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ほろよい読書

こんにちは。莢子です。
先日『barきりんぐみ』の感想をアップしたのですが、ほかのお話も粒ぞろいだったので簡単な感想を振り返っておこうかと。

アンソロジーのいいところは今まで読んだことない作家さんと出会いがあったり、短編なので合わない作品が収録されていてもダメージが少ないところですよね。
区切りがいいので疲れていたり、短い隙間時間に読めるところもお気に入り。

ショコラと秘密は彼女に香る/織守きょうや

こちらの作者さんの作品は読んだことがなかったのですが、とてもおしゃれなお話でした。この作者さん、調べたところ結構怖そうな作品を書いてらっしゃるけれど、こちらはほっこりするとてもお上品な作品。
お酒入りボンボンショコラやブランデー入りのケーキなど、カロリーの気になるおいしそうな洋菓子がたくさん登場します。
正直言ってしまうと、叔母さんの秘密を始め全体の話の展開は早々に読めてしまうのですが、それでもほっこりできるいい話でした。


初恋ソーダ/坂井希久子

かわいらしい題名とは裏腹な、「果実酒」づくりにはまっている独身アラフォー女性が主人公の、女性の人生を考えさせられるお話。同期の女性が育休産休を取得したことで昇進コースから外れた対照的な人生を歩んでいるのもリアルでした。

~※ここから長めな私の愚痴です※~
私も独身時代、子どもがいない正社員独身女にはバリバリ働きキャリアを積むいわゆるバリキャリコースしかないことに疑問を持っていました。子持ち正社員の女性には昇格の話は出ないのに(それはそれで問題ですが)、独身のそれなりの年齢の女性は上を目指さないといけない圧があることに不満を持っていました。
バリバリ働きたい人は子持ちだろうがそうじゃなかろうが働けばいいし、まったり働きたい人は子どもがいなくてもまったり働かせてくれる社会になってほしいなと本当に切に願っていたものでした。(もちろん会社によるとは思います)

また、妙齢の独身女性に対して「結婚しろ」「その辺の独身男性とくっつけ」という周りの圧も嫌いでした。恋愛したくなったら言われなくてもするし、相手は自分で選ぶので放っといてくださいという感じでした。
~※愚痴終了※~

長々と愚痴ってしまいましたが、こんな経緯があり余計にこのお話が刺さりました。
てっきり、タイプじゃない男性と果実酒をきっかけにねんごろになり、意外とこういうのもアリだな☆みたいなよくある21時台ドラマ的終わり方をすると思って読み進めていたら全然違いました。それも含めて題名に裏切られて心地良かったです。

醸造学科の宇一くん/額賀澪

こちらの作者・額賀澪さんは転職の魔王様の作者さんなのですね。今回の短編集の中だと一番軽めのノリで、物語の舞台も大学ということで主人公の年齢も若いのかな。青春アニメを見ているような甘酸っぱさがありました。読んでいる間ずっと脳内で2次元の美少女とイケメンがくるくる動き回っていました。
出てくるお酒は「日本酒」。

農大って周りに進学者がいないのですが、なんだか楽しそうですね。
でもこれも将来が決められていない、次ぐ事業のない側のお気楽人間から見た無責任な感想なのかもしれません。

いちいち主人公が宇一くんのことを「ミルクティー色の髪」とか表現するので「恋じゃん!好きな相手の髪色にしか使わない表現じゃん!」てキレながら読んでいました。

定食屋「雑」/原田ひ香

食事の作法が原因で夫に逃げられ離婚を申し込まれた主人公・沙也加が定食屋で働く、ちょっとビターなお話。

食事とかそれにまつわる作法・文化って簡単には変えられないほど根深いですよね。私の場合は目の前でごはんに汁物をかけて食べられるのが苦手です。(私の知らないところで勝手に食べるのは問題ないです)
食事中に酒を飲む飲まないもそのひとつ。ただ、今回の離婚はきっと、ひとつの原因にしか過ぎないんだろうと思います。

きちっとした人が配偶者だと手続きとかお金とか家事とかの面で助かる部分も確かにあるんですが、一方で疲れているときに寄り掛かれなくて心の溝が開いてしまうってこともあります。ほどよい雑さが救ってくれることってある。かといってすべてが雑でいいわけではない、沙也加の言うとおり体のことは考えるべきだし…。

出てくるお酒は(おそらく)ストロングゼロ。笑
私も1度だけ飲んだことがありますが強すぎるし意識がもうろうとするしでもう二度と飲みたくないと思ったお酒。よくネットでネタにされていますが、ストロングゼロを飲まずに生きていける人生を送れているうちはそれでいいのかなと思ったり。

おわりに

けっこうサックリ読めるので、つい続編の「ほろよい読書 おかわり」を購入してしまいました。
こちらも子どもが寝たあとにじっくり味わいながら読みたいです。

そこまでフィーチャーされていないお酒でいうと焼酎とか、ウィスキーとかかな?
新しい作家さんとの出会いも楽しみです♪
                


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