見出し画像

【名盤伝説】”Niteflyte / S.T.” マイアミの夜景によく似合う、アーバン・ソウルの名盤。

MASTER PIECE マイアミでの出会いがきっかけで結成されたという、サンディ・トラノ(Vo. G)とハワード・ジョンソン(Vo)によるデュオのナイトフライトです。

1979年にデビューアルバム『Niteflyte (邦題: 夢のマイアミナイト)』をリリースします。日本盤も発売されましたが、一部のマニアの間でしか話題になりませんでした。

ナイトフライトのデビュー作は国内盤もリリースされました。

 収録曲「If You Want It」がシングルカットされ、そのメローなサウンドはUSチャートではスマッシュヒットを記録したようです。

この曲は後に山下達郎の名曲「Sparkle」(82年発表)が似ていると話題になりました。似ているどころかレコーディングのメンバー自身が「Sparkle」は、この「If You Want It」とKISSの「デトロイト・ロック・シティ」!とブリティッシュ・ソウルのケニー・バークの三つ巴だと語っていましたw。

セカンドアルバムが話題になると、そういえばファーストは国内盤も出ていたぞと、中古盤屋を探し回りましたね。参加ミュージシャンでは、同じくホワイト・ファンクで人気だったアヴェレージ・ホワイト・バンドのメンバーだったハミシュ・スチュワートスティーヴ・フェローンがほぼ全面参加。なるほど、AWBにマイアミテイスト加えたサウンドだなとクレジットを見て納得しましたね。ホーンにはデヴィッド・サンボーンブレッカー兄弟と人気のミュージシャンが起用されています。


そして本作、彼らのセカンドアルバム『Niteflyte (邦題: ナイトフライト II)』が1981年にリリースされます。時代はAOR全盛期で、さぞかし期待されていたかというと、何故か当時は国内盤はリリースされませんでした。とはいえその内容の良さにコアなファンの間では話題沸騰。輸入盤LPは品薄状態で、どこのショップでも入荷待ちが続きました。私もかなり苦労して入手した覚えがあります。あ、もちろん?まだCDの無い時代でしたからね。念のため(^^;;)。

後に、それまでのソウル・ミュージックとはテイストの異なるフリー・ソウルというカテゴリーが話題になり、その火付け役となったディスクガイド「Suburbia Suite」で取り上げられたのをきっかけに、輸入盤LPリリースから15年後の1996年になってようやく国内盤CDがリリースされます。評判にならなければ旧譜はCD化しないのでしょうか。

収録曲
M1 You Are
M2 You're Breaking My Heart
M3 Shoot from the Hip
M4 Anyway You Want
M5 Sexy Dancer
M6 On Your Own
M7 Alicia's Song
M8 I Knew It Couldn't Happen

収録曲では何と言ってもオープニングのM1。テンポの良さと印象的なコーラス・ワークによるサビが特徴。「Hey, Hey, Hey, You!」がSMAPの「がんばりましょう」(1995年)とそっくりだと話題になりましたが、ビッグアイドルのシングル曲が似てるとか似てないとか、アルバムの評価には全く関係ありません。素直に格好よいです。


続くM2は独特なピアノの音色が特徴的なバラード。普通に考えると別れた彼女との恋の歌かと思いますが、アルバムのクレジットにサンディのお祖母ちゃんに捧げるとあるので、彼女の死を悼む作品なのかもしれません。もしくはM7のインストナンバーのAliciaさんかもしれませんが…いずれも心に沁みるバラードです。


そしてM4、イントロのファンキーなギターカッティングと、ブリッジのコーラス・ワークとの絡みが、いかにもナイトフライトだ!というサウンド。個人的にはこの曲がアルバムのハイライトですね。


マイアミ半島の先、カリブ海の潮の香りを感じる、LAやNYとはまた一味違うアーバン・サウンドとでも言いましょうか。そんな新鮮なサウンドに酔いましたね。この時代は、こうした異業種交流的な音作りが満載で、刺激的な時代でした。未だマスメディアのパワーも強く、メジャー・レーベルの大掛かりなキャンペーンで流行が作れる時代。ただ、そうした時代でもオルタナティブな潮流が間違いなく存在し、そうした流れを敏感に捉えるファンがいたという、何とも頼もしい時代だったと言えると思います。

そんなあの頃も良かったのですが、今ならではの「音楽」との付き合い方で、好みの音楽を探し続けたいものです。

ちなみに私はマイアミには行ったことはありません(汗)。想像の世界に浸れるのも音楽の楽しみ方の一つだと理解しています ^^;;。


多少テイストの違いはありますが、同じ時代に流行したAORな音楽の記事をまとめています。よろしければご覧ください。



この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?