オリンパス事業売却で思うこと
オリンパスと言えば、銀塩フィルム時代から、レンズ交換式のPEN-F、一家に一台はあったハーフサイズのコンパクトカメラPEN-EEがあり、
そして、あの米谷さん設計デザインのOM-1やカプセルタイプのコンパクトカメラXAが思い出される。
いわゆる、日本を代表する老舗カメラメーカーだ。
オートフォーカス一眼レフへの参入に手こずり、知的財産の壁により1988年一眼レフ事業から撤退を余儀なくされた。
カメラがデジタル化され、コンパクトデジカメで成功し、オートフォーカスの基本特許権利満了に伴い、2003年フォーサーズフォーマットで一眼レフに再参入した。
しかし、フォーサーズ規格そのものは一眼レフを前提としたシステムであり、新システムとしては先見の明が無かったとしか言えない。
幸いパナソニックとのアライアンス関係からマイクロフォーサーズ規格へ移行が功を奏し、OM-Dが一定の評価を得ることに成功した。
ところがOM-D E-M5を発売した直後、2012年秋にソニーと業務及び資本提携してしまう。
当然ながらカメラ事業を持つソニーから見れば、目的はトップシェアを誇る内視鏡を持つ医療事業であって、カメラ事業はどうでもいいことは誰が見てもわかることだ。
案の定、カメラ事業は高級機種だけに限定され、シェアはフジフィルムに負けてしまった。
医療事業は別会社を設立し成果を出し始め、ソニーは2019年オリンパスの自社株買い付けで資本提携を解消。
これもソニーの言いなりだったのだろう。完全にソニーの手のひらで踊らされたようなものだ。
挙句にオリンパスは2020年カメラ事業売却。
それも、売却先がなんと、ソニーがVAIO事業を売却したJIPである。
これもソニーの息がかかっていると思わざるを得ない。
VAIOはブランド名として認知されており、独立に成功した。
では、カメラはどうか?
オリンパスというブランド名が使えない状況で、何とかなるとは思えない。
経営者の責任を問うのは難しい事だが、創業事業で無いにしても、高い思想のもと繁栄した事業のこの有様は残念でならない。
日本を代表する産業であるカメラ産業から、ミノルタとオリンパスというブランドを駆逐したソニーの責任は大きいと思う。
ソニーが未来永劫、カメラ事業を守り続けてくれることを願うばかりです。