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【名盤伝説】”Deep Purple / Come Taste The Band” 実は侮れない名盤。

お気に入りのミュージシャンとその作品を紹介しています。UKハードロックバンドの元祖Deep Purple『Come Taste the Band』(1975)です。

前作『Stormbringer (邦題: 嵐の使者)』(1974)を発表した直後に、バンドの顔でもあるリッチー・ブラックモア(G)が衝撃の脱退。『Burn (邦題: 紫の炎)』(1974)から参加したデイヴィド・カヴァデール(Vo)とグレン・ヒューズ(Vo, Bs)らとの音楽性の相違がその理由とされています。

リアルタイムで聴いていたファンからすると、リッチーが抜けたパープルなんて想像できない事態です。また、新加入したギターのトミー・ボーリンも、一体どこの馬の骨状態。そんなバイアスがかかった状態で聴く新作は、リッチーがいないというだけで評価は散々なものでした。

私もリッチーを追いかけて、彼が新たに結成したブラックモアズ・レインボーに流れた口。76年のレインボーの来日公演は、ディープ・パープルのギタリストのライブが観られるという意味合いが強かったと思います。


時は流れ、レコードからCDが主流となる中で、社会人になって可処分所得に余裕がでてくると、あれこれ昔のアルバムのCD化が加速します。パープルも順番にCDにするなかで、この『Come…』も購入。改めてクリアな音源で久しぶりに聞き直すと、何とこれが実は凄いアルバムだったと再評価です。

色々と調べてみると、伝説のライブ盤『Live in Japan』(1972)をリリースした頃のメンバーによる第2期パープルは、リッチーの完全独裁バンドだったようです。そんな軋轢でVoとBsが脱退し、何とかメンバーチェンジをしたものの、肝心のリッチーも脱退するに至り、長老ジョン・ロードもさすがにバンドの解散を覚悟したそうです。

しかし、せっかく参加した名門バンドを解散させてなるものかとの熱意で新たなギタリストを発掘。そして制作されたのがこの『Come…』ということだそうです。新メンバーのギターテクは実は半端なく凄かったことに驚きます。しかも収録曲の変化に富んだ多彩なサウンドメイクは、残存メンバーがリッチーによる圧政の呪縛から解き放たれ、もともと持つ音楽性を遺憾無く発揮することによって生まれた、バンドメンバーによるケミストリーの結晶だったのです。

そんな良質なアルバムをリリースしていたのですが、その後バンドはとんでもない悲劇に見舞われます。詳細は割愛しますが、『Come…』のプロモートのためのツアーは想像を絶するアクシデントの連続。遂には期待のトミーも体調不良でプレーに支障をきたす始末。活動継続が危ぶまれるなかで、1976年7月にバンドは無念の解散を発表するに至ります。

パープル加入も含め思わぬ騒動に巻き込まれたトミーのストレスは、相当なものだったに違いありません。パープル解散後の1976年12月、ジェフ・ベックの前座としてツアー同行中に、麻薬の過剰摂取のために急死してしまいます。享年25歳。若き天才ギタリストの悲劇です。

世界的なメタルブーム再燃により1984年にバンドは再結成します。いくら伝説のギタリストが再加入したとはいえ、私にとってのパープルは、既に思い出の存在となっていました。

リアルタイムリスナーならではの低評価に晒された不遇のアルバム。改めてちゃんと聴き直しておきましょう。心の奥にあるハードロック魂を揺さぶります。

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