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奇岩シューズ | 毎週ショートショートnote

修司の一家が経営する民宿『祈願荘』は島の海岸沿いにあった。

窓から見える絶景。浅瀬に見える『奇岩靴』が名物だ。
2つ並んだ岩はブーツの様な形をしていて、靴を履く様に岩に立ち写真を撮る人が少なくない。奇岩靴の恩恵を受け民宿はいつも繁盛していた。

だがある日、大きな地震で左の奇岩靴が崩落し、
翌年の嵐により後を追うように右の奇岩靴も消失した。

奇岩靴は永遠に存在するものと信じていた。
当たり前の日常と自然を侮っていた。

名所を失った祈願荘は客足が遠くなり、やがて閉館した。

「俺の力不足で、本当にすまん」

共に働く妻と息子夫婦に謝罪する修司の目には涙が溜まっていた。

30年後。

数億光年先の宇宙に新しい星座が発見された。
星を線で結ぶと二つのブーツの形に見える。

科学者はその星座を「Kigan Shoes」と名付けた。
少し距離を置いた場所に強く輝く1つ星。

「おじいちゃんのそばに、いつも奇岩靴があるよ」

修司の孫は命名者となり空に祈りを捧げた。

(410文字)


たらはかにさんの企画に参加させて頂いております。
こちらも出遅れてしまいました💦

#小説 #ショートショート #毎週ショートショートnote #奇岩シューズ


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