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studyとlearnの間で

来週は後期中間テストだから、生徒たちは皆、お疲れモード。
ただでさえ最近寒くなってきて、朝起きるのがつらくなってきているし。

授業の冒頭で、"How are you?"とたずねると、生徒から聞えてくるは、
”I’m tired."とか"I'm sleepy"とか、そんなのばかり。
疲れてますね、今どきの中学生は……。

疲れているところ申し訳ないけれど、今日はテスト前最後の授業だから、
テスト範囲となっている物語文の新出単語とか表現のまとめをしなければ。
楽しいペアワークや会話活動は一切なし。講義型の授業になってしまうから、ごめん、眠いかも。でも眠らせないよ、バンバン当てていくからね!

そんな状態で始めた今日の3時間目。
a few hoursという表現が出てきた。a fewは「いくつかの」と訳せる。つまりsomeと同意。

hoursってsがついているから複数形だよね?
じゃあなんでfewの前にaが付いているの?

試験前だからその範囲内のことだけやっていればいいようなものをねぇ。
時々そんなどーでもいい質問を投げかけたくなっちゃうんですよねぇ。
私が、生徒にね。

なぜなら、生徒たちの『?』という顔が見たいから。
生徒たちを困らせるのが好きだから。
生徒たちに、答えるんじゃなくて、考えてほしいから。

このaはfewにかかっていて、few=いくつかの(具体的には2,3個程度の少量)という状態が1つあるという感覚。
そんな説明をしても生徒たちはわかったんだか、わかってないんだか、
なんかまだビミョーな表情。
でも私は意地悪だから、

じゃあ同じ用法のsomeにはなぜaが不要なの?

と、これまたテストには一切関係ない、どーでもいい(いやどーでもよくはないか💦)質問を再び生徒たちに投げかける。
彼らはまた『??』という表情。

「fewにはaがある用法とa無しの用法が存在するからだよ。それぞれ意味は全く異なります。でもね、今の段階ではそこまで詳細に理解する必要はないから、ここでは、a few + 名詞の複数形と覚えておいてください。
どうしてもその辺の詳しい事情(⁉)を知りたい人は、この授業の後で私のところに来てね、プリントあげるから。(←整理したくて個人的に作ったやつ)

とこれくらいで切り上げて、次の文法項目へ。そうこうしているうちに、チャイムが鳴って授業終了。

すると1人の女子生徒が、遠慮がちに「あのぅ……さっきの……」と言ってきたので、【a few と few と a little と little の違い】というわけの分からないプリントを渡して、ざっと説明してみた。するとその横には彼女の友達らしき子もやってきた。さらにその隣の席の男子生徒もやってきて……あれよあれよという間に、20人近い生徒たちに囲まれてしまった。
密!蜜だから、散れ!と言いたかったけれど、はやりこれは、教師冥利に尽きるというものであろう。
集まった生徒たちは、皆一様に目をキラキラさせながら、
え、なに?あ、これ数えられる名詞だから?
あ、この図、なんか見たことがある!
などと言いながら「知らなかったことを知る喜び」を全身で味わっていた。

10枚しかコピーを取っていなかった私の作ったどーでもいい㊙プリントは、あっという間に売り切れ。オレも欲しい、アタシも、という生徒たちの為に、急いで2階下の印刷室まで行ってコピーしてあげました、ゼーハー💦

それにしても、「これ試験範囲だから覚えるように!」というと、たちまち背を向ける生徒たち。ところが、「ここまではまだ覚えなくていいから」というと、がぜん興味を持ち、能動的に知ろうとするのは、いったいどういう心理なのか?
この心理的メカニズムを解明すれば、アホ文科省が提唱する「最適な学び」を確保することができるのではないだろうか?

















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