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Go climb a rock !(900mの壁を登る編1)

The Nose

風に煽られたロープを必死に束ねて、もう何度やったかわからないが緊張したロープを引いている。

"重い、、、。"

地面から500mあろう場所にある、人1人がようやく立てる崖の中。否立てていない、ほぼぶら下がっている。はるか眼下には何台もの車が走り去り、幾人かの現物客がこちらを見て、時折奇声を発している。

"くそっ、そこで見てるなら荷上げ代われよ。"

ここはEl Captain
世界で1番有名な特大サイズの花崗岩。
その中にあるYosemiteでも最も歴史あるEl captain 初登ルート。標高差約900mを繋ぐThe Nose 。

腰に長期間のハーネス装着による痛みを覚えつつ、ひたすらに¹40Kg近い塊を引き上げる。


赤が登るライン



ー4日前ー

アラーム音が鳴る。まだ眠たい。無視する。
15分後。さすがにまずいと起きる。

今日はNoseに²fix工作をする。
下から4P ロープを伸ばしシックルレッジと呼ばれる岩棚まで荷揚げをし、地面に戻る予定だ。

7:30に取り付きへ行くと韓国パーティが登り始めていた。早速、人気ルートの恩恵?を受ける。

0Pを登ると別ルートから上がったパーティ含め3パーティが登っていた。先が思いやられる。待つのも暇なので、コースケが1p目5.11a or C1をフリーでトライ。結果はワンテン。


その後は待ちに待ち、講じる策もなく無事17時ごろにはfix完了。長い懸垂を経て、³camp4に戻った。

今日の混雑具合からして、明日はどうなるんだ。はたしてディズニーランドのような待ちになるんじゃないか?なんせここはクライマーのディズニーワールド。それだけは避けなければならない。
明日の起床は4:00に決定した。


ーGo up1ー

また、同じ音だ。
しかし、今日の寝坊は許されない。昨晩からの早朝で変わるほど僕の意思は軟弱ではないと信じたい。決死の覚悟で体を起こし、ラーメンを押し込む。

5:30取り付きに着く。
昨夕に明日は3:00から登り返すと言っていたカナダパーティがまだ1P目のロープにいた。お前ら絶対寝坊したろ。

そんな惰眠貪りパーティを横目に150mの永遠にも感じられるロープを伝い、7:00シックルレッジに立つ。いざ、上へ


朝一から150mほどユマーリングする



今日は8P伸ばし、エルキャピタン5つ星ホテルと評されるエルキャプタワーへ。こちらに来てからというものセダンの寝心地良いのか悪いのか座席の車中泊であったり、熊に怯えつつテキトーに張ったテントであったり、はたまたゴキブリとアリの巣窟と化した駐車場であったりと悪寝場所に枚挙にいとまがない我々としては何としても恩恵に預かりたい。

堅実にロープを伸ばしていく。
確実に振子トラバースをしていく。
大胆にフリーで登っていく。

程なくして17:30。エルキャプタワーに辿り着いた。なるほど3畳ほどの真っ平な棚があるではないか!さらに驚くことにタダ!
ど貧乏肉無し宿無しクライマーにとって、最高のもてなしを受ける。


ホテル エルキャプタワー★★★★★


今日の夕食、いや、ディナーと言うべきか。
豚汁・マッシュポテト・α米・ビーフシチューといった和洋折衷伝統最新折衷である。
まずはスープから。染みる。
つぎに前菜のマッシュポテト。なかなか重い。
そして、メインのα米とビーフシチュー。
日米の合作は見事なマリアージュを生んでいた。


寝袋に入り、顔だけ出して口を絞る。徐々に夜が近づき点々と空に光が出てくる。そして、堂々と威圧的に空半分は残りの壁の影がこの先の行程な長さを示すように覆っていた。


つづく...



今回はアメリカ本土最高峰をクライミングでチャレンジしています。
果たして登れるのか⁈

ヒマラヤから帰ってきたマシューの写真がドンドン投稿されています。
必見です!


1.40Kg近い塊:
ホールバッグと呼ばれる袋のようなビッグウォール用のザック。そこに30Lの水、食料、寝袋etcを詰め込んでいる。体重をカウンターとし、引っ張り上げる。


2.fix工作:
0日目にある程度登り、ロープをルート上に固定することで1日目にスムーズに行動することができる作戦。The Noseはロープ3本分をfixした。

3.camp4:
世界中のクライマーが集まるキャンプ場。溜まり場といった方が適切かもしれない。

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