母と同じ、0か100か思考

「なんで家に来るの？　もう2度と家に来ないで」
Aに今すぐ電話して、言い放ちたかった。

私は0か100かで考えてしまうタイプである。
感情的で、論理的思考が足りない。
これは母から受け継いだものに違いない。

母は、自分の子どもが生まれたときから、夜ぐっすり眠れなくなったという。

母を見ていると、苦労の連続の人生である。夫に早くに先立たれ、小姑にはいじめられ、義父母を看取り、再婚した夫の介護……。
それまでにも、長男が学校で荒れたこと、次男の〇〇事件など、次から次へと対応に困る問題が起こった。

それでも家族のために我慢に我慢に重ね、家族のために奔走し。積み重なると、ときどきパニックを起こす。
今の母は自分自身消えてしまいたいくらいに消耗しているようだ。そんなことはない、そんなはずはない。食欲旺盛で、好奇心旺盛な母なんだから。

私も全部リセットしたい衝動にかられたことが今までに何度かあったが、小心者というか、ずぶといというか、平気な顔して生きている。
何かに悩んだとしても、胃が痛くなるほどではない。
食欲がなくなるほどでもない。今だって納豆のパックのフィルムをはがしているところ。消えてしまいときも「図書館の本を返さないと」「明日納期の仕事やらないと」など、義務感に縛られる私だ。何も思い切ったことなどできない。

感情を爆発したくても、寝言で叫ぶくらいだ。
でも、今すぐに駆けつけて母の側に行き、全部背負わなくていいんだと言ってあげたい。
Aを呼びつけて、問いただすのだ。

そんな風に激高していると、夫がやけに冷静に私を押しとどめる。
夫は短気だが、私も短気。怒る頻度やタイミングが違うだけ。
今ストッパーになってくれてよかった。

とにかく、あれもこれもと私の心を占めるものが押し寄せている。
0か100かではなく、その間を埋める対策をたてなくては。冷静になれ。