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【名盤伝説】”Lee Ritenour / Rit” 時代のAORテイスト満載のボーカルアルバム。

MASTER PIECE 日本のクロスオーバー / フュージョンファンに絶大な人気を誇るギタリストのリー・リトナーが、当時流行のAORテイスト満載のアルバムを発表して話題になった『Rit』(1981)です。

このアルバムはリットの作品としては最も商業的に成功したアルバムとなりました。USトップ40にチャート入りし、ビルボードR&Bアルバムチャートで20位に、またシングルチャートでも「イズ・イット・ユー」は15位を獲得しました。

プロデューサーにはデヴィッド・フォスターハーヴィー・メイソンという鉄壁の布陣。歌物もインストも、この二人が制作するなら間違いありません。またエグゼクティヴ扱いですがリット本人もプロデューサーとして名前を連ね、初めて?制作作業を意識する転機になったとのことです。

参加ミュージシャンも超豪華。天下のElektraが大物プロデューサーを配したのですから、LA界隈のロック、フュージョン界の強者がゾロゾロ参加しています。

Producer – David Foster, Harvey Mason
Producer, Executive Producer – Lee Ritenour
Bass – Abraham Laboriel, David Hungate, John Pierce, Louis Johnson
Drums – Alex Acuña, Jeff Porcaro, Rick Shlosser
Keyboards – Don Grusin, Greg Mathieson, Greg Phillinganes, Richard Tee
Producer, Executive-Producer, Electric Guitar, Acoustic Guitar, Vocoder, Guitar Synthesizer – Lee Ritenour
Producer, Keyboards – David Foster
Synthesizer – Michael Boddicker
Trombone – Bill Reichenbach, Charles Loper, Lou McCrary*
Trumpet, Flugelhorn – Chuck Finley, Gary Grant, Jerry Hey
Vocals – Bill Champlin, Eric Tagg

ボーカリストとしてフューチャーされたのが、オランダを拠点として活動していたエリック・タッグでした。甘いボイスのブルー・アイド・ソウル系のボーカリストとして、本作参加以前にも自身でAORテイストに溢れるソロアルバムを2枚リリースしています。

M1 Mr. Briefcase
M2 (Just) Tell Me Pretty Lies
M3 No Sympathy
M4 Is It You?
M5 Dreamwalk
M6 Countdown (Captain Fingers)
M7 Good Question
M8 (You Caught Me) Smilin'
M9 On The Slow Glide
M10 No Sympathy (Reprise)

そして収録曲M1ではジェフ・ポーカロ(Drs)とデヴィッド・ハンゲイト(Bs)のTOTOのリズム隊。ジェフお得意のハーフタイム・シャッフルが実に心地よいです。ギターソロはいつものリットとは違ってロックテイストがかなり強めです。

M4はメロウなミディアムテンポのバラード。ハーヴィー・メイソンとエイブ・ラボリエルの完璧なリズムに酔います。

M8はスライ&ザ・ファミリー・ストーンのカヴァー。ビル・チャンプリンのソウルフルの唸り節がキメ手。この曲をビルに歌わせるあたりはプロデューサーのデヴィッド・フォスターのアイデアでしょうか。ナイス!キャスティングです。


そしてこのアルバムの大成功に気をよくしたリットは、同じくエリックをメインにボーカル・アルバム第二弾『Rit / 2』を発表します(1982年)。

このアルバムは、前作に引き続きハーヴィーとリットの共同プロデュース。ベースはネイザン・イースト、キーボードにはドン・グルーシンと、ロック系の方々は少なくなっています。その分歌入りとはいえフュージョンに寄った作品になっている印象です。

とはいえオープニングを飾るM1「クロス・マイ・ハート」はシンセ・ベースがブリブリ唸るファンキーなナンバー。相変わらずメロウなタッグのボーカルは冴えてます。

そしてM2「プロミス・プロミス」。こちらもシンセ・ベースが肝ですが、イントロのトランペット・シンセが印象的。後にエリックが自身のアルバムでもセルフカバーするほど格好良いです。リットとのコラボ作の中で、個人的には最もお気に入りです。



その後のリットはコンスタントに通常運転のインストアルバムをリリースし続けます。時代がフュージョンからスムース・ジャズへと変わり、当たり障りのない曲調が流行していく中でも、メロディ・ラインを重視して、印象的なテーマと分かりやすい曲構成といった良き時代のフュージョン・テイストを聞かせてくれるリットの作品は、聞き逃してはいけないなと私も追いかけ続けています。 

その他のアルバムも機会があれば是非紹介したいと思っています。


リットのアルバムについてこちらの記事でも紹介しています。よろしければご覧ください。



フュージョン系のアルバムの記事をこちらのマガジンで紹介しています。


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