一方通行風呂 | 毎週ショートショートnote
個室銭湯「一方通行風呂」がビルの最上階にオープンし、
最初の客が早速入湯した。
「一方通行って何だ?あちち…
絶景だな。風呂は小さいが貸切で俺一人だと十分だ」
パカッ
「うわぁ!」
突然風呂の底が開き、男はお湯ごと落ちていった。
バシャ―ン!
落ちた先は大自然の中に桜の花びらが浮かぶ和式風呂だ。
「なるほど、落ちる度に毎回別の風呂を楽しめるのか!素晴らしい」
バシャン、バシャン。
男はどんどん下に落ちていった。あたりが急に暗くなった。
「地下まで行ったな。洞窟風呂だ」
コウモリのレプリカはまるで本物みたいだ。
バシャン、バシャン。
男は落ち続けた。
「熱っ!なんだこの風呂」
すると壁のスピーカーから声が聞こえた。
『マントル風呂です、地球の中心まで来ました』
「まさかこのままブラジルまで行かないだろうね」
『その予定でしたが申し訳ございません、只今機械が故障しました!
そこで暫くお待ちください!』
「熱い!誰かぁ~!」
地球の真ん中で叫び声が響き渡った。
(410文字)
たらはかにさんの企画に参加させて頂いております。
…こんな風呂、入ってみたいですか?
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