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人生のタイムアップを決めた人の逆算

2024.01.10〜11と、三重県へ。
私の仕事ツールの一つ、ドローンを通じて得たご縁の方を訪ねに。
昨年当方を訪ねてくださった御礼もあり。
彼が大腸ガンで余命数ヶ月を宣告された(2度目らしいが)とのことで、今を逃すと後悔先に立たずもあり得ると思い。


近鉄線デビューした

本業が激しいワーホリ時代は、青森〜九州の範囲内なら95%車で行きました。機材が沢山あること、機内持ち込み出来ないものがあること、運転が好きなことが理由。

今回は、久しぶりに鉄旅で。
JR中央線特急しなの号→近鉄線で三重県志摩市の鵜方駅まで。


途中の四日市市の景色(寄ってみたかった)

彼は所謂ドローン空撮界のレジェンドに属し、 空撮を生業とする方々から漏れなく賞賛される映像を生み出しています。調査分野のいわゆる解析データを得るためにドローンを飛ばす私には、全く近づけない神領域。

満面の笑顔で駅に迎えに来た御姿は、パッと見至って健康的な50代男性の陽気な姿。
彼はアウターのポケットにはチューブ付きの円筒形の容器が潜んでいるのを見せないまま。
私も訊ねない。

2人で海鮮料理屋に入り夕食、伊勢月見めかぶうどんの定食(唐揚げつき)は、今まで食べた伊勢うどん中文句なしの一位。
黙る暇なく話が盛り上がる…まだ2回なのに、こんなに楽しく赤裸々に話せる相手はそういない。
毒舌とこき下ろしと未来のたくらみに花が咲く。

伊勢月見めかぶうどん

話が尽きず、次いでコメダ珈琲店へ。
たっぷり1.5倍アイスカフェオレを2人でおかわりしながら閉店時間まで。

絶対悲しい顔を見せまいと、笑い倒した5時間。
ホテル前で別れる際、彼が
「明日海へ行きましょう」
と。
本当は、名古屋に現調を兼ねて街散歩しようと思っていた予定をすかさず変更。
「ぜひ!」

閉業した喫茶店(鵜方市)

朝から彼の車に乗り、彼が好きなビートルズがガンガン流れる車内で、音楽に負けないストレートな毒舌や映像テクや業界ヤバ話やあんなことこんなことの話題に花が咲く。
志摩を見下す展望台、面白くない面白展望台、鳥羽の展望台…海を見ながら話す彼の話には、はっきりとした決意が。

甘酸っぱい。

「今の抗がん剤は効いていない。あと2種類使えるが、効かなければ他に方法があるみたいだけど延命しない。味覚障害や床に臥して生きるくらいなら、好きな音楽と映像の仕事を続け、うまいもん食って死んでやる。残り時間を決めたから、逆算で濃い時間を過ごす。薬にならない人達との付き合いやSNSなどやめた。」
まだご両親が存命、伴侶も病を機に懇願して別れたという彼の、これからの生き様(死に様か)が楽しみ…

最後まで見事に生き切って欲しい。


2人で海鮮丼を喰ふ

暖かくも曇っていた空も晴れて、鳥羽駅で別れ。
握手もしないし手も振らない。
「秋には蕎麦を食べに!」
そう言うだけにして。


夕暮れの名古屋駅

私自身あまり友達を作る方ではなく、むしろ相手に合わせられない性格。
この僅かな出合いだけで打ち解けられる人は珍しい、そしてこれまでの前例に漏れず、そうした人は皆何故か早い時期に別の世界へ行ってしまう。
たぶん例外にはなるまい。
気休めはやめ。
秋蕎麦の前にカブで行けたらいいな。

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