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子供のころ

映画を観た。
ストーリーは主人公の男の子に妹が誕生するところから始まる。
とてもあたたかくて微笑ましい、愛にあふれた物語だった。

ふと、映画を観ながら自分の子供のころを思い出した。
私は小さいころから一人で遊ぶことが好きだった。
ディズニーやウルトラマンのビデオを観たら人形やレゴのブロックで遊ぶ。
もちろん誰かが一緒に遊んでくれたら嬉しいのだけど、一人で遊ぶことも大好きだった。

今思い返せばなんでそんな遊びをしたのだろうと疑問に思うことも多い。
シンデレラのワンシーンを真似して食事に見立てたブロックの集まりをわざと床に落としたり、ピノキオの真似をしておばあちゃん家の階段からわざと転げ落ちたこともあった。
さすがにその時はすごい音がしたのか、目撃されていたのかはわからないのだけど、近くにいた周りの大人が一斉に大丈夫かっ!?と詰め寄ってきて、わざと落ちたのだとは到底言えない空気だったのを覚えている。

おばあちゃん家といえば廊下の壁にブドウやらりんごやら鉛筆で落書きをして、ひどく叱られたこともあった。
この落書きはもう少し大きくなってから自ら消しゴムで消すことになる。

とにかく変身するものが大好きだった私はセーラームーンやら、ウルトラマンやら、姫ちゃんのりぼんやら、ゴレンジャーやら、女の子向け男の子向け関係なく興味を持っていた。
おかげで我が家には色々な人形が沢山あり、セーラームーンとウルトラマンが共演することなんて日常茶飯事だった。

ウルトラマンのビデオを観た後は実際に出てきた怪獣と、ウルトラヒーローの人形を探し当てて戦わせたりした。
もし手元にない怪獣がいたとしたら、父に買ってとおねだりしたものだ。

ある日曜のお昼(くらいだったと思う)。
お風呂に入っていた父とドア越しにおしゃべりをしていた。
今日はなんのおもちゃ買うの?と言われた私はトウモロコシ!!と答えた。
プラスチックの、あのすりガラスのようなざらざらのドア越しに見えていた父が「トウモロコシ!?」と驚いていた姿が今でも目に浮かぶ。

当時の私には、トウモロコシにしか見えなかった。
無事にそのトウモロコシを手に入れるのだけれど、後にそいつの名前がレッド・キングだということを私は19歳になって知ることになる。

思い返せば、2~3歳の頃から一人でよくおもちゃ屋さんにいた。
近所のイトーヨーカ堂の、入口を入ってすぐあったおもちゃ屋さん。
母がお買い物をしている間に、そのおもちゃ屋さんで待っているのが日課だった。

お母さんがいないと嫌!とか、そういった駄々をこねた記憶はほとんどない。
幼稚園に通うようになって、お母さんのところに帰る!と泣き叫びながらドアにしがみついている友達をみて、なんでそんなに帰りたいのか理解できないような子供だった。
今自分で思い返しながらも、なんて手のかからない子供だったのだろうと思う。

家族で焼肉に行った時は、肉ではなく肉につけたタレを白ごはんにペタペタつけて、ごはんだけを楽しんでいた。肉に興味がなかったのだ。
今思えば不思議な行動だけど、そんな私を見た父は「お父さんの小さいころにそっくりだ」と笑っていた。

いつか結婚して、私にも子供ができることがあるのだろうか。
もしその子が焼肉のたれで白ごはんを楽しんでいたら、それは間違いなく私の遺伝子だ。


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