非情怪談２ | 毎週ショートショートnote

我が家は妻と娘の3人暮らしで、家に小さなインコを飼っている。
言葉の真似が上手なよく喋る鳥だ。

妻が不在のため、私は部屋で娘と過ごしていた。
娘は着せ替え人形で遊んでいる。

「首をちぎっていい？」

娘に唐突に言われギョっとした。
その人形は頭と体の接合部をパキと引き離して
体ごと着せ替えが出来るため、
子どもの視点では「首を千切る」という言い方になるのだろう。
ある意味では非情な考え方だ。

「クビヲチギッテイイ？」

と、インコが娘の真似をして喋った。
怖い言葉だが子供の遊びの真似事であれば仕方ない。
子供の言葉を真似することが楽しいのだろうか。

その後も、インコは非情な言葉を真似し続けた。

「メダマトッテモイイ？」
「アシモハズシチャオ！」
「バラバラニシヨウ」

私は流れ出る汗を拭った。

暫くして、ひとしきり遊び疲れた娘が私に質問した。

「お母さんまだー？いつ帰ってくるの？」

私は出来るだけ優しい声で娘に言う。

「お母さんはね、しばらく帰ってこないよ」

(410文字)

---

たらはかにさんの企画に参加させて頂いております。

心温まる話もホラーも恋愛も好きな雑食系。

子ども頃にのめり込んだSFCのソフト「学校であった怖い話」。
新堂誠のテーマが大好きです。

企画内容はこちら！

#小説 #ショートショート #毎週ショートショートnote #非情怪談 #ホラー