予備校講師はお笑い芸人
「先生、どうやったら講師になれますか?」
看護学生からこんなこと言われると、
「看護師にならんのかーい笑」と心の中でツッコミを入れてしまいます。
学生の中でも教えるのが上手な方は時々いて、
「〇〇ちゃん、先生とか向いてるんじゃない?」なんて話が出たりするもんです。
「やっぱり経験がないとなれませんか?」
「いや、そうでもないよ?」
講師としての素質は、一体どこからくるものなのか。
経験はさほど問題ではない。
実際に私の師匠のひとりは、看護師免許を持っていません。
しかし、教え方はバツグンに上手いですし、講師たちも聞き入ってしまう魅力を持ってます。
私も病院で働いたのはほんの数年でしたし、教員として働いた経験もありませんでした。
むしろ、すぐ退職していくのは教員経験のある方が多いです。
学生の中には「学校の授業=つまらない、難しい」と感じてしまい、つまずく子もいます。
大学でのスタンスのまま予備校講師になると、「学校の先生みたいでつまらない。」と言われ、この業界で生き残るのが難しいのです。
(これで心がポッキリ折れて退職届を出す人たちが本当に多いです。)
なので『教えてきた実績』というのは、あまり重要ではないと思ってます。
大事なのは庶民感覚
学生「先生の講義、すっごい楽しかった!」
私「ありがとう。分かりにくいところなかった?」
学生「全然!先生は噛み砕いて説明してくれるから、スッと知識が入る感じがする!」
看護師たる者、「患者さんにわかるよう、噛み砕いて説明をする。」という掟があるのですが、これが教育現場でも活きています。
講義をする時は、患者さんに話すように目線を下げて伝える。
当然患者さんは医療知識がないので、専門用語でベラベラ喋ってもポカーンとされます。
医療知識のない庶民感覚に戻ることで、「何に難しさを感じるのか?」が見えてくるのです。
そして卒業後は看護師となり、その知識は現場で使われる。
教壇で教えたことが患者さんまで届くようになるのです。
私自身、勉強が苦手だったことも、要素としては大きかったです。
「どこでつまずきやすいか?」という学生の弱点が、勉強の苦手な私には痛いほどわかったからです。
「看護学生だからわかって当然だろう。」という考えのまま接すると、痛い目に遭います。
予備校講師はお笑い芸人
「師匠の講義ってさ、なんだか吉本のライブとかお芝居みたいだよね。」と伝えたことがあります。
「確かにな。やってることは役者や芸人と変わらないよな。」と師匠はニコニコするんです。
実際、私も教壇に立つと、お笑い芸人のような気持ちになることがあります。
完全にエンタメです。
学生さんというお客さんにウケて、楽しんで帰ってもらうための小劇場なんです。
時々ボケたり、自分のネタに自分でツッコミを入れたり、「これってすごいことだと思うんだよね!」と感動してみたり。
スベッても粘り強く舞台に立てる、骨太な講師が増えたらいいな、なんて夢見てる私です。
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