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おばあちゃんの手料理

おばあちゃん、このナスとかぼちゃのたいたん、おいしい〜。

子どもたちがおばあちゃん(義母)が作ったお惣菜を喜ぶ。
確かに義母の作るご飯はおいしい。特に煮物。聞けば、だしと砂糖と醤油だけ。

おいしいと言われて義母は恥ずかしそうに笑う。
「えー、おいしいかあ?この子らにそんなんゆうてもらえて、なんやな、恥ずかしいなあ。いっつもこんなんしかあらへんし。せやけど、こんな煮物でええんかあ?笑」

うん、これがええねん。

私も本当に美味しいと思っていた。
でも私にはずるい気持ちもあった。
子どもたちがおばあちゃんに、「おいしい」と伝えることで、おばあちゃん(義母)はずっと喜んでご飯を作ってくれるに違いない!
実際、義母は遊びに行くたびに、かぼちゃとナスの煮物はもちろん、いろんな煮物を作ってくれた。
しめしめ。これで私が手伝うのは後片付けだけでいい!

そして子どもたちは成人し、それぞれ仕事で遠くになった。
同じ頃義母は、かぼちゃを切るのがかたいと言い出した。
ちょっと寂しいような不安なような気持ちがした。
それでもかぼちゃとナスは義母本人も好きなようで、夏はたいてい作ってあって安心した。



「お母さん、ご飯よろしく!」
「わっ。これ、うま〜い。」
遊びに来て喜んでご飯を食べてくれる息子夫婦。
スマホでおかずを撮影する息子のパートナーに私はかつての自分の姿を見る。まいったな。

今日は餃子だよ。
それと2人の好きなナスとしその味噌炒めも作って待ってるよ。

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