句会でもぶっちぎって最年少である。次に若い人が小生の先生で今年還暦を迎えられる。 そんな感じなので、佐藤文香女史が編・著の「天の川銀河発電所 Born after 1968 現代俳句ガイドブック」は小生にとって、同世代、年の近い人たちの優れた俳句を存分に鑑賞することができる、とても刺激的な書であった。この本で佐藤文香女史のことを知ったのである。 佐藤文香女史の句は乙女である。乙女の中でも文学少女系である。綺麗系よりも可愛い系

【句集紹介】そんな青 宮崎斗士句集を読んで

・紹介俳句を詠むことは誰にでもできる。5・7・5で季語を入れれば基本的には、もうそれで俳句である。問題は、その作った句がどの程度のレベルのものなのか、初心者では全く判断がつかないということだ。小生も俳句を初めて最初に感じた課題がそれだった。 とはいえ、面と向かって人に見せるのはなんだか恥ずかしいし、挙句こっぴどく酷評されるのは嫌だ。この髭眼鏡は、何を俳句なんて気取ってことをしているのだろうと蔑まれるのはもっと嫌だ。しかし、句は誰かに見てもらって批評はしてもらいたい。そこで臆

【句集紹介】身体髪膚 伊丹三樹彦句集を読んで

・紹介小生の先生に贈っていただいた、2冊の伊丹三樹彦句集の2冊目のアウトプットになる。1冊目については小生の俳句マガジン「句集紹介№8」の記事をご参照いただきたい。 この句集は1992年刊行の伊丹三樹彦全句集以降の句をまとめたものであり、この句集がおそらく、伊丹三樹彦が生前に編んだ最後の句集になる。身体髪膚とは人間の身体全体を表す四字熟語。出典は孝経。仙人らしい伊丹三樹彦にぴったりの言葉である。 厳選10句内の1句にだけ特に言及をしたい。それは「げんげ田に自転車半没 あそ

【句集紹介】信長の首 角川春樹句集を読んで

・紹介角川春樹。角川文庫創業者(角川源義、彼も著名な俳人である)の息子であり、社長も務めた人物であるが、世間は、テレビ等のメディアで見せた角川春樹の奇天烈なキャラクターや、逮捕歴等を記憶に留めており、彼にあまりいい印象を持たない人も多い。 しかるに、小生もその一派であったが、俳句を始め、角川春樹と中上健次の対話集「俳句の時代」を読んで、その考えはがらりと変わった。詳しくは是非読んでいただきたいが、小生が読了後に感じた、角川春樹への感想は「彼は信長のようだ」というものであった

【句集紹介】鈴木真砂女 真砂女全句集を読んで

・紹介瀬戸内寂聴の句集の紹介をしたのであれば、真砂女の紹介をしないわけにはいくまい。鈴木真砂女。明治39年千葉県鴨川市生。夫の失踪、出戻り、駆け落ち、死別、銀座で小料理屋開業等など、主な出来事を上げるだけでも枚挙にいとまがない、恋と俳句に生きた女傑である。 真砂女の句の特徴を一言で表現するのであれば、それは「ノンフィクションドラマ」である。彼女の句は、どれも映画のワンシーンであるかのような、心情の起伏があり、そして、それが妄想ではなく、本当に自分が経験した出来事を詠っている

【句集紹介】俳句納経慶聖寺 伊丹三樹彦句集を読んで

・紹介仙人のようだーそれが小生が伊丹三樹彦に抱いた感想である。伊丹三樹彦は小生の俳句の先生の先生。小生が伊丹三樹彦の句を本格的に詠むようになったのはつい最近のことだった。小生の先生から、「読んでみなさいと」贈っていただいた二冊の三樹彦句集。その内一冊を精読できたのでアウトプットしたい。 伊丹三樹彦は「東の(金子)兜太、西の三樹彦」と呼ばれるなど、現代俳句界の旗手として常に先頭を走っていた。作風は従来の俳句のそれとはずいぶんと違う。「分ち書き」と呼ばれる、句の中に意図的に空白

【句集紹介】ひとり 瀬戸内寂聴句集を読んで

・紹介瀬戸内寂聴と俳句のつながりを知ったのは、伝説的な俳人「鈴木真砂女」をモチーフにした小説「いよよ華やぐ」を図書館で見つけたからであった。 瀬戸内寂聴と鈴木真砂女はどことなく似ている。愛に生き、愛に絶望をし、世俗を捨て(寂聴は出家、真砂女は俳人と小料理屋の女将)、そして穏やかで、優しそうな表情をしていながら、内に激情を秘めている。天衣無縫という言葉がこれほどしっくりくる女性というのを小生は他に知らない。 源氏物語の現代語訳等、古典にも精通している寂聴の句の特徴はやはり、