8/11 日本 vs スウェーデン(女子)
女子W杯ベスト8日本vsスウェーデンの試合を感想ベースで。(※女子サッカー自体数年ぶりに観たので、前提知識などはほとんどなく書いています。)
感想
久しぶりに女子サッカーを観戦。W杯ということで気持ちが入った良い試合だったと思う。両チームアグレッシブに戦い、90分走り続けた。試合は2-1でスウェーデンの勝利。
家族と見ていたが「体格が全然違うし仕方ない」という言葉を耳にした。ニュースのコメントでも多かったように思える。確かに、体格は全く違うものだったが、それが勝敗を分けた一番の要因であったとは思えない。仮にそれが一番ならサッカーは面白くない。
久しぶりになでしこジャパンを観たので、当然今のチームがどんなサッカーを指向しているのかなど前提知識はほとんど無いに等しい。あるとすれば、ニュースでチラッと耳にした「カウンター」から得点を取っているという情報だけだった。
そのことを頭に入れて試合を観戦。自分が観た感じでは、今日の試合の戦い方では「カウンター」は出せないのではないか?と思ってしまった。敵を自陣に引き込んでのロングカウンターなのか、相手陣内でハイプレスを仕掛けてのショートカウンターなのかも分からない。が、前者ならボールを奪った後の前向きのサポート、後者なら相手をはめる配置に関して上手く行っていなかったと感じた。
また、ボールを運ぶにしてもスウェーデン守備陣を崩せない時間帯が長く、最後に押し込める時間を作れたが、時間が足りなかった印象。
簡単に「配置」と「スピード」という2点から自分がこの試合を観た感想をメモに残したい。
配置のズレ
日本は3-4-3で試合に臨んだ。攻撃時は3-4-3で、3トップの両翼はウイングではなく、やや内側に絞ったシャドー的な位置。大外はウイングバックが使うという配置。一方で守備時はウイングバックとシャドーが一列ずつ落ちて、5-4-1の形。相手にボールを持たせるが、最終ラインとバイタルには厳しくプレスをするという守備の仕方だった。
スウェーデンは攻撃時には流動的に配置を変えていた。(場合分けがどのように行われていたのかは把握しきれず、、)4-1-2-3のような形と3-4-3のような形の2パターン。前半は3-4-3が多かった印象。守備時は4-4-2、もしくは2トップの一角が落ちて4-1-4-1のような形。
前半はスウェーデンがボールを保持する時間が多かった。日本が引いた5バックだった為、スウェーデンは余裕を持ったビルドアップ。ただゴール前やクロスには日本守備陣が数的優位を生かしながら対応。という時間帯が続いた。
「日本がしっかり抑えられている」「スウェーデンはボールを持たされている」と捉えることができる一方で、「これだけ自由にボール保持できるならいつか日本は隙ができてやられるかも」という感じもしていた。
ロングボールから背後を取られあわや失点の場面。ディフェンス対応に目が行きがちだが、供給元を見るとドフリーである。これだけドフリーなら決定的なパスも出せてしまう。スウェーデンの3バックに対して、日本は1トップしか当てていない為、3バックの両端の選手はいつもフリーでボールを持てていた状態だった。ここのスペースを使って効果的なロングボールを他にも数回入れられていた。ここを自由にさせない配置変更ができなかった時点で、前半はスウェーデンのやりたいような試合を作らせてしまったと思う。
どうすれば良かったのか?個人的には、スウェーデンの3バックに3トップをそのまま当てれば良かったと考える。それだけでプレッシャーは相当かかる。
この試合、日本のシャドーは守備時は一列下がって相手のウイングバックをマークしていた。日本のウイングバックは一列下がって相手のウイングをマークしていた。
日本のシャドーを相手3バックに当てる。スウェーデンのウイングバックには、日本のウイングバックを一列上げて当てるようにする。日本のウイングバックを上げるのはボールがあるサイドだけで、逆サイドはそのまま最終ラインに下がっておく。ボールサイドのスウェーデンのウイングは日本の3バックの一人がカバーできるようにしておく。こうすることで擬似的に4バックを作れるので、3バックで守備するよりも安定感がある。スウェーデンのボールと逆サイドのウイングはフリーになるが、そこまでのロングボールを蹴ることはほとんど無い。ボール保持者にもプレッシャーがかかっているはずなので、なおさら蹴ることはできない。
正直この試合でスウェーデンの攻撃に対して常に5バックで引く必要はなかったのでは無いかと思った。そこまでロングボールを多用してパワープレーで押し込んでくるわけではなかったので、かえって日本のディフェンスラインで人数の余りが出てしまっていた。その分、スウェーデンの3バックと中盤にスペースと数的な差が生まれてしまっていた。
更にボールを奪って攻撃に転じようとしても、前にほとんど味方がいない。スウェーデンのマークがあれば、パスコースはないに等しかったのではないか。だから大きくクリアかすぐにロストしてしまうという繰り返しの前半になってしまった。
相手を前から嵌めていき、自由にボールを蹴らせない。あわよくばミスを誘い、高い位置でボールを奪ってカウンター。これがこの試合の戦い方として有効だったのでは無いか?と前半から観ていて感じていた。
女子サッカーの戦い方
女子サッカーは男子サッカーとは別物だと思っている。優劣の問題ではなくて、その性質に違いがあるという意味で。
何が大きく違うのかと考えると、「スピード」なのではないかと思う。ボールスピードもだが、それよりも選手の走るスピードやアジリティのスピードである。
「スピードが無いからダメ」と言いたいのでは無い。「スピード」を生かした戦い方をすべきなのでは?と思っている。
女子サッカーは、男子サッカーよりも「走るスピードとボール移動スピード」の差が大きいと思っている。ということは、ボールを早く動かせば動かすほど、相手選手の動きとの差が生まれやすく、攻めたいスペースを生み出しやすいのでは?と思う。
だから、できるだけ大きくピッチを使うこと、サイドチェンジを複数回行うこと、サイドチェンジのスピードを上げることが重要だと思う。そうすることで相手の守備のスライドが間に合わなくなり(体力消費も)、攻め込みやすいスペースができる。
が、今日の日本を観て思ったのは、同サイドで細かく繋いで崩そうとする、パスはショートパスでロングボールをほとんど使わない、であった。
この攻め方ではスウェーデン守備陣は動かず、攻め込みにくい。細かい所で抜け出したとしても、ゴール前は準備が整ってしまってる。
せっかくウイングバックを配置していて、逆サイドのウイングバックはほとんどフリーでいる。そこにボールが入らなかったり、入ったとしてもパス4本くらい中継している為、かなりゆっくり動く。
実際、この試合のチャンスシーンにはロングボールが絡んでいることが多かったように思える。
女子サッカーには男子サッカーに無い特徴があり、それが魅力になりうる。こういう女子サッカー特有の戦術などが増えていくと、競技力の向上と魅力の向上につながるのではないかと思った。
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