小川哲『君が手にするはずだった黄金について』を読んだ(1,613文字)


感想を文字で書けないもどかしさ

私にはこの作品の感想をまとめられる文章力がありませんでした。
でも面白かったです。

色んな事が頭に浮かんで、自分の学生時代や人生について顧みさせられ、誰かと話したい!でもどうやって表現する?となって終わりました。
自分のことと照らし合わせてしまったのは、小川哲さんが私と同年代というのもあるかもしれません。

前回読んだ『君のクイズ』はエンタメ的に面白くてよかったのですが、今回の『君が手にするはずだった黄金について』は自分の内側から何かが氾濫して突き刺してくるような?(なんだそれ)

小さいときよく治りかけのかさぶたを剥がして、痛いし臭いのにその傷を見てしまうことあったじゃないですか。

あれをしている気分になりました。

あの行為ってなんて名前なんでしょうね。

簡単すぎる感想なら書ける

小川哲さん、友達が多くて羨ましいなぁ。
前にも書いたのですが、たくさんいた友人がライフイベントを経てかなり減ってしまった私としては、羨ましい限りでした。

あと、けっこうモテますね?
「プロローグ」と「三月十日」で出てくる女の子の名前が違って卒倒しかけました。このせいでイニシエーションラブ的な、叙述トリック系の話なのかな?と疑って読んでしまいました。

内容と全然関係ない私の話

20代後半くらいからかな?よく「あ~大学時代が懐かしいなぁ」「戻れるものなら戻りたいな」なんて切実に思うようになりました。

なぜかって、ラクだし楽しすぎたからです。
何したっていい、働いたって、恋したって、勉強したって、旅したっていい。

働くことが大嫌いで憂鬱だった私にとって最後のモラトリアムでした。
社会人になったら、勉強したくたって時間がないし体力気力もない。

大学時代、私は別に研究熱心だったわけではありません。
むしろその逆で、研究仲間には呆れられていた方でした。

仲間たちに助けられ、幸い留年することなく卒業できたのですが。

話は変わりますが、私は精神的に追いつめられると悪夢を見るのですが、
そのパターンが最近変わってきました。

以前は
①ピアノの発表会か何かの当日や前日に、
全然練習不足だから弾けない、どうしようと悩む夢

②津波に飲まれそうになる夢

のどちらかが多かったです。
たいてい仕事に追いつめられるとこういった夢を見ることで「今切羽詰まっているな」と自覚していました。

ところがここ1年で③のパターンが出てきました。
③大学に遅刻しそうになる夢、そのことで単位を落としたり卒業できなくなる可能性がありそう
というものです。

もしかして、私ってこんなに大学に戻りたいとか言ってるけど、当時の私もそれなりに苦労してたのかな?と思うようになりました。
楽しいだけじゃなかったのかな、もしかして卒業するときはちょっとホッとしたりもしてたのかなと。

ま、あくまでも夢の話なんですけれど。
ためしに当時の日記を読んでみると、たしかに楽しいことだけじゃなさそうです。
バイトで嫌な思いをしたり、友人関係で悩んだり、恋愛で傷ついたり…。
大局的に見ればとても楽しそうな大学生活ではあるものの、1日1日を見るといい日ばかりではなかったんだろうなという印象です。

でもこれってきっと人生がそもそもそういう風にできているんですよね。
終わってしまったことは、たいていの場合いい思い出が残り、自分の都合のいいような記憶になる。
なかにはトラウマ級の思い出もありますが、思い出す度少しずつ傷跡はふさがっているというか、痛みが鈍くなっている気がします。

『三月十日』という話を読んで、なんかそういうことだよね!私だけじゃないよね!と頷きました。

その他の話

表題の話も、「小説家の鏡」「偽物」も全部面白かったんですけど
全部うまく表現できない面白さで、
原作はとても面白いのに実写化しても絶対面白くない部類の話だなと思いました。

こういう話は大好物なので、ご結婚もされたことですしできれば続編も書いてほしいなと思いました。

莢子

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