【名盤伝説】Dee Dee Bridgewater” / Bad for Me” 自然に心と体が動き出すファンキー・ミュージック
お気に入りのミュージシャンとその作品を紹介しています。ジャズ・ボーカリストのディー・ディー・ブリッジウォーターがポップにファンクに歌い上げる『Bad for Me』(1979)です。
1950年USテネシー州メンフィス出身。ジャズミュージシャン一家に生まれ、1974年に日本制作の『Afro Blue』で待望のデビュー。ジャズとブルースの要素を織り交ぜた上質なボーカルアルバムで話題となりました。そんなジャズ路線で3作目の『Just Family』(1978)はジャズ・ベーシストの巨匠スタンリー・クラークがプロデュースして新境地を開き、続く4作目がこのアルバム『Bad…』です。
このアルバムは、前作でもプレーヤーとして参加していたジャズ・ファンクの名手ジョージ・デュークがプロデュースしています。
参加ミュージシャンも豪華です。ジョージ・デューク(Key)をはじめとして、同じくキーボードにグレッグ・フィリンゲインズ。ベースはバイロン・ミラーやアルフォンソ・ジョンソン。ドラムにリッキー・ローソン。ギターにはローランド・バティスタ。パーカッションにはシーラ・E、ポーリニョ・ダ・コスタ。ホーンセクションにジェリー・ヘイ、ラリー・ウィリアムス、ビル・ライヒェンバッハと完璧なラインナップです。
路線もファンク色の強い作品が並びます。
タイトル曲のM1「Bad for Me」。いきなりファンキーなピアノとホーン隊の切れの良いリフが輝くノリ曲。アルバム全体のテイストが伺えます。
一転メローなM2「Back of Your Mind」。ローランド・バティスタお得意のハイポジションでのカッティングがいい感じです。
ディーディーのファンキーボイスが迫力のM3「For the Girl」キレキレのカッティングギター、ジョージ・デュークお得意のムーグ・ソロも雰囲気を盛り上げます。
そしてM6はアルバムの聴きどころ。キャロル・ベイヤー・セイガー作の不朽の名作「It’s the Fallin' in Love」のカバー。オリジナルはデビッド・フォスターがアレンジ。そしてキング・オブ・ポップスのマイケル・ジャクソンもカバーしています。個人的にこのディーディーのバージョンが一番好みです。
チャーミングなボーカルが何と言っても魅力的です。彼女のボーカルセンスの幅の広さに感服します。
三者を聴き比べると、それぞれのアレンジの嗜好が違うので面白いです。
ホンキートンクなピアノアレンジとともに、ホーン、コーラス全てが光るノリノリのM8「Don't Say It (If You Don't Mean It)」。デンデン・ディスコとは一線を画す大人のダンスミュージックです。
歌の巧さを存分に活かし、ジャズの枠から大きく広げたファンキーテイストのナイス・プロデュース!聴きどころ満載の、自然に心と体が動き出すアルバムです。
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