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“My Love” Paul McCartney and Wings - 1973

[RADIO DAYZ] 1973 あの頃ラジオから流れていた懐かしい名曲を紹介します。

1971年のアルバム『Wild Life』の低迷をうけて、さすがのポールも負けず魂に火がついたようです(何の根拠もありません^^;;)。翌1972年には3枚のシングル盤をいずれもヒットさせ、さらにウィングス名義での初のヨーロッパツアーを敢行するなど精力的に活動します。

そしてその合間で次回作となるアルバム『Red Rose Speedway』(1973年5月リリース)の膨大な曲数のセッションとレコーディングをこなしていました(追いつめられると爆発的な集中力をみせるポールの性格は有名)。

この『Red Rose…』は当初2枚組で計画していたものの、『Wild…』の悪夢に懸念したレコード会社が1枚にまとめるべしとし、さらにアルバムに先行するかたちで3月にリリースしたのが「My Love」です。

そのタイトル通り、妻リンダに向けたラヴ・ソング。オーケストラ・アレンジで大胆に盛り上げ、泣きのギターソロを被せるスロー・バラードは、ビートルズ時代を彷彿とする超名曲です。

週間チャートではUKシングルでは9位だったものの、USビルボードチャートでは1位を獲得する大ヒットを記録します。後にUSのRIAAでゴールドディスク認定(100万枚)を獲得します。


そして『Red Rose…』セッション中に、更に別のお仕事。大人気アクション映画シリーズ007の新作のサウンドトラックとして「Live and Let Die (邦題: 死ぬのは奴らだ)」を制作を始め、アルバム『Red Rose…』発売直後の73年6月にシングル盤としてリリースします。

「ジェームス・ボンドのテーマ曲をつくるなんて、簡単に出来るとこではないし、とても魅力的な仕事だったよ」とはポールの弁。超人気シリーズのサントラをポールが手がけると言った話題性だけでもヒット間違いなし!といえるほど、劇的な展開のロック・チューンは、ド派手な演出でツアーのハイライトとなるほど、今でも人気の1曲となりました。

シングル盤のカップリング曲は『Red Rose…』のアウトテイク。ちゃっかりリユースしています。

UKシングルチャートは9位、USビルボードでは2位を獲得。翌年のグラミー賞では編曲賞を受賞しています。

こんなシングルを連発したおかげで、肝心のアルバム『Red Rose…』が埋もれてしまいます。これだけの創作意欲を裏付けとして、2LP分の作品を1枚に凝縮したものが悪いはずがありません。個人的にはWingsの作品の中でも決して見逃してはならないアルバムだと思っています。


そんな世間がポールの曲で大騒ぎしている中で、さらに次のアルバム『Band On The Run』のセッションを始めます。イギリス連邦の加盟国のアフリカ、ナイジェリアの当時首都ラゴスで行われたレコーディングは、渡航前から災難続きで、アフリカ行を拒絶したウィングスのメンバーは散開状態に。結局抜けた楽器はポール自身が担うなどしてセッションは続きます。そのセッション中に制作され、シングルとしてリリースしたのが「Helen Wheels (愛しのヘレン)」です。

ヘレンとはポールが自分の愛車につけた愛称とのこと。スコットランド地方にポールが所有する農場からロンドンに向かっている時のことを歌っているそうです。UKでは12位、USでは10位とスマッシュヒットにとどまります。出し過ぎです。

シングル盤のカップリング曲は、「007」と同じく『Red Rose…』のアウトテイク。なおこの曲は日本のボーカル・グループのデビュー曲としてカバーされているそうです。歌謡界も何でもありという感じですね。

こうしてこの年のポールは八面六臂の活躍で、業界の話題をさらっていきました。ラジオでもシングルやアルバムの特集やら、さらにはビートルズの特集番組など、多くの(元)ビートルズソングが溢れていました。彼らのパワーは衰え知らずということを見せつけられた一年と言える気がします。



ラジオに夢中になっていた頃の思い出をこちらでも語っています。

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