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当社は外国人雇用企業向けに「日本語での会話力アップに特化したトレーニング」を提供しているのですが、学習者に置かれた環境や状況と、学習機会を外国人材に提供している企業の状況から気づいた点を元に挙げてみます。

そもそも会話教育には欠かせない3大要素があります。
まず一つ目に、「日本語で話さざるを得ない状況」

言語の習得において、学習するための強い動機・必然性がなければ学習者の向上心が保てません。いくら効果的な学習環境を提供しても、実際に日本語を使う場がなければ会話力アップはもちろん、学習する継続力は望めません。
この「日本語で話さざるを得ない状況」が雇用企業内でさほど無い状況で、外国人材に会話力アップを求め、学習環境を提供しても期待できる成果は得られません。会話力アップの目的はともに働く皆さん日本人と会話ができることです。その日本人が話しかけない、話す機会がないのはいつまでたっても彼ら彼女たちの耳が、日本人の声が聞き慣れない状況・育たない状況になってしまいます。
これは日本人の英語学習と同じです。どんなに勉強しても使うところが無かったら、いつまで経っても聞き取ること・話すことができません。さらに必要に迫られていないのでモチベーションが続きません。
自然にお尻に火がつく状況が必要です。
こう見ると、国籍は変わってもどこの人間も同じだなと思います。
また、日本語での会話・コミュニケーションができないと任せられる仕事はない、あるいは給与のアップは望めないといったような雇用する側の外国人材に対する強い意志・目指すべき方向性の示唆も必要となります。
実際に、当社のトレーニングを導入いただいている企業様の例でいうと、経営者さんが外国人スタッフの成長・スキルアップを明確に打ち立て、彼らにしっかり伝えている企業様ほど本人たちも意欲的です。もちろん学習者にもその意向がしっかり伝わっているので、比例して習熟度が高くなっています。
具体的に、雇用主側としてどんな関わりがいいのかについては、次回以降お伝えできればと思います。

そして二つ目に、「会話に必要な耳と口を徹底的に鍛える」

会話に必要なのは、「耳」と「口」です。
試験に受かるための読み書き中心の勉強は、「目」と「手」を使い、ほとんど「耳」と「口」は使いません。これではいくらやっても会話力は養われません。
日本語での会話力の習得は、どの言語でもそうですがスポーツのトレーニングと同じように考えています。野球の選手になりたければ図書館で本を読むより、実際に練習で体を動かし体得していきますよね。日本語会話力の習得も同じで、使う体の部位を鍛えなければ上手くなりません。
もし、自社の外国人スタッフに提供している学習内容が「耳」と「口」を鍛えるものでなければ、いくらやっても会話力アップは望めません(会話力アップを望んでいないのであれば、それでもいいかもしれません)。
当然ですが、日本人向けの聞くだけで話せるようになる英語教材などが巷には存在しますが、聞くだけで話せるようになった人はほぼいないのはご承知の通りです。楽して得られるものは無い。とお考えいただいて間違いないです。
会話力は、筋トレと同じで習慣化が必要です。日本語を毎日声に出すトレーニングが必要です。
当社の事例でいうと、毎日発声トレーニングをしてもらっています。また単なる発声いトレーニングではありません(詳細は、次回以降お伝えします)。毎日やっているかどうか管理しており、マンツーマンのレッスンでもできているかどうかチェックする流れで行っています。

そして三つ目は「行き詰まった際のフォローアップの環境」

努力すればするほど壁にぶち当たったり、行き詰ったりします。なかなか成長度合いが見えにくい会話力においてはなおさらです。そんな時に自信を与えてくれる存在が必要です。さらに悩みどころを解決できるプロ講師によるフォローアップの体制があれば効率よく迷いなく会話力アップすることができる環境になります。
当社でレッスンしている外国人材の能力も、N2保持者だが会話が全くできないという方もいれば、日本で3年働いているけど今まで会社では作業しかしてこなかったために、全く日本語がわからない初心者まで、実にさまざまです。
このようにみなさん能力の違い、行き詰まっている点が異なるため、マンツーマンでプライベートレッスンを行っています。
特にベトナム人は日本人と同じで、人前で間違うことに恥ずかしがります。マンツーマンのレッスンですら最初は恥ずかしがるのですが、「会話はどれだけ人前で失敗するかが大切」と教えているので、間違いながらもどんどん話すようになります。
定期的なチェック&レッスンを継続していくことで、今まで自信のない文法は、小声で誤魔化すようなそぶりだったのが、教えてもらえる環境があると自分の弱点を修正することでき、それが強みに変化し、会話することの自信につながってきます。

このように、
・自分自身がやらなければいけない努力の領域:「耳」と「口」を鍛える。
・鍛えなければいけない背景:「日本語で話さざるを得ない状況」
・それでも行き詰まったときの:「フォローアップの環境」

この3つ要素が密接に絡み合うことで、会話力アップを図ることが可能となります。逆に言えば、この3つの要素のうちどれか一つでも欠けると、会話力アップのスピード化は期待できません。

自社の外国人スタッフの成長を願うならば、今一度チェックしてみてはいかがでしょうか?
・社内で日本語で話す環境・頻度・仕組みがあるかどうか
・提供しているものが「読み書き」中心になっていないか
・やらせっぱなしになっていないかどうか

同時に、雇用する側の日本人のみなさんも外国語習得にチャレンジしてみてはいかがでしょうか?外国人と共に働く環境がある方でしたら、色んな新発見があると思いますよ。



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