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病まない雨【安全基地の意義】

30万という数字

約29.9万人。不登校の児童数。
約30.2万人。大人の精神疾患入院患者数。

外来通院中も含めると大人の精神疾患者数は約419.3万人です。
子供も大人も社会で心の居場所を失っています。
不登校の子供と精神疾患を抱える大人に共通する課題は何でしょうか?

結論、その共通点は「安全基地」の欠如です。
安心できる場所がないため、心の安定を失っています。

病んでからでは遅いのです。
誰もが病んでしまうかもしれないこの時代だからこそ、
病む前に一度は考えてほしい。。。
今日は子供にも大人にも必要とされる安全基地の意義について、自分なりに考えてみました。


安全基地の役割

体力が、、、

RPGゲーム、村の外でモンスターと戦います。
レベルもアップしますが、HPが減っていく。
そんなときは、、、
村にもどって回復しますよね。

傷ついた体力と心を回復するスポット
それが安全基地です。
宿屋やポケモンセンター、そんなところです。
心理的に安心できる場所や人を指します。
自分らしくいられる場所 = Homeですね。

子供や大人にとって、親や家庭など身近な存在が該当します。
自己肯定感を高めたり、社会的なつながりを強化したりします。

近年ビジネス業界でも注目された「心理的安全性」とも多くの共通点があります。
安全基地も心理的安全性も外部からのストレスや不安を感じずに済みます。
心の安定を保つために重要なのです。

安全基地が確立された環境では、挑戦がしやすくなります。
ストレスに対する抵抗力も高まります。
レジリエンスは安全基地の質と量が関係します。
家庭だけではなく、いろいろな機関で安全基地の量を増やし、
その人にあった環境を整えることで安全基地の質は高まります。

安全基地により、社会的適応も向上することが示されています。
子供たちの適応力が向上し、不登校のリスクが低減します。

大人においても、安全基地が精神的安定を提供します。
安全基地があると、うつ病や不安障害の症状が軽減されます。
これらの要素が心の安定と成長をもたらします。
以下、安全基地支援の具体例をみてみましょう。

レジリエンスは安全基地の質と量

学びの多様化と大人の就労支援

最近、「学びの多様化学校」の取り組みが注目されています。
生徒一人ひとりの個性やニーズに応じた教育を提供しています。
岐阜市立草潤中学校では、不登校の子供たちに対して個別に休むための場所の支援を行っています。
一時的な休憩場所としての個室ブースがあるのです。
安全で安心できる環境を提供し、学べる場所を作っています。
これにより、子供たちは自信を取り戻しています。
多様化した学びの場が、安全基地として機能しています。

一方で、大人にも「安全基地」の提供が重要です。
政府や自治体は、精神疾患を抱える大人への支援を強化しています。
障害者雇用の義務化、雇用率の増加など近年大きな変化が起きています。
また、柔軟な働き方を導入する企業も増加しています。

2023年時点で、約60万人の障害者が一般企業で雇用されています。
さらに、全国で約3,500箇所以上の就労移行支援事業所が設置されています。
就労支援機関が企業と精神疾患者をつなぐ役割を果たしてるのです。
これらの事業所は、企業と精神疾患を抱える人々をサポートしています。

子供の学びの多様化や大人の就労支援は、安全基地の大切さを示しています。
安心して成長できる環境が以前より整えられてきています。

大人にも「安全基地」の提供が重要

ストレッチゾーンとパニックゾーン

安全基地の役割を理解するために、「ストレッチゾーン」と「パニックゾーン」の概念を紹介します。

話は再びRPGゲームです。
例えば、
レベル1でラスボスに遭遇してしまったらどうしますか?
絶対勝てない敵、パニックになりますよね!
全力で逃げますよね!
そう、これがパニックゾーンです。
パニックゾーンでは、過度のストレスや恐怖感により、判断が難しくなります。
学びや成長が阻害され、逆に心理的ダメージを受けることがあります。

一方ストレッチゾーンとは挑戦や不安を感じても成長できるレベル領域。
ちょうどよいレベルの敵といえます。
適度なストレスがかかるため、能力が伸びやすくなります。
その人にとって適した学びの場。
ストレッチゾーンに入ることが正しい環境調整といえます。

ストレッチゾーンを越えるとパニックゾーンに入ってしまいます。
従来の考え方では、パニックゾーンに入らないようにすることが重視されてきました。
しかし、私は思います。
発達障害者はパニックゾーンが極端に広い。

パニックゾーンに入る可能性を完全に排除することはできません。
だからこそ、
パニックに陥ったときに戻れる「安全基地」が必須です。
パニックになる前提で、安全な場所が必須なのです。

そのため、自分自身の安全基地を普段から意識することが大切です。
安全基地は、物理的な場所だけでなく、信頼できる人や動物、モノ、活動、習慣を含みます。
これを日常的に意識することで、ストレッチゾーンでの成長が進みます。

発達障害者はパニックゾーンが極端に広い

止まないパニック

安全基地になれるかどうか、
それは本音を言えるかどうか。
互いに本音を言い合える人やモノ、環境を用意しておきましょう。
子供と大人のための「安全基地」の構築は不可欠です。

何度も言います。

病んでからでは遅いんです。
病む前に安全基地を整えておくんです。
パニックならないようにではなく、
パニックになる前提で。

私もパニック症状になったときは、逃げることしかできませんでした。
今もまだ逃げている途中です。
後からそれがパニックであったこともわかりました。

もうパニックになりたくない、そう思いあれこれ試行錯誤しました。
しかし、再び悪夢が。。
結局、リスクはゼロにできない。
だったら、もう起きる前提で考えるしかない。
それはとても不安で怖いことです。
しかし、不安であるほど、自分の安全基地の大切さも実感できます。
家庭、友人、習慣、
一つ一つの安全基地を大切にし、意識しておく。
安全基地の質と量を広げておく。
パニックにならないようにではなく、
パニックになるのだから。

安全基地の大切さ

最後に。
安全基地は社会全体でつくっていくことが大切です。
未来の社会に向けて、誰もが安心して挑戦できる環境を作り上げていきましょう。
記事を最後まで読んでいただきありがとうございました。


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