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一級建築士学科試験の感想

「勉強」を辛いこととして認識している大人は日本中に山のようにいますが、この試験の勉強は明らかに「辛い」です。
私はいわゆるNに半年間通い、学科では合格(自己採ベース)を果たせました。
多々ある反省点、改善点をここに記しておきますのでどこかの誰かのご参考になれれば幸いです。

【計画】17/20(R04本試験点数)
建築作品は運ゲー要素が多かったです。ただ、集合住宅や建築史のメインどころはおさえるべきです。勉強効率は良くないですが、息抜きがてらに勉強できれば楽しくなってきます。
各種寸法は過去問回せば覚えます。掌を全力で開くと200mm、床から腰上までは850mm、椅子に座っての目線が1150mm、みたいにしてだいたいの目安がわかってくるので、そこまで難易度は高くありません。心配せずともここはやっただけ結果が付いてきます。
語句の意味はインナーシティー問題は~とか、ブラウンフィールドは~みたいな問題が出ます。ここも学校のテキストさえあればそれ以外は出てもみんな解けないか既知の枝の消去法で解けますのでそんなに心配はないと思います。

【環境・設備】19/20
難しい問題は難しいです。環境設備のみならずですが、特に棒暗記では対応ができなくなっています。中央熱源方式がなぜ使われているのか、どうして間接排水とするのか、などしっかり人に説明し、アウトプットをすることが大事です。やればやるだけ点数は安定しますが、計画同様満点は厳しいです。

【法規】27/30
ただひたすらやってください。中盤から満点の人もちらほらでてきます。とまとねこさんのアウトプット講座というものが個人的にはおススメです。時間はかかりますが、峠を越えると、25~28までは安定してとれるようになります。逆にこれが克服できないと合格は遠のきます。28~30で安定させるためには、ある程度過去問を暗記しながら自分が間違ったものをなぜ間違ったかを分野ごとに記し、「ひっかけ」に引っかからないようにしました。法規の試験前に見直すべきはこの自分で作成した「ひっかけメモ」に尽きます。法規が安定してくると合計点での下振れが驚くほど少なくなります。

【構造】28/30
難しくはないです。構造力学は超難問以外は全問取れないとダメです。少々の難問は構造が得意な方は確実に得点してきます。本当に無理な時は、試験は4択ですので、物理的におかしい枝を排除し鉛筆を転がすとだいだい合ってました。(※参考にはなりません)
文章題は他科目と変わらず、暗記です。ただ、いつまでも苦手意識を持っているとなかなか克服できない教科ですので、まずは配点の多い鉄筋コンクリートからマスターしていくと良いでしょう。
個人的には「ミカオ建築館」のYoutube講義及び語呂合わせ集と、Nの小野川先生の講義はすごくわかりやすかったです。

【施工】14/25
数値暗記の地獄です。しかも本番では見たことないものが正解の枝だったりするので個人的に苦手でした。ただこちらも、「型枠工事」や「鉄筋工事」、「仮設工事」など過去問からの出題が多いものをベースに確実に点数を積み重ねることが重要です。建築作品同様、ビジュアルでの理解ができないと、本試験では枝を絞れなくなってきますので、Youtube等を活用してしっかり脳裏に焼き付けるようにしてください。

結果論ですが、資格学校に通う利点は
・テキストの質の良さ
・モチベーションマネジメント
くらいだと思います。
主観ですが、講義内容は構造以外は他のYoutuberの無料コンテンツの方が優秀です。(はまちゃん、建築士みつきのながらstudyなど)
勉強方法については、正直独学で受かる人もいるにはいると思いますが、かなりの胆力が必要です。
また、Nのスケジュールでは6月ごろにようやく全範囲の履修が修了しますが、それでは遅すぎます。GWまでにざっと7年分は過去問を解き、意味不明でも間違いの枝をざっと記憶しておくだけでもその後に大きく影響してきます。早く全体を俯瞰して、横断的に知識を習得できるようになれば、より知識が堅固なものになります。

毎週の日課は
月、水~金:自宅学習 5h
火    :自宅学習 2h+N通学 3h
土    :8h
日    :自宅学習 2h+N通学 7h
の計42h/週なのでその半年で総計1008hですが、仕事も繁忙期は手が空かず、1月はほぼ身が入らなかったりでおそらく実質850hくらいだと思います。

それだけやれば受かりますが、これだけ時間を確保するのが最も大変です。
1年目で仕事もなかなか手の抜きどころがわからないままの受験でしたので折れそうになる時は多々ありましたが、耐久レースと思ってひたすら前を向いて走りました。自己資金を投じていたので、逆にそれがいいモチベーションの保持材料にもなった気がします。

長々と書きましたが、「努力したものが克つ」ような試験ではなく、運要素がとても絡んでくる試験となってきました。特に去年の計画9点組は悲惨すぎました。出題側にも何らかの意図はあるとは思いますが、確実に「運だけではうかりません」ということは言えます。多くのメディアから情報を仕入れ、最善の知識の習得方法を常に模索していくことが必要だと思います。
試験自体、数十年前より難化しています。ただ、今後はより難化していくと思われます。情報化が進んでいく中で、優秀なコンテンツが増えていくため、それだけ厳しい戦いになっていくという意味です。
ぜひとも今後の日本の建築業界を明るくすべく、今日も勉学に励み、誰かの役にたてる住まいづくりを目指していきたいと思います。

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