日が当てられなくても夢を持ち叶えようと思い続けたい

自分の力が及ばないことは世の中にはある。

職場環境もそのひとつだ。
そこにある仕事は好きでやりがいもあっても、上司が能力的にも人としても最悪な場合、もうそこの環境を良くすることは自分の力が及ばないところである。

それでも自分の力が及ぶ範囲でがんばるのだが、’’組織”という概念が持つ力は大きく強い。

上司の嗜好に依って陽の当てられるところ、陽の当てられないところが生まれる。
話の通じない人、わかり合えない人というのは世の中に一定数いる。「そういう人とは関わらないようにすればいい」と言われるが、上司だとそういうわけにもいかない。
ただただ理不尽な力に屈することを日々強いられる。

そのうちその強大な力がずっと自分の目の前に立ちはだかり続け、報われない状況に疲れ、
「結局どんなにがんばってもさ…」
と、がんばることをやめて、諦めて、陽の当てられない場所で無気力に生きていこう、と思ってしまう。

そんな状況でいたここ数週間の自分が心打たれて涙したことがあった。

それが新日本プロレスの高橋ヒロム選手の試合後のバックステージでのコメントである。

現在新日本プロレスではジュニアのシングルのリーグ戦が行われている。BEST Of SUPER Jr.(BOSJ)である。
しかしそのリーグ戦真っ最中にジュニアとは全く関係の無い話題が新日本を賑わせていた。

その話題というのが年明け東京ドームで行われる新日本プロレス年間最大の興業、WRESTLE KINGDOMの試合のこと。1.4と1.5の両日にIWGP世界ヘビー級選手権が行われることが決まったのである。

IWGP世界ヘビーのタイトルマッチが1.4も1.5も行われるということは、両日ともにメインイベントはヘビー級のタイトルマッチが行われる可能性が高くなったということであり、これはジュニアの選手にとっては「両日ともにジュニアの試合はメインには組まれない」というバッドニュースである。

これまで東京ドームのメインでジュニアのタイトルマッチが行われたことは無い。

しかし、今年の1.5のIWGPジュニアヘビー級選手権試合に勝ちジュニアのベルトを戴冠した高橋ヒロム選手は、その時の試合後のインタビューでひとつの夢を語った。
それが東京ドームのメインイベントでIWGPジュニアヘビー級選手権試合を行うという夢である。
(7分22秒あたりから)

2019年までのWRESTLE KINGDOMは1.4の1日だけの開催であったのでメインはIWGPヘビーのタイトルマッチで固定されていた。

しかし2020年、2021年と1.4と1.5の2連戦が行われ、今後も2連戦のWRESTLE KINGDOMか続いていくのでは、と予想される中で高橋ヒロム選手はこの夢を語った。

2日間開催ならどちらか一方はメインでジュニアの試合ができるのではないか。

これについては高橋ヒロム選手のYou Tubeチャンネルで語られている。
(9分16秒あたりから)

目指せる夢が、叶うかもしれない夢ができた。

でもそのためにはジュニアを盛り上げ、ジュニアの価値を高め、ジュニアの闘いでも東京ドームのメインをはれるんだ、ということを示していかなくてはいけない。
だから高橋ヒロム選手はその"ジュニアを盛り上げる"という一心で行動してきた。

高橋ヒロム選手だけでは無い。他のジュニアの選手にも志を同じく、ジュニアを盛り上げようとしている選手もいた。

そうやってジュニア選手が一生懸命実直に”ジュニアの夢”に向かって一生懸命盛り上げていたBOSJの最中に、1.4と1.5両日ヘビーのタイトルマッチの決定のニュースである。

手が届くかもしれない夢に向かってがんばっている真っ最中に、その夢が自分の及ばない力によって突然奪われた形である。

悔しいやら悲しいやらムカつくやら、、
ありとあらゆる負の感情が湧き出てるのではないか、大事なリーグ戦最中に何投下してくれとんねん、と思ったのではないか。

(※実際は、1.5でもIWGP世界ヘビーのタイトルマッチが行われることが発表されただけでそれがメインに行われるとは決定されてないので、ジュニアがメインの可能性はゼロではない。
しかしながら、これまでの新日本プロレスでのジュニアとヘビーの扱いを見れば、また今回両日のIWGPヘビーに絡むヘビーの選手とそのストーリーを鑑みれば、1.4と1.5両日メインはIWGP世界ヘビーのタイトルマッチになる可能性は極めて高い)

今BOSJで闘っているジュニア選手は対戦相手と闘っているだけではなく、"新日本プロレスにおけるヘビーという概念"とも戦わなくてはいけなくなっている。
今1.4と1.5のヘビーのタイトルマッチ2連戦が発表された状況で、後者の闘いに勝つには、大大逆転しなくてはいけない状態になっている。
これまで以上に「盛り上げてやる!」という気持ちが強くなっているであろう。

個人的にはジュニアの闘いとヘビーの闘い、どちらも遜色無く面白いと思う。そしてどちらも面白くない試合もある。

どちらもベビーもヒールもいる。
どちらも反則も介入もある。

繰り出す技の違いはあれど、それぞれの良さがある。観ている人がどちらが好きかが違うだけだと思う。

じゃあ何が違うか?どうして「ヘビーの方が面白い」という絶対的な概念が存在しているのか?

それは、会社のプロモーションの違いが少なからず盛り上がりに影響しているのではないかと思う。

自分達が語った夢は会社が応援してくれていない
自分たちは陽の当てられないところにいる
そういう不満が出てしまうのも無理はないと思う。

常に陽が当てられているところ
常に陽が当てられていないところ

日陰でもがんばって咲いている草花はいる。そこに陽射しがあたるようになるには、まずそこにある草花を見つけてあげて、そこに陽射しがあたるように環境を変えてあげなくてはいけない。環境を変えられる力を持つ人が。

陽射しが当たれば、もっと素敵に成長するかもしれない。もっと大きな花を咲かせるようになるかもしれない。

そういう力を持つ人は力を持つ責任として、その力を有意義に使うことをがんばらなくてはいけないと私は思う。

そんなプロレス界で起きたことを見ていて、プロレスは非現実の世界と言われているけど、こういう点は実社会と同じだな、プロレス団体も社会の一組織であり、プロレスラーも組織の一員という点では私達サラリーマンと同じような悩みや辛さがあるんだな、と思った。
だから、冒頭でふれたように高橋ヒロム選手が試合後のバックステージで語った言葉が今の私にとても心に響いた。
(1分3秒あたりから)

陽の当てられない状況にいる高橋ヒロム選手は最後にこう言った。

真面目に生きたらバカをみる時代か?
夢を見ちゃいけない時代か?
それだったらなおさら俺がバカみたいな夢を真面目に追いかけて
そして必ず叶えてやる!

陽の当てられないところでも、腐っていてはいけない。がんばり続けようとしている人がいる。
それが自分の応援する人なのであれば、自分も同じ様にそうありたいと思う。

プロレスは熱い。
非現実世界での作られた、演じられた熱さだと思っている人も沢山いると思う。
でも私は、プロレスには心の通った熱さもちゃんとあると思っている。

そういう熱さは現実世界の私達にも通じる。観ている人の心に訴えかけるのは、その熱さに心が通っているからだと思う。

陽の当たらないところでも腐らない
夢を持ち、叶えることに躊躇しない

大人になって物分かりがよくなってしまった自分に、プロレスは昔の純粋な気持ちとか、前に進む気持ちを思い起こさせてくれる時がある。

プロレスには私が無くしてしまったもの、足りていないもので、取り戻したいもの、そうありたいと思うものがある。

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