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【名盤伝説】 “TOTO / Hydra” 才能豊かなミュージシャン達によるコンセプトアルバム。

お気に入りのミュージシャンとその作品を紹介しています。US西海岸の人気ロックバンドTOTOの2ndアルバム『Hydra』(1979)です。

1970年代半ば頃にスタジオ・ミュージシャンとし活動していたデビッド・ペイチ(Key)とジェフ・ポーカロ(Drs)、デビッド・ハンゲイト(Bs)がAORの帝王ボズ・スキャッグスのアルバムレコーディングに参加した際に意気投合し、友人・知人・縁故者を集めてバンド結成に至ります。

1978年、アルバム『TOTO』でデビュー。スタジオ・ワークで鍛えたテクニックで、デビュー作とは思えないほどの完成度の高い演奏を聞かせてくれます。「Hold the Line」、「I’ll Supply the Love」、「Georgy Porgy」と立て続けにシングルをリリースしてヒットチャートを賑わせ、快調なスタートを切ります。

とは言うものの、個人的には同じ時期にリリースされたBOSTONの方が好きでした。メンバーのキャリアや、ましてやボズの楽曲など「We’re All Alone」くらいしか知らなかった当時の私には、曲はロックでポップ良いけれど、どこか音作りがチープだなと感じていたのです。

そして続く1979年、今回紹介する『Hydra』がリリースされます。

収録曲
M1 Hydra
M2 St. George And the Dragon
M3 99
M4 Lorraine
M5 All Us Boys
M6 Mama
M7 White Sister
M8 A Secret Love

いきなり思わせぶりなSEから重々しく始まるタイトル曲M1「Hydra」。初めて聞いた時には、おっ、プログレか??と思いましたが、ペイチの思わせぶりなボーカルからのハードな曲調への展開。7分にも及ぶ凝った構成で聞く者をグッと引き込みます。そして何より1stで感じた音とのチープさをまるで感じません。スティーブのシンセも奥行き・拡がりともに完璧です。ルークのロックなギターソロも大変良し。何だよTOTOってこんなに格好良いのかよと再評価です。しかもBOSTONよりも上手いぞ(笑)。

ギリシャ神話のハイドラ伝説をモチーフにしたというコンセプトで制作されたこともあり、楽曲はもちろんジャケットも気合いが入ってますけれど、そこは全く受けなかったという感じです。私もそんなことは意識しないで聞いていました。このPVにしても何だろかって印象です。でも、まぁ本人達の思い入れですね。

続くM2は感動的かつ軽快なポップ・チューン。私はもう完全にTOTOの虜です。

M3は一転、静かにバラードとアルバムの曲構成も良いではありませんか。この辺りでようやくジェフのドラミングの凄さを実感しました。ハンゲイトのベースについて個人的には・・・。

M4の静動メリハリ付きまくりのロック・チューン。歌終わりの6小節ほどの短いブリッジですが、フレーズのクラシカルなシンセのフレーズがリック・ウェイクマンみたいでゾクゾクして好きです。半音下がりのエンディングも中々感動的な展開で良いですね。その手前のサビのリピートの後で叫ぶキンボールのシャウトは余計かな。

M5は個人的にこのアルバムのハイライト。ハードなロック・チューンです。この曲で聞けるような曲の展開の妙は、ペイチのソングライティングの才能の高さだと思います。エンディングのジェフのこれでもかという叩きまくりのドラミングも最高です。

実はこの曲には別ミックスが存在します。曲の途中 1:40あたり、歌1番と2番の繋ぎの部分、ルークのギターが唸る8小節のブリッジに付け足した2番のイントロっぽい4小節で、前節のままルークが弾きまくるのが通常盤です。CD盤はほとんどこのテイクでルークが弾いているのですが、当時流通していた輸入盤LPには、この4小節は、ただバックがリフを繰り返して?いるだけでルークのギターがありません。バックに合わせてシンセがウネウネとSE的に聞こえるだけです。どこかのCDのボーナストラックに「alternative take」として収録されていました。LP盤を探してみても良いのかもしれません。が、こんな聴き方する人って、よほどのTOTOマニア以外いませんね。こんなネタを記事にしているのも私だけですかね(汗)。リアルタイムで聞いていた当時のバンド仲間の間では話題になっていました。

M6では一応?リードボーカリストのキンボールのハイトーン・シャウトが聞きどころですが、ジェフとハンゲイトのリズム隊の方に耳がいってしまいます。生ピアノとの合わせ技が新鮮です。

(M7-M8 コメント割愛)

これだけ気合いの入ったアルバムなのに、セールスが芳しくありません。気合い入れ過ぎたのかと、次作『TOTO III』では思いっきり受け狙いでハードなロック路線に転向します。個人的には好きなアルバムなのですが、やはりこちらも極端に振り過ぎで評価は今一つ・・・そして起死回生の作が、グラミー獲得の「Africa」や「Rosanna」が収録されている『TOTO IV』になります。

TOTOについては語りたいこと山盛り。いつかまた必ず記事にしたいと思います。



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