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Vol.62#挑め!Leading Article/おじいちゃん達の大統領選

今日のテーマは”米国大統領選候補者の高齢化”です。

🔹🔸このコラムでは毎朝その日のLeading Articleから解釈の決め手となる語句を3つ選んで解説していきます。定着させて英語を読む事がどんどん”楽”にしていきましょう🔹🔸

3月の第2火曜日は全国各地で各党の大統領候補者を決める予備選挙の実施が集中する為、スーパーチューズデーと呼ばれています。ここで指名をうけた候補者どちらかが次期大統領となるわけですので、選挙戦においては決定的な局面と言えるでしょう。今回のスーパーチューズデーの勝者は民主党は現職のバイデン大統領、共和党は元大統領のトランプ氏。バイデン氏は81歳、トランプ氏は77歳と高齢者どうしの戦いとなる事は概ね確定です。
かくも高齢な候補者が大統領としての責務を全うできるのか、国民の反応は懐疑的なものでした。ある調べによれば67%の回答者がバイデン氏には任期を全うする事が難しいと回答しており、57%の回答者から否定的な回答得たトランプ氏をリードしています。なかなかの惨状と言えるでしょう。

大統領選に関する言葉を確認しながら、読み進めていきましょう。

◎今日のLeading Article:No Country for Old Men

That the election in November will be fought by President Biden and Mr Trump appears no longer in doubt. Super Tuesday’s raft of primaries rubber stamped Mr Biden’s candidacy for the Democrats and took Mr Trump to** within a whisker **of the 1,215 delegates needed to secure the Republican nomination. In any case Mr Trump has no opponent to beat, Nikki Haley, his last surviving rival for the nomination, having pulled out. Yet, Ms Haley and the moderate Republicans who backed her may come back to haunt Mr Trump.
(中略)
The conservative-dominated US Supreme Court has so far complied with this strategy, ruling as unlawful attempts by states to exclude Mr Trump from this year’s ballot on grounds that he sought to overturn the 2020 vote. Last week, the court helped again by agreeing to hear Mr Trump’s appeal for blanket immunity for any action taken by him as president. This kicks the can down the road in regard to federal allegations that Mr Trump attempted to subvert 2020 election and illegally retained classified files at his home following his defeat. It is now quite possible that neither matter will be heard before November.

□解釈のポイント■■■

① rubber stamp/安易に承認する

欧米の文化において正式な承認の意思表示はサインです。これは判子を重んじる日本と少し異なる点です。判子による承認は役所での申請受理など限られた場面以外は用いられません。この事からゴム印を押すという表現は形式的な承認を指す表現となりました。

既にトランプ氏やバイデン氏でほぼほぼ確定している中でスーパーチューズデーは形式的な承認の場になってしまったという事ですね。

② within a whisker of/もう少しの所

ひげの内側、未だ頬には至らず。本当にあと少しのところまで来てるという意味ですね。

各州から選出された選挙代理人からの支持を一定数あつめると党の大統領候補に指名を受けることになるわけですが、トランプ氏はその目前にせまっているという事です。”ひげ”については以前の記事で詳しく取り上げていますので読めば貴方も”ひげ”通に。

③kicks the can down the road/問題を先送りする

歩きながら空き缶を道路の進行方向に蹴り飛ばすとどうなるでしょう。自分は先に進んでいきますので再び空き缶は足元に戻ってきます。このように解決しなければならない問題を徒らに先延ばしする事を意味してます。

先の選挙でトランプ氏が開票結果を子供じみた方法で覆そうとした事は民主主義を根本から否定する重大な違反行為です。また、大統領を退いた後の機密文書の扱いについてもトランプ氏の責任をしっかりと追及しなければなりません。そして、それは次の大統領を決めなければならない今の今なされなければならない事でしょう。それにもかかわらず最高裁はトランプ氏の上告を受理する事で決議を先延ばしにしているという状況です。


■試訳

11月の選挙はバイデン大統領とトランプ氏の戦いとなる事は確実だ。スーパーチューズデーに実施された多くの予備選挙の結果、民主党の候補者はバイデン氏となってしまいトランプ氏も共和党候補者指名を確実なものにできる1215人の代議員による支持の目前まできている。いずれにせよ・トランプ氏は打ち破る対戦相手もいない。最後まで指名を争っていたNikkiHaleyは退いてしまっている。Haley女史と彼女を支持する穏健な共和党員は復活してトランプ氏を追う事になる可能性はあるが。
(中略)
アメリカ最高裁は保守派により独占されている。これまで各州がトランプ氏を2020年の選挙結果を覆そうとした事で候補者から除外しようとしたのに対して、最高裁はその試みを違憲とする戦略をとった。また最高裁はトランプ氏が大統領としてとった行動を一括で免責とするという上告内容受理して再度トランプ氏を助けた。連邦政府はトランプ氏を2020年の選挙結果を覆そうとした事、選挙に負けた後に機密情報のファイルを不法に自宅で所持していた事に対して訴追していたが、これによって結論は先送りとなり、どちらの問題も11月より早い時期の決議の可能性はほぼなくなった。

◇一言コメント:リーダーの年齢

今回はおじいちゃん達が政治の主役を退かない(gerontocracy、老人支配)アメリカの話でしたが、英国の首相は若々しいRishi Sunak氏です。
Sunak首相は大学卒業後金融業界を経て30代で政界入りしてから大蔵大臣、首相と瞬く間に英国政界のトップに上り詰めました。首相就任時には未だ40代に入ったばかりです。
移動の多さ、責任の重さ、緊張感など政治家の仕事で要求されるバイタリティは並のものではありません。まして首相の責務の重さは想像を絶するものがあるでしょう。そこで若さは大きなアドバンテージとなります。トニーブレアも首相就任時は42歳でした。米国にも、そして我らが日本にも若さを武器に難局を乗り越えるリーダーの登場が望まれているのではないでしょうか。

タイトルの”No country for old men”はW・B・イェイツの詩「Sailing to Byzantium」からきているようです。老いた詩人が自身の人生を振り返りながら、老いを受け入れようとする姿勢が謳われています。米国の2人も読めば得るものがあるかもしれません。
また、このフレーズは映画のタイトルとして使われています。アメリカとメキシコ付近での麻薬取引のお金をめぐった凄惨な殺し合いを描いたストーリーで、激しい大統領選をイメージしているようですね。






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